法律学演習Ⅳ
担当者中岡 淳教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングSEM-402

授業の概要(ねらい)

 本演習は、①憲法の判例研究と②架空の事例問題に関するグループワークの2本立てで構成されています。本演習の前半(①)では、憲法上の論点を含む裁判例について受講生に報告してもらい、受講生全員で、その事案・内容に関するディスカッションを行います。また、本演習の後半(②)では、法学教室の演習欄や法科大学院入試に出題された事例問題を取り上げて、その事例の憲法上の論点、違憲か合憲かの結論、その理由付けについて、それぞれグループで検討してもらいます。さらに、受講生の希望に応じて、憲法に関する公務員試験の問題の検討も行います。

授業の到達目標

①法学における研究報告や事例分析の基本的な方法を身につける。
②憲法上の論点を自ら発見し、それを論理的かつ分析的に考察することができる。
③特定の課題について他者と協力して取り組み、その解決策を提案することができる。
④憲法に関する公務員試験短答式試験程度の問題を自力で解くことができる。
⑤憲法の論述問題の「書き方」(文章の流れや構成)を理解している。

成績評価の方法および基準

[基礎評価]
①演習での報告と議論への参加(40%)
②事例問題の解答例の写し(2部)の提出(20%)
③LMS「掲示板」での報告の感想の記入(20%)
④最終回での「答案作成準備シート」の提出(20%)
【加点要素】
①受講生の希望に応じて、公務員試験問題(短答式試験、正誤問題)の検討を行う場合、ゼミの冒頭に当該問題に関する簡単な確認テストを行います。そのテストで、10回以上合格点、5回以上満点を獲得した場合に加点要素として考慮します。
②ゼミで取り上げた論点や報告内容を基とする任意レポートの提出も認めます。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『教材憲法判例〔第5版〕』中村睦男ほか編著(北海道大学出版会、2020年)
参考文献『憲法判例の射程〔第2版〕』横大道聡編(弘文堂、2020年)
参考文献『憲法演習ノート21問〔第2版〕』宍戸常寿編(弘文堂、2020年)

準備学修の内容

[報告者の準備]
 報告を担当する受講生は、判例とそれに関連する文献をよく読み、扱う判例のポイントの整理、学説や問題点の検討をまとめたレジュメを作成してください。また報告の数週間前に、事前に教員に報告の方向性や進捗について相談してください。
[参加者の準備]
 報告者以外の受講生は、扱う判例を読んだうえで、判例や報告に対する疑問点やコメントを予め用意しておいてください。またグループワークを行う際は、事前に事例問題を読んできた上で、どのような憲法上の論点が問題となるのかを考えてきてください。

その他履修上の注意事項

 必ずしも読み易いとは言えない裁判の判決や決定を時間をかけて読むことは、法律関係の文書だけでなく、社会で働く際に出会う様々な公的資料や社内文書を読み解く力を養うことに繋がります。文章がまともに読めない(文章をまともに読んだことがない)学生や社会人が増える昨今の状況において、学生の時に判例を読んだ経験は必ず皆さんの将来の糧になるでしょう。ですので、自身が担当する報告テーマ以外についても、事前に内容を把握するなどし、積極的に授業に臨んでください。

授業内容

授業内容
第1回経産省性同一性障害トイレ制限訴訟
第2回エホバの証人輸血拒否事件
第3回夫婦同姓違憲訴訟(平成27年)
第4回東京都管理職選考受験訴訟
第5回札幌地裁同性婚判決
第6回「君が代」ピアノ伴奏拒否事件
第7回グループワーク①:法学教室2022年6月号(501号)「集会の自由」
第8回グループワーク②:「憲法改正の阻止は公務員の義務?」in憲法演習ノート21問
第9回グループワーク③:「テロの記憶」in憲法演習ノート21問
第10回グループワーク④:法学教室2022年7月号(502号)「信教の自由」
第11回グループワーク⑤:「基地のある街」in憲法演習ノート21問
第12回グループワーク⑥:法学教室2021年1月号(496号)「地方議会と司法審査」
第13回グループワーク⑦:法学教室2022年8月号(503号)「政教分離」
第14回グループワーク⑧:令和4年司法試験予備試験論文式試験問題
第15回【LMSオンデマンド】公務員試験論述問題の解説:令和4年度&令和3年度裁判所事務官採用試験