社会情報論Ⅱ
担当者木村 友久教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [スポーツ医療学科]
科目ナンバリングSOC-104

授業の概要(ねらい)

知的財産基本法は、「知的財産」を『発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。』と包括的に定義する(2条)。ここで規定する知的財産の本質は価値のある情報財ととらえることができ、この情報を正確に解釈し活用する能力は現代社会に欠かせないものになっている。しかしながら、マスメディア等から流される知的財産を含む情報は必ずしもすべてが正確で合理的な整理がされているものではない。ここでは、インターネット上に存在する知的財産情報を検索、整理、可視化するとともに、当該情報を戦略的に活用する基礎的な能力を形成すること目標とする。具体的には、音楽著作権のデータベース検索と整理、商標データベースの検索と整理および各組織のブランド戦略の理解、意匠データベースの検索と整理および各組織のデザイン戦略の理解、特許データベースの検索と整理および各組織の事業戦略の理解、これらを統合した初歩的な知財戦略の提案を扱う。この科目は、著作権情報、特許情報、商標情報等々、学生の専門領域を問わない文理融合型の授業を行います。また、データ活用の観点からデータサイエンス教育応用基礎レベルに位置する科目です。

授業の到達目標

知識・理解の観点・・・各種の知的財産情報について、検索方法、情報の意味、整理方法の基本的事項を修得する。
思考・ 判断の観点・・・各種の知的財産情報について、正確に情報の意味を理解し合理的に整理できる。
関心・意欲の観点・・・各種の知的財産情報を、取得・整理・活用するための積極的な対応ができる。
態度の観点・・・各種の知的財産情報を統合し、知財面から見た初歩的な事業戦略を提案できる。
技能・表現の観点・・・知的財産情報を検索・整理・可視化し、その内容を簡単に他者に説明できる。

成績評価の方法および基準

評価方法:1.授業最終回提出の最終レポート(10%) 2.毎回提出するワークシート(小テスト)の点数合計(90%)
評価基準:1.毎時間のワークシート課題・・・知識、理解、検索および分析技能を測定 知財情報自体に対する知識理解と、例題レベルの検索とそれに基づく分析ができる。
     2.最終レポート・・・思考、判断、関心・意欲、検索分析能力の形成を測定 講義(予習復習を含む)を通して獲得した知識とスキルを統合し、知的財産情報を参考に初歩的な知財戦略が提案できる。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書なし
参考文献なし

準備学修の内容

事前に、下記ホームページをブックマークして、サイトの全体像を把握してください。
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
https://www.jasrac.or.jp/
株式会社NexTone
https://www.nex-tone.co.jp/
特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

その他履修上の注意事項

1.事前に、ご自身のパソコンあるいは携帯端末のブラウザで、下記ホームページをブックマークしてください。
   パテントサロンホームページ  https://www.patentsalon.com/
2.パテントサロンホームページを参照して、授業前一週間にアップロードされた話題の中で最も興味がある事項を調べることもおすすめです。

授業内容

授業内容
第1回講義内容の説明
知的財産の概要と知的財産情報の取得方法、メディアから発信される知的財産情報とその正確性を討議する。
第2回音楽著作物の情報検索と整理(1)
 著作権法の中で音楽著作物が関係する入門的知識の説明
 一般社団法人日本音楽著作権協会と株式会社NexToneの楽曲検索システムの使い方、情報の解釈、整理方法の説明。
第3回音楽著作物の情報検索と整理(2)
 一般社団法人日本音楽著作権協会と株式会社NexToneの楽曲検索システムの使い方、情報の解釈、整理方法について、5種類の演習課題を使いワークシートにまとめる。
第4回商標情報の検索と整理(1)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供する無償の検索システム、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用した、商標出願および登録情報の検索方法を説明する。ここで、検索できる商標情報の種類と意味を説明する。
第5回商標情報の検索と整理(2)
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用した、商標出願および登録情報に関する演習課題を、ワークシートにまとめる。
第6回商標情報の検索と整理(3)
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して、演習として特定組織の過去のブランド戦略を調査する。この回の演習では、取得分析した情報をもとに、各組織の中長期的な商標戦略立論までの提案をワークシートにまとめる。
第7回意匠(デザイン)情報の検索と整理(1)
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用した、意匠出願および登録情報の検索方法を説明する。ここで、検索できる意匠情報の種類と意味を説明する。権利の範囲を考える基本的な手法も扱う。
第8回意匠(デザイン)情報の検索と整理(2)
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用した、意匠出願および登録情報に関する演習課題を、ワークシートにまとめる。
第9回意匠(デザイン)情報の検索と整理(3)
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して、演習として特定組織の過去のデザイン戦略を調査する。この回の演習では、取得分析した情報をもとに、各組織の中長期的なデザイン戦略立案までの提案をワークシートにまとめる。
第10回【オンライン授業・・・LMSによるオンデマンド授業】
植物新品種登録情報の検索と整理
 農林水産省ホームぺージで提供される、植物品種登録検索システムを利用した登録情報の検索方法を説明する。種苗法の全体像を簡単に説明するとともに、品種登録情報に関する演習課題で、取得分析した情報をもとに各組織の中長期的な戦略立案までの提案をワークシートにまとめる。
※この回の授業は、LMS上に配置した音声ファイルとスライド等の資料を利用したオンデマンド形式で実施します。
なお、同じ内容の動画による配信を下記から実施します(2022年10月15日から配信)。ご自宅からの利用で回線容量が無制限の環境であれば、下記の動画サイトからの視聴をお勧めします。
https://www.kim-lab.info/domescon/t2022soinfo2/t2022soinfo2_no10.html  
第11回特許情報の検索と整理(1)
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用した、特許出願および登録情報の検索方法を説明する。ここで、検索できる特許情報の種類と意味を説明する。特許発明の簡単な事例を用いて、発明思想の把握演習を行いワークシートにまとめる。
第12回特許情報の検索と整理(2)
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用した、特許出願および登録情報に関する演習課題をワークシートにまとめる。
第13回特許情報の検索と整理(3)
パテントマップの事例を用いて、その意義と作成方法を説明する。特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して、簡単なパテントマップ作成演習を行う。
第14回特許情報の検索と整理(4)
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して、演習として特定組織の過去の技術戦略を調査する。この演習は、課題として設定した組織の今後の技術戦略までの提案をワークシートにまとめる。
第15回ここまでに学習した内容を総合して、学生が設定した課題で最終レポートを作成する。