日本史籍講読3-Ⅲ
担当者深谷 幸治教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングJPH-405

授業の概要(ねらい)

 この日本史籍講読3B-Ⅰの授業目的は、日本史の前近代、特に中世史(鎌倉・南北朝・室町・戦国・織豊)専攻を希望し、あるいはその時代に関して将来的な卒業論文執筆を希望する学生諸君が、あらかじめ身に付けておくべき能力を養うこと、すなわち該当する時代の諸史料(行政文書・書状・日記・記録など)を実際に読み、現代語に訳し、内容を正確に理解し、ひいてはその時代の諸相を理解できるようになることである。
 そのため、この授業に参加する学生諸君に行ってもらうべきことは、提示される史料の原文(活字化されているもの)をまず読み、そこに登場する人名・地名・語句を調査し、さらにその史料が成立した時代背景や筆者・作者自身についても調べて発表するというものになる。形態的には演習に近いものである。当然ながら、史料は全て漢文か古文、またはそれらの混交文で書かれている。それに対応するため、授業の初期の段階では、まず担当教員が高校レヴェルの漢文・古文の復習的講義や、古文書学的な説明を行い、そののち前記のような作業にかかることになる。それはグループ別の発表となり、学生諸君はグループを形成して調査と発表レジュメ(プリント)作成に当たってもらう。グループはその内容を発表し、質疑を行い、また担当教員が説明を補足する。参加学生諸君はグループ別で前期に2回は発表の順番が当たることになるので、心得ておいてほしい。

授業の到達目標

 参加学生諸君が、過去の人々が書いた諸史料の中身に実際に触れ、それを読み、訳して理解することによって、歴史学的な研究手法を獲得していくことを目指す。また史料の調査・発表・質疑などによって得られた知識・経験を重ねることにより、将来的な演習の授業や、またレポートの作成・卒業論文の執筆に役立てることができるようになる。さらには社会人となってのちも、そうしたスキルが仕事の上で生きていくことになる。そうした能力の獲得を目標とする。

成績評価の方法および基準

 出席は成績評価の前提となる必要条件である。それを満たした上で、授業ごとの発表内容とそれへの貢献度、また前期最後の時間に実施する試験の回答内容を勘案して、成績を評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 特定のテキストは使用しない。必要な史料は毎回担当教員が準備し、それをブリントとして配布する。
参考文献

準備学修の内容

 上記の通り、前近代の史料は全て漢文・古文およびそれらの混交文で書かれているので、参加学生諸君は高校で学修したレヴェルの基礎的な漢文・古文の知識が必要となる。復習のためそれらの教科書・参考書などを取り寄せて自己学修しておくことが望ましい。また使用される漢字は現在の当用自体ではなく、旧字体になるので、漢和辞典などを手元に置いて使用できるようにしておくこと。さらに古文書学などの関係授業を並行して受講しておくことが望ましい。

その他履修上の注意事項

 参加学生は積極的にグループ発表に貢献し、調査・質疑に加わることが期待される。
 また以下の授業内容はあくまで予定であり、状況によっては変更されることもあるので、承知しておいてもらいたい。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス。授業の進め方、グループ発表の方式や注意事項などについての説明。またグループ分けを行うので、初回のこの授業には必ず出席すること。さらに時間があれば、この時間から漢文・古文に関する復習的講義を開始する。
第2回 前回に続き、漢文・古文に関する復習的講義を行う。
第3回 グループ発表を開始する。1回目は平安時代の物語など。
第4回 グループ発表2回目、平安時代の日記など。
第5回 グループ発表3回目、平安時代の説話など。
第6回 グループ発表4回目、鎌倉時代の記録など。
第7回 グループ発表5回目、鎌倉時代の軍記物など。
第8回 グループ発表6回目、鎌倉時代の行政文書など。
第9回 グループ発表7回目、鎌倉時代の武家法など。
第10回 グループ発表8回目、鎌倉時代の記録など。
第11回 グループ発表9回目、鎌倉時代の紀行文など。
第12回 グループ発表10回目、鎌倉時代の日記など。
第13回 古文書学的な説明授業、1回目。
第14回 古文書学的な説明授業、2回目。(オンライン)
第15回 全体のまとめと総括、試験。