日本経済論特講Ⅱ
担当者小林 成弘教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学研究科 経営学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 本講座では、第二次大戦で荒廃した日本がいち早く復興を遂げ「日本の奇跡」と呼ばれる戦後の高度経済成長・経済発展を達成した過程と要因を、世界経済のダイナミックな動きの中で理解していくことを目標とします。
 前期は、①1920年代まで自由放任主義の考え方が主流であったアメリカが、世界恐慌をきっかけに政府による経済関与が強まっていった経緯、②戦前、世界の主要国が「大きな政府」を目指すようになっていくなかで日本ではどのような動きがみられたのか、③日本が戦後高度経済成長を果たすことができた背景として、戦前に形成された統制経済システムの存在が指摘されるのは何故か、④戦後世界の経済秩序を支えたブレトンウッズ体制、IMF-GATT体制とはどのようなものか、⑤自由貿易を目指すGATTの精神はWTOに受け継がれたが、いま世界各地でWTOとは別次元で地域経済協定の締結が増えているのは何故か、といった問題について学びます。
 後期は、①戦後世界の中心にあったアメリカが経済変調をきたしニクソン・ショックを招いたのは何故か、②それをきっかけにブレトンウッズ体制が崩れ固定相場制から変動相場制に移行していった経緯と影響、③1970年代に起きたオイルショックの歴史的背景と世界経済への影響、④オイルショックのあと先進各国で「小さな政府」を指向する時代に入っていったのは何故か、⑤1980年代、日本で外需依存体質が強まり、それが平成バブル経済の発生に繋がっていった経緯、などについて学びます。 
 なお、これらに加え、昨今の日本の経済・金融動向に関するホットな話題も随時紹介します。

授業の到達目標

 受講者は、「小さな政府」と「大きな政府」という政策論争に対する見識を養い、現在の日本経済が歴史的、地政学的にどのように位置づけられるのかを理解できるようになってもらうことを目標とします。

成績評価の方法および基準

 期末に行うペーパーテストの成績を基礎点(評価配分=約70%)とし、これに普段の授業への取り組み姿勢(義務的課題の提出や任意レポートの提出など:評価配分=約30%)を加算して総合評価します。 ただし、この成績評価は15回の授業すべてに出席することを前提としたものですので、授業を休んだ場合は(やむを得ない事情による場合を除き)欠席回数に応じて総合点から減点します(最大30%減点)。
 なお、以下のような迷惑行為や不正行為があった場合は、大幅な減点となります。(最大100%減点)
①授業中の私語や、他の学生に迷惑や悪影響を及ぼすあらゆる「迷惑行為」
②出席の偽装、テストにおけるカンニング、レポート等におけるネット情報等のコピー&ペーストなどあらゆる「不正行為」

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは特に指定しません。
参考文献『高度成長期の日本経済』武田晴人編(有斐閣)

準備学修の内容

 授業は講義の都度配布(またはLMSに掲示)するパワーポイント資料に沿って進めます。
 資料は情報量が大変多いので、授業に出席せずテスト直前に配布資料だけ読んで勉強しても解答することは到底不可能です。 必ず毎回に出席し、何が問題なのか、何が重要ポイントなのか、理論の前提条件は何かといった点を丁寧に確認しながら経済理論がどのように展開されているのかを、毎回欠かさず復習するようにしてください。
 なお、講義内容の理解を深め知識の定着を図るため、時折、授業の中で公務員試験に出る経済問題などを出して解説していく予定です。 これらの問題に欠かさず取り組んでおけば、期末テストで特に苦労することはなくなるでしょう。

その他履修上の注意事項

 経済学の様々な理論が、どのような社会状況下で生まれたのか、その理論はどのような前提条件で構築されているのか、その理論を巡ってどのような経済論争が巻き起こったのか、といった点を特に意識して聴講するようにしてください。
 なお、今学期は全15回の授業のうち対面授業が14回、LMS授業が1回となっていまが、LMS授業の実施日については後日、授業の中でお知らせします。 また、今期の講義予定を不足なく実施するため、15回の授業とは別に、補講の形でLMS授業を行うことがありますのでご承知おきください。

授業内容

授業内容
第1回 米ソ冷戦からドルショックへ
第2回 オイルショック
第3回 「大きな政府」から「小さな政府」へ
第4回 2つのコクサイ化と中曽根行革
第5回 戦後の日米貿易摩擦
第6回 外圧と経済構造改革
第7回 規制緩和と国際金融都市東京の再開発
第8回 プラザ合意と円高不況
第9回 景気のV字回復から平成バブルへ
第10回 バブル崩壊と失われた20年
第11回 アベノミクスと「日銀景気」
第12回 戦後日本の産業構造変化
第13回 足下の経済・金融動向(アメリカ経済)
第14回 足下の経済・金融動向(日本経済)
第15回 まとめ