刑法各論Ⅱ
担当者久保田 隆教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCRL-202

授業の概要(ねらい)

 本講義では、殺人罪や窃盗罪、放火罪といった個別の犯罪類型の成立要件や、それらの犯罪の相互関係について学びます。秋期の「刑法各論Ⅱ」では、主に、個人的法益に対する罪のうち、財産犯、および、社会的法益に対する罪を扱います。

授業の到達目標

①刑法各論の全体像を把握し、各犯罪を体系的に位置づけることができる。
②各犯罪の成立要件と典型事例を学び、問題となる行為が何罪にあたるのかを理由とともに説明できる。
③各犯罪ごとに、類似する犯罪との区別に関する判例・学説を学び、限界事例を適切に処理できる。
④①〜③を踏まえたうえで、今まさに日本で起きている問題について刑法学の見地から分析・解説できる。

成績評価の方法および基準

・主として、学期末試験(80%)と小レポート(20%)によって評価します。
・その他、講義中の発言なども加味します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『刑法各論〔第3版〕【新・論点講義シリーズ2】』井田良=佐藤拓磨弘文堂
教科書『刑法各論判例50!』十河太朗=豊田兼彦=松尾誠紀=森永真綱有斐閣
参考文献『入門刑法学・各論〔第2版〕』井田良有斐閣
参考文献『講義刑法学・各論〔第2版〕』井田良有斐閣
参考文献『刑法各論〔第7版〕』西田典之=橋爪隆〔補訂〕弘文堂
参考文献『刑法判例百選Ⅱ各論〔第8版〕』佐伯仁志=橋爪隆〔編〕有斐閣
参考文献『判例プラクティス刑法Ⅱ 各論』成瀬幸典=安田拓人=島田聡一郎〔編〕信山社

準備学修の内容

【予習】毎回、講義の最後に翌週の講義内容を予告しますので、上記「教科書」(井田=佐藤『刑法各論〔第3版〕【新・論点講義シリーズ2】』)の該当箇所を読んで予習してきてください。
【復習】講義後には、理解が追いつかなかった点やもっと深く知りたいと思った点について、上記「参考文献」の該当箇所を読んで復習するようにしてください。また、講義中に登場した重要な判例については、上記「教科書」(十河ほか『刑法各論判例50!』)をはじめとする判例教材(「参考文献」掲載のものも含む)の該当箇所に目を通すことを習慣化してください。

その他履修上の注意事項

・「刑法総論I・Ⅱ」および「刑法各論I」をすでに履修済み、または、並行して履修していることが望ましいです。
・講義では、毎回レジュメを配布します(講義後にLMSでも配信予定)。
・六法を毎回必ず(!)持参してください(小型のもので構いません)。
・質問や相談は、講義の前後に受け付けるほか、LMSにも専用の項目を設けます(内容の濃い質問やコメントは、翌週の講義でとりあげることがあります)。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション 春期の復習|秋期の内容の概観
第2回財産に対する罪① 財産犯総説|財産犯の保護法益|不法領得の意思|財産犯の体系
第3回財産に対する罪② 窃盗罪|不動産侵奪罪|親族相盗例
第4回財産に対する罪③ 強盗罪(1):総説|一項強盗罪|二項強盗罪
第5回財産に対する罪④ 強盗罪(2):事後強盗罪|昏酔強盗罪|強盗致死傷罪ほか|強盗・強制性交等罪ほか
第6回財産に対する罪⑤ 詐欺罪・恐喝罪(1):総説|詐欺罪(「特殊詐欺」をめぐる諸問題を含む)
第7回財産に対する罪⑥ 詐欺罪・恐喝罪(2):詐欺罪の諸論点|電子計算機使用詐欺罪|恐喝罪(「特殊詐欺」をめぐる諸問題を含む)
第8回財産に対する罪⑦ 横領罪・背任罪(1):総説|横領罪|横領罪・背任罪の諸論点(1)
第9回財産に対する罪⑧ 横領罪・背任罪(2):背任罪|横領罪・背任罪の諸論点(2)
第10回財産に対する罪⑨ 盗品等に関する罪|毀棄・隠匿の罪【LMSを利用したオンデマンド方式にて実施】
第11回財産に対する罪⑩ 財産に対する罪の総括|営業秘密侵害の罪と財産犯(「産業スパイ・経済スパイ」をめぐる諸問題を含む)
第12回社会的法益に対する罪① 概説|公共の安全に対する罪(放火の罪)
第13回社会的法益に対する罪② 公共の信用に対する罪(概説|文書偽造罪・総論|文書偽造罪・各論)
第14回社会的法益に対する罪③ 風俗に対する罪(概説|わいせつの罪|賭博の罪)
第15回【対面での試験を実施できる場合】秋期のまとめと学期末試験
【対面での試験を実施できない場合】秋期のまとめと学期末レポートの講評