法律学演習Ⅲ
担当者中岡 淳教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングSEM-401

授業の概要(ねらい)

この演習は、「憲法」のゼミです。憲法に関する主要な最高裁判所判例を徹底的に分析・検討することによって、「現に妥当する憲法秩序」の正確な理解およびこれに対する批判的視座の獲得を目指します。本演習では、グループ(基本的には2人1組のペアワーク)で判例の報告を担当してもらい、報告者の作成したレジュメを基に受講生全員で、判例の事案・内容に関するディスカッションを行います。
 ただし、前期の演習では、【授業内容】に記載の最高裁判例の検討を中心にゼミを進めますが、希望者がいれば、後期の演習では、【参考文献②】に掲載されている学説を素材に報告することを認めます。
 また受講生の要望に応じて、公務員試験の憲法の短答式試験の確認テストと解説や、法律系の資格試験の論述問題の答案練習の機会を設けたいと考えています。なお、ゼミ旅行や本学もしくは他大学の憲法(行政法)ゼミとの合同合宿も受講生の希望に応じて検討します。

授業の到達目標

 ①判例研究を通じて説得的な法的論証とは何であるのかを主体的に考えることができる。
 ②憲法判例の基本的な知識を用いながら、法律学の作法に基づいた報告や討論ができる。

成績評価の方法および基準

報告資料と報告内容(50%)、問題点に関するメモの提出(10%)、ディスカッションへの参加態度や貢献度(40%)を総合的に考慮して評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『教材憲法判例〔第5版〕』中村睦男ほか編著(北海道大学出版会、2020年)
参考文献『憲法判例の射程〔第2版〕』横大道聡編(弘文堂、2020年)
参考文献『憲法学の現在地』山本龍彦・横大道聡(日本評論社、2020年)

準備学修の内容

[報告者の準備]
 ①報告を担当する受講生は、判例とそれに関連する文献をよく読み、扱う判例のポイントの整理、学説や問題点の検討をまとめたレジュメを作成してください。
 ②報告終了後、参加者との議論や教員からの指摘を踏まえて報告資料を修正し、完成原稿を最終講義日の23時59分までに教員に提出してください。完成原稿のフォーマットは判例百選の形式に従ったものを事前に配布します。
[参加者の準備]
 報告者以外の受講生は、扱う判例を読んだうえで、報告日の前日までに、問題点について簡単なメモを作成し教員に提出してください。メモは1~2行程度の簡単なもので結構です。

その他履修上の注意事項

必ずしも読み易いとは言えない最高裁判例を時間をかけて読むことは、法律関係の文書だけでなく、社会で働く際に出会う様々な公的資料や社内文書を読み解く力を養うことに繋がります。文章がまともに読めない(文章をまともに読んだことがない)学生や社会人が増える昨今の状況において、学生の時に判例を読んだ経験は必ず皆さんの将来の糧になるでしょう。ですので、自身が担当する報告テーマ以外についても、事前に内容を把握するなどし、積極的に授業に臨んでください。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション(LMSによるオンデマンド形式)
第2回警察予備隊訴訟判決(最高裁昭和27年10月8日)
第3回砂川事件判決(最高裁昭和34年12月16日)
第4回マクリーン事件判決(最高裁昭和53年10月4日)
第5回八幡製鉄政治献金事件判決(最高裁昭和45年6月24日)
第6回薬事法違憲判決(最高裁昭和50年4月30日)
第7回チャタレー事件判決(最高裁昭和32年3月13日)
第8回猿払事件判決(最高裁昭和49年11月6日)
第9回堀越事件判決(最高裁平成24年12月7日)
第10回泉佐野市民会館事件判決(最高裁平成7年3月7日)
第11回広島市暴走族追放条例事件判決(最高裁平成19年9月18日)
第12回大阪市ヘイトスピーチ対処条例訴訟判決(最高裁令和4年2月15日)
第13回尊属殺違憲判決(最高裁昭和48年4月4日)
第14回国籍法違憲判決(最高裁平成20年6月4日)
第15回衆議院平成25年判決(最高裁平成25年11月20日)