行政法Ⅱ
担当者𠮷田 貴明教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングPUL-204

授業の概要(ねらい)

 行政の役割はきわめて広範であることから,多様な行政活動すべてを個別に学習していくのは困難でしょう。そこで,行政法の学習にあたっては,①行政はどのような組織によって行われるのか(行政組織法),②行政は私たちとの間にどのような法関係をもたらすのか(行政作用法),③行政によって私たちの権利利益が侵害されたときはどうするのか(行政救済法),という3つの類型に分けて理解していくことが重要です。
 この科目では,前記③を取り上げることとします。すなわち,行政の活動に基づいて形成された,または将来形成されうる法律関係に不服がある場合において,これに関連する者の権利救済を図る手段を学習します。「行政法Ⅰ」で取り扱う行政組織法・行政作用法とは異なり,通則法上の諸制度を中心に検討していきます。

授業の到達目標

 この科目は,行政法をめぐる「紛争の解決のための道筋を見出す」能力を修得することを目的とし,以下の2点を到達目標とします。
①行政救済法の基礎概念・基礎理論を理解すること。
②現実に生じた行政上の課題について,判例・学説の考え方に基づいて,論点を整理したうえでその解決策を検討できるようになること。

成績評価の方法および基準

 小テストおよびレポートにより評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『現代行政法入門』 曽和俊文ほか(有斐閣)
参考文献『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ』 宇賀克也ほか編(有斐閣)
参考文献『行政法判例50!』 大橋真由美ほか(有斐閣)
参考文献『行政法概説Ⅱ 行政救済法』 宇賀克也(有斐閣)
参考文献『社会とつながる行政法入門』 大橋洋一(有斐閣)
参考文献『行政法Ⅱ 現代行政救済論』 大橋洋一(有斐閣)

準備学修の内容

 テキストに従って講義を進めていくため,基本的にはテキストを用いて予習・復習を行ってください。
・予習…テキストの指定範囲を読み進め,わからない用語等があれば参考文献等で確認しておいてください。
・復習…理解が十分でない点を中心に,テキスト,ノートや参考文献等により見直してください。

その他履修上の注意事項

①テキスト・参考文献については,いずれも最新版を用意してください。
②実定法を確認する機会が多々あります。コンパクトサイズの六法を持参するなど,適宜条文を参照できるような態勢を整えてから授業に臨んでください。
③「行政法Ⅰ」を履修したことを前提に講義を行います。授業内でも簡潔に説明はするものの,基本的には,各自において適宜復習してください。
④不法行為法や民事訴訟法等の法律科目の知識を必要とする項目があります。これらの科目を事前に,または,並行して履修することが望ましいでしょう。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション…行政法総論の基礎概念
第2回行政訴訟法の全体像
第3回取消訴訟の対象
第4回取消訴訟の原告適格と訴えの利益
第5回取消訴訟のプロセス
第6回無効等確認訴訟,不作為の違法確認訴訟,差止訴訟
第7回義務付け訴訟,法定外抗告訴訟
第8回当事者訴訟
第9回民衆訴訟,機関訴訟
第10回行政上の不服申立制度
第11回公権力の行使に関する賠償
第12回営造物の瑕疵に関する賠償
第13回損失補償
第14回総括…行政救済法
第15回補論…行政救済法の実相(オンライン)