刑法各論Ⅰ
担当者久保田 隆教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCRL-201

授業の概要(ねらい)

 本講義では、殺人罪や窃盗罪、放火罪といった個別の犯罪類型の成立要件や、それらの犯罪の相互関係について学びます。春期の「刑法各論Ⅰ」では、主に、個人的法益に対する罪(財産犯を除く)、および、国家的法益に対する罪を扱います。

授業の到達目標

①刑法各論の全体像を把握し、各犯罪類型を正確に位置づけることができる。
②各犯罪の成立要件と典型事例を学び、問題となる行為が何罪にあたるのかを理由とともに説明できる。
③各犯罪の区別に関する判例・学説を学び、限界事例を適切に処理できる。
④①〜③を踏まえたうえで、特に時事問題の検討を通じて、社会を見る眼を養う。

成績評価の方法および基準

【対面での試験を実施できる場合】学期末試験(100%)によって評価します(講義内容に関する質問・コメントなどを募集し、その内容に応じて加点することがあります)。
【対面での試験を実施できない場合】学期末レポート(100%)によって評価します(加点については同上)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『刑法各論〔第3版〕【新・論点講義シリーズ2】』井田良=佐藤拓磨弘文堂
教科書『刑法各論判例50!』十河太朗=豊田兼彦=松尾誠紀=森永真綱有斐閣
参考文献『入門刑法学・各論〔第2版〕』井田良有斐閣
参考文献『講義刑法学・各論〔第2版〕』井田良有斐閣
参考文献『刑法各論〔第7版〕』西田典之=橋爪隆〔補訂〕弘文堂
参考文献『刑法判例百選Ⅱ各論〔第8版〕』佐伯仁志=橋爪隆〔編〕有斐閣
参考文献『判例プラクティス刑法Ⅱ 各論』成瀬幸典=安田拓人=島田聡一郎〔編〕信山社

準備学修の内容

 毎回、講義の最後に翌週の講義内容を予告しますので、上記「教科書」(『刑法各論〔第3版〕【新・論点講義シリーズ2】』)の該当箇所を読んで予習してきてください。
 さらに、講義後には、わからなかった点やもっと深く知りたいと思った点について、上記参考文献を使って復習するようにしてください。また、講義中に登場した重要な判例については、上記「教科書」(『刑法各論判例50!』)をはじめとする判例教材(「参考文献」掲載のものも含む)の該当箇所に目を通すと、より理解を深めることができます。

その他履修上の注意事項

・「刑法総論I・Ⅱ」をすでに履修済み、または、並行して履修していることが望ましいです。
・講義では、毎回レジュメを配布します(LMSでも配信予定)。
・六法を毎回必ず(!)持参してください(小型のもので構いません)。
・質問や相談は、講義の前後に受け付けるほか、LMSにも専用の項目を設けます(内容の濃い質問やコメントは、翌週の授業でとりあげることがあります)。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション 刑法各論の全体像|春期の内容の概観|基本概念(保護法益など)
第2回生命・身体に対する罪① 概説|「人」の意義①──人の始期(殺人罪|堕胎罪)|人の意義②──人の終期(臓器移植法)
第3回生命・身体に対する罪② 自殺関与罪・同意殺人罪|殺人罪との区別
第4回生命・身体に対する罪③ 概説|暴行罪と傷害罪|傷害致死罪
第5回生命・身体に対する罪④ 過失致死傷罪ほか|自動車運転死傷行為処罰法(「あおり運転」をめぐる諸問題を含む)
第6回生命・身体に対する罪⑤ 生命・身体に対する危険犯(遺棄の罪)|安楽死・尊厳死|同時傷害の特例
第7回自由に対する罪① 概説|脅迫罪と強要罪|逮捕・監禁罪
第8回自由に対する罪② 概説|略取誘拐罪|人身売買罪
第9回自由に対する罪③ 概説|強制わいせつ罪|強制性交等罪(近時の法改正をめぐる動向を含む)
第10回自由に対する罪④ 住居侵入等罪
第11回人格的法益に対する罪 概説|秘密侵害罪(信書開封罪|秘密漏示罪)|名誉毀損罪|侮辱罪(「SNSにおける誹謗中傷」をめぐる諸問題を含む)
第12回信用・業務に対する罪 概説|信用毀損罪|業務妨害罪
第13回国家的法益に対する罪① 概説|国家の作用に対する罪(公務の執行を妨害する罪|司法作用に対する罪|汚職の罪)
第14回国家的法益に対する罪② 国家の存立に対する罪(内乱に関する罪|外患に関する罪|国交に関する罪)
【LMSを利用したオンデマンド方式にて実施】
第15回【対面での試験を実施できる場合】春期のまとめと学期末試験
【対面での試験を実施できない場合】春期のまとめと学期末レポートの講評