教育社会学Ⅰ
担当者井上 義和教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-223

授業の概要(ねらい)

前期のテーマは「『路傍の石』を読む――高等小学校から丁稚奉公へ」。山本有三『路傍の石』(改版・新潮文庫)をテキストに用いて、戦前の教育機会・社会階層・職業世界の関係を学ぶ。
小説『路傍の石』が執筆されたのは昭和12(1937)年であるが、小説の舞台は明治30年代であり、小説が小中学生に最も読まれたのは昭和30年代だった。明治時代を舞台にした「昔」の作品がなぜ多くの子供たちに読まれたのか。また、なぜその後読まれなくなるのか。こうした問題意識を持ちながら読むとき、この小説は近代日本の教育機会と社会階層の問題について考える格好のテキストとなる。前期はとくに小説の前半(地元編)から教育にまつわる様々な感情を読み解く。
なお、後期のテーマは「『路傍の石』を読む――見習職工から独立開業へ」、小説の後半(東京編)から作品に込められた青少年へのメッセージを読み解く。

授業の到達目標

・戦前の教育機会と社会階層の問題を制度やデータにもとづいて説明することができる。
・登場人物の心理と行動を、背景となる制度や構造と関連づけて説明することができる。
・テキストと授業をふまえて、レポートを作成できる。

成績評価の方法および基準

・平常点 20%
・小テストまたは小課題 30%
・期末レポート 50%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書路傍の石(改版・新潮文庫版)山本有三新潮社
参考文献

準備学修の内容

・テキスト(『路傍の石』)の指定箇所を事前に読んでおく。またその内容について宿題を課すことがある。

その他履修上の注意事項

・第2回以降の欠席が5回を超えた場合、期末レポートを受理しないので注意すること。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
第2回『路傍の石』の3つの時代⑴
第3回『路傍の石』の3つの時代⑵
第4回『路傍の石』の複数のテキスト、戦後の普及版からは何が省かれたか
第5回映画(東映版・1964年)を鑑賞する⑴
第6回映画(東映版・1964年)を鑑賞する⑵、映画と原作の違い
第7回高等小学校時代の吾一⑴、高等小学校現象
第8回高等小学校時代の吾一⑵、登場人物の属性
第9回高等小学校時代の吾一⑶、主人公の心理と行動
第10回丁稚奉公時代の吾一⑴、徒弟制度としての丁稚奉公
第11回丁稚奉公時代の吾一⑵、徒弟制度の包摂機能
第12回丁稚奉公時代の吾一⑶、主人公の心理と行動、期末レポート課題について
第13回期末レポートの進捗報告
第14回振り返り、期末レポートの提出
第15回期末レポートの講評(※LMSの授業ファイル、およびツイキャスによるラジオ配信)