商取引法
担当者品川 仁美教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCIL-212

授業の概要(ねらい)

 「商法」は、皆さんにとってあまり馴染みがなく、親しみにくい分野に感じられるかもしれない。
 しかし、皆さんの多くは、スーパーやコンビニで買い物をしたり、バイト先で商品を売ったり、仕入れを行ったりと、実際には様々な経済活動を日常的に行っているだろう。これらの経済活動に係わる商人や彼らが行う商取引とはどのようなものなのかを規定し、その上で、種々の商取引について規律を設けるのが商法である。
 とはいえ、実のところ、これら商法上の規定と実務上のやり方には違いがある場合もある。本講義では、なぜ商法の規定と実務上の取り扱いに違いが生じるのか、それでは法律は全くの無意味なのか、法律にはどのような役割があるのかなど、様々な観点からもコメントを加えながら話を進める。本講義を通じて、皆さんは、日常当たり前のように行われている取引の後ろに、この講義で学ぶ様々なルールが隠れていることを知り、世界が一つ広がるような、そんな気分を味わうことができるだろう。
 一般的に商法に関連する法律には、商法(商法総則、商行為法等)だけでなく、会社法、決済法(手形小切手法)などの様々な分野があるが、本講義では商人が行う商取引について定めている商行為法を中心に講義を行う。具体的には、売買取引や媒介取引等の商取引についてどのような問題があり、それはどのように解決されるのか、なぜそのようなルールになっているのかについて理解し、議論を行えるようになることを目的とする。

授業の到達目標

 ①商法の発展的な授業として、商取引の各種類型がどのようなものか理解し、説明することができる。
 ②これを規制するルールはどのようなものか、判例だけでなく、実務上どのような扱いをしているのかも含め理解し、説明することができる。

成績評価の方法および基準

 授業内試験:100%
(完全オンライン授業になった場合には、小テストも行う)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『商法総則・商行為法』(第8版、2019)近藤光男著有斐閣
参考文献『商法判例百選』(2019)神作裕之・藤田友敬編有斐閣

準備学修の内容

シラバスの授業内容を参照して、テキストの該当箇所を読む。
次の授業で扱う範囲を理解した上で、日経新聞等の中で関係するニュースを探してまとめてくる。
(詳細は初回授業で説明する)

その他履修上の注意事項

「商法総論Ⅰ(総則)」を履修済みであることが望ましい。
民法も履修済み、もしくは並行して履修していることが望ましい(必須ではない)。
六法は必ず持参すること。
授業中の私語等、迷惑行為は厳に慎むこと。
出席していることを前提としているため、授業で配布したレジュメ等は、事後的に配布することはしない。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション、秋期授業の進め方について、商行為法総則①契約の成立に関する規定(申込みと承諾)
第2回 商行為法総則②:契約の成立に関する規定(申込の効力、諾否通知義務、ミラーイメージ)
第3回 【オンライン授業(LMS)予定】商行為法総則③代理及び委任(顕名主義の例外、レターオブインテント)
第4回 売買①商品の引渡(売主の不履行)
第5回 売買②商品の引渡(売主の不履行の判例、買主の受領遅滞)
第6回 売買③商品の引渡(買主の受領遅滞)、商品の受入れ(検査通知義務)
第7回 売買④商品の受け入れ(検査通知義務の判例)、買主の保管義務
第8回 売買⑤代金の回収(商事留置権)
第9回 仲介営業①仲立営業の意義、仲立契約
第10回 仲介営業②仲立人の義務
第11回 仲介営業③仲立人の責任、問屋①問屋の意義、問屋と仕切売買の違い
第12回 問屋営業②問屋と代理
第13回 問屋営業③問屋の破産
第14回 問屋営業④問屋の義務
第15回 まとめと授業内試験