行政法Ⅰ
担当者𠮷田 貴明教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングPUL-203

授業の概要(ねらい)

 行政に関連する法分野を総称して「行政法」とよびます。行政の役割はきわめて広範です。たとえば,私たちの日常生活に身近なものとして,上下水道の供給や廃棄物の処理などがあります。他方で,行政は,望ましい経済政策のあり方や公衆衛生の維持・向上といった,わが国の社会全体と大きく関係するものでもあります。限りのある時間のなかでは,こうした多様な行政活動すべてを個別に学習していくのは困難でしょう。
 そこで,行政法の学習にあたっては,これらに共通する部分を抽出し,その基本的な考え方について理解していくことが重要です。具体的には,①行政はどのような組織によって行われるのか(行政組織法),②行政は私たちとの間にどのような法関係をもたらすのか(行政作用法),③行政によって私たちの権利利益が侵害されたときはどうするのか(行政救済法),という3つの類型に分けられます。この科目では,前記①および②に係る基本的事項を学習します。

授業の到達目標

 この科目は,行政法をめぐる「基本的な知識」に基づき「論点を把握する」能力を修得することを目的とし,以下の2点を到達目標とします。
①行政組織法・行政作用法の基礎概念・基礎理論を理解すること。
②行政をめぐる諸問題について,判例・学説の考え方に基づいて法的な論点を整理できるようになること。

成績評価の方法および基準

 小テストおよびレポートにより評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『現代行政法入門』 曽和俊文ほか(有斐閣)
参考文献『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ』 宇賀克也ほか編(有斐閣)
参考文献『行政法判例50!』 大橋真由美ほか(有斐閣)
参考文献『行政法概説Ⅰ 行政法総論』 宇賀克也(有斐閣)
参考文献『行政法概説Ⅲ 行政組織法』 宇賀克也(有斐閣)
参考文献『社会とつながる行政法入門』 大橋洋一(有斐閣)
参考文献『行政法Ⅰ 現代行政過程論』 大橋洋一(有斐閣)

準備学修の内容

 テキストに従って講義を進めていくため,基本的にはテキストを用いて予習・復習を行ってください。
・予習…テキストの指定範囲を読み進め,わからない用語等があれば参考文献等で確認しておいてください。
・復習…理解が十分でない点を中心に,テキスト,ノートや参考文献等により見直してください。

その他履修上の注意事項

①テキスト・参考文献については,いずれも最新版を用意してください。
②憲法や民法等基幹科目に係る理解を前提とする項目があります。各自において適宜復習してください。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション…行政の役割と行政法
第2回法治主義と法律による行政の原理
第3回行政法規範の多様性
第4回行政行為総論
第5回行政行為の取消しと撤回
第6回行政の実効性確保
第7回申請処分手続
第8回不利益処分手続
第9回行政裁量
第10回行政法と法の一般原則
第11回組織法的コントロール
第12回非権力的な行政活動
第13回行政活動と情報
第14回総括…行政法総論
第15回補論…行政法総論の実相(オンライン)