ECCP(論理的思考)Ⅳ
担当者西田 令一教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングSEM-304

授業の概要(ねらい)

 実社会に出て職業の分野を問わず求められるのは、自分の周りで起きる事態や自らが直面する出来事を論理的に捉えて的確な判断を下し、それに基づいて文章や口頭で筋道を立てて表現し、討議するという力です。 後期では、前期で受講生が身につけ始めた、論理的に考える習慣が確実に定着していくようにします。
 そのための手段として、前期に引き続き、社会・政治・経済・国際問題から受講生にとって関心ある事柄を取り上げて解説し、質疑応答を行うという授業形式を取ります。
 前期と同様に新聞の社説も適宜使用します。新聞社個々の特定の路線を普及しようというのでは毛頭ありません。社説は、折々の内外事象をテーマに取り上げていて、新聞記事の中でも最も論理構成がしっかりしているから、教材として最適なのです。社説を書き写す学習方法は、手を動かすことによって論理的な筆の運びを学んでもらうためであり、後期でも継続します。
 後期ではさらに、受講生の論理的思考の習熟度を見ながらですが、討論形式を取り入れた授業を実施する可能性もあります。その場合は、提案や動議をめぐり賛否両論を戦わすという、英国の大学における弁論部の方式に倣って行います。

授業の到達目標

 後期では、受講生が社会人としてやっていけるような論理的思考力の基礎固めを目指します。具体的には、論理的で平易な文章を書けるようになること、要領を得た説明、発表(プレゼンテーション)ができるようになること、そして、理想をいえば、議論の入り口ぐらいには立てるようになることです。ただし、論理的な文章表現に重きを置く点は前期と変わりません。

成績評価の方法および基準

 前期と同じく、社会・政治・経済・国際問題に関する論考やインタビューなどを題材にその要点や自分の考えをまとめる小論・課題の提出を6~7回求め、それらと、最後に行う授業内の小論・課題テストの出来具合を評価の2本柱に据え、さらに授業での受け答えぶりも加味して、成績を決定します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書前期と同様、授業で使う社説などの新聞記事、関連資料、レジュメなどの印刷物は毎回、こちらで選択し作成もして、そのコピーを配布します。
参考文献

準備学修の内容

 前期に引き続き、小論・課題は、指定される次回ないしは次々回の授業までに必ず、そのテーマについて十分に調べて作成し提出するように心掛けてください。次回の授業で学ぶ事柄を予告することもありますので、その場合は予備知識を仕入れて授業に臨むことが大切です。

その他履修上の注意事項

 毎回、一つの事象を取り上げ、それについて十分に講義しておいて、受講生との間で質疑応答を行うという授業形式を取ることが多くなります。したがって、受講生には授業に積極的に参加する姿勢が求められます。そうすることによって徐々に力がついていくと考えてください。
 社説の筆写に必要な専用のノートか200字詰め原稿用紙ノートなどを用意してもらいます。国語の辞書や電子辞書も必携です。分からない言葉が出てきたらその都度、辞書を引くことが不可欠です。

授業内容

授業内容
第1回 前期小論・課題テストの講評を通じて、文章表現と論理構成などについて学ぶ。
第2回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(一橋大講演会の中止に関連して憎悪表現か言論の自由かという問題を考え、質疑応答を行う)。
第3回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(米大学での類似例との比較から言論の自由の重さが日米で違うことを認識し小論を作成する)。
第4回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(日弁連の死刑廃止宣言文を読んで死刑存置派、廃止派双方の論拠を整理する課題をまとめる)。
第5回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(第4回授業課題の講評を受け、死刑をめぐり異なる論調の社説を書き写し、小論を作成する)。
第6回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(日米仏3カ国の思考表現様式を比較した資料を読み解いて、論理的表現のあるべき姿を探る)。
第7回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(上記資料に基づき、日本の国語教育の問題点を自らの体験も踏まえて論じる小論を作成する)。
第8回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(「論理国語」新設に関する論考を解釈し、論理的表現に不可欠な要素について理解を深める)。
第9回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(上記論考を補足する資料を読み込んだうえで、論考の最も重要な部分を課題としてまとめる)。
第10回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(日系人受賞者を日本人のように扱うノーベル賞報道を取り上げて、国籍の問題を考えてみる)。
第11回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(現代の米学生気質を描いた、米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿=日本語訳=を読み解く)。
第12回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(日本人ジャーナリスト拘束・解放をめぐる自己責任論の当否を多角的に捉え小論にまとめる)。
第13回 社会・政治・経済・国際の事象について理解を深めたうえで質疑応答を行い、文章に表す方法を修得する(大学駅伝部監督の「男だろ」という〝活〟を契機に、性差別や男女機会均等の問題を考える)。
第14回 後期授業のおさらいと授業内小論・課題テスト
第15回 LMSによるオンライン授業で、社会・政治・経済・国際の事象について理解を深め、文章に表す方法を修得する(2021年度は領土問題に関連して、武力による国境線変更を許してはならないとの大原則を学んだ)。