ECCP(論理的思考)Ⅲ
担当者西田 令一教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングSEM-303

授業の概要(ねらい)

 日本人は論理的思考が苦手だといわれます。確かに、欧米主要国の人々に比べ、その点で後れを取っているのは否めません。日本では元来、自らの意見を明快に表明する習慣に乏しいうえ、そのような訓練も十分に行われていないようにみえます。しかし、グローバル化の時代に、このままではいけないと思います。
 皆さんが実際に、社会に出てどのような職業に就くにしても、あるいは、大学院に進んで勉学を続けるにしても、日々直面するのが論理的思考だといっていいでしょう。具体的には、目の前に生起するさまざまな事象について、それをどう捉えて分かりやすく筋道を立てて論じたり、それにどう対処したりするか、ということです。
 授業では毎回、社会・政治・経済・国際問題の中から、受講生が身近に感じられるような、注目すべき出来事を取り上げ、社説をはじめとする新聞記事などを教材にして、論理的思考の基本を学習してもらいます。
 それぞれの出来事について、どのような見方や評価をすればいいのか、それはなぜなのかといったことを丁寧に説明して、受講生によく「消化」してもらい、受講生にも考えを述べてもらい、文章にもしてもらいます。そうした授業の回を重ねることによって、論理的思考力が自然と身についていくようにしたいと考えています。

授業の到達目標

 論理的思考とは、独りよがりの理屈を唱えることとはまるで違います。まず、おおよその事実関係をしっかりと把握する習慣と力を身につけること、次に、その事実について合理的な、妥当な判断を下せる見識を持つこと、そして、それを文章や口頭で論理的に説明する表現力を養うことが肝心です。
 そうした力は何といっても文章に表すことによって養われますから、授業ではとりわけ書くことに重点を置きます。物事の要点をきちんとつかんだうえで、自らの意見を的確な文章に表現できるようになることを目指します。そうなれば、口頭での表現力も自ずとついてきます。

成績評価の方法および基準

 社会・政治・経済・国際問題に関する論考やインタビューなどを題材にその要点や自分の考えをまとめる小論・課題の提出を6~7回求めるほか、それと、最後に行う授業内の小論・課題テストの出来具合を評価の二本柱に据え、さらに授業での受け答えぶりも加味して、成績を決定します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書原則として毎回、こちらで用意した教材のコピーやプリントを受講生に配布します。書き写すことによって論理的な筆の運びを身につけてもらう教材として、新聞の社説も適宜使用します。
参考文献

準備学修の内容

 小論・課題は、指定される次回ないしは次々回の授業までに必ず、作成し提出するように心掛けてください。次回の授業で学ぶ事柄を予告することもありますので、その場合は予備知識を仕入れて授業に臨むことが大切です。

その他履修上の注意事項

 毎回、一つの事象を取り上げ、それについて十分に講義しておいて、受講生との間で質疑応答を行うという授業形式を取ることが多くなります。したがって、受講生には授業に積極的に参加する姿勢が求められます。
 社説の筆写に必要な専用のノートか200字詰め原稿用紙ノートなどを用意してもらいます。国語の辞書や電子辞書も必携です。分からない言葉が出てきたらその都度、辞書を引くことが不可欠です。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション(米紙ニューヨーク・タイムズ記事の日本語訳などを使って、論理的思考では読み解く力がいかに重要か、そのために欠かせないものは何かを学修し、授業全般の基本的進め方を理解する)。
第2回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は五輪組織委会長の女性蔑視発言・辞任の問題を取り上げて、国際的波紋についても考えた)。
第3回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は、異論を封じるという五輪組織委などスポーツ団体の体質まで掘り下げ、小論を作成した)。
第4回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は新型コロナ・ウイルス感染拡大への日本の対応をめぐる2紙社説の違いを課題にまとめた)。
第5回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は新型コロナ・ウイルス感染の世界的流行をグローバル化の観点から捉え、課題を作成した)。
第6回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は1年延びて目前に迫った夏季東京五輪の中止か実施かに関する社説を読み議論を交わした)。
第7回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は前回1964年東京五輪時の状況と今回との相違を動画視聴などで学び、歴史的視野を深めた)。
第8回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は今回の五輪招致決定時の各紙社説から五輪に問われているものをつかみ、小論を作成した)。
第9回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は日米仏3カ国の思考表現様式を比較した資料を読解し、論理的表現のあるべき姿を探った)。
第10回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は上記資料による日本の国語教育の問題点を、自らの体験も踏まえて述べる課題を作成した)。
第11回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は広島への原爆投下をめぐる日米識者の見解の相違を要約する課題を作成、論点を整理した)。
第12回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度はオバマ米大統領=当時=の広島訪問の意義と限界を、米識者の見解を踏まえつつ考察した)。
第13回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(2021年度は前記要約課題の講評を受けるとともに、原爆投下やオバマ広島訪問に関し小論を作成した)。
第14回 前期授業のおさらいと授業内小論・課題テスト
第15回 LMSによるオンライン授業で、社会・政治・経済・国際の事象について理解を深め、文章に表す方法を修得する(2021年度は第13回授業で作成した小論の講評を受け、文章表現上の問題点について学修した)。