臨床アセスメント法Ⅰ
担当者稲垣 綾子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCLI-302

授業の概要(ねらい)

 心理臨床の実践では、①クライエントが抱える、もしくはもちこむ問題やニーズを見立て(アセスメント)、②それに基づいた具体的なアプローチや介入につなぐことが求められる。さらに、③専門家として、実践に関する適切な記録を作成し報告することが求められている。心理的アセスメントは主に①、③にかかわるものだが、②での具体的なアプローチや介入を方向づける下地や導入部分にあたり、援助の道筋に影響を及ぼしていく。また、援助経過中も関与しながらの観察を通してその機能は常に発揮される。見立てやアセスメントは心理援助において欠かせない、大きな柱のひとつである。
 本講義では、心理的アセスメントについての目的及び倫理、心理的アセスメントの観点と展開、心理的アセスメントの方法としての観察・面接及び心理検査、適切な記録及び報告の仕方の4点について学んでいく。これらを通して、心理的アセスメントについての基本的な理論、姿勢、知識、視点を身に付けていく。さらに、アセスメントにおける初歩的な技能を体験的に理解するため、ワークやロールプレイ、グループディスカッションなどのアクティビティに積極的に参加すること、内的体験を省み、言葉で表現するためのリアクションペーパーを提出することが求められる。将来専門家として、あるいは臨床心理学の具体的な視点として、問題やニーズ、リソースについて、全人的に(whole personとして)見立て、アセスメントする基礎を身につけていくことを目的とする。

授業の到達目標

1)心理臨床におけるアセスメント、見立ての機能とその構成要素を理解することができる。
2)当事者やクライエントを複眼的、総合的に理解するための視点を身につける。
3)生物―心理―社会モデルに基づく具体的視点と知識を修得し,問題の成り立ちを理解する。
4)自らを含む人のこころを理解するための態度・志向性を身につける。

成績評価の方法および基準

 試験50%、LMS課題50%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 テキストは使用しない。
 授業内で、適宜、紹介する。
参考文献

準備学修の内容

 LMSにてレジュメ、資料を印刷して事前に目を通してから、授業に臨むこと。

その他履修上の注意事項

 授業内で行われるワークやロールプレイでは、自分や周囲の事柄をテーマにすることがある。当事者やクライエントを理解する上では、自分自身の特性、課題について客観的に理解する視点は欠かせない。受講の際は、この点を十分に承知の上、臨むこと。
 また、真剣に学ぼうとしている他の学生の邪魔をしないこと(私語、携帯電話等の電子機器の使用など)。個人でのワークのみならず、ペアワーク・グループワーク等も予定している。主体的、積極的な参加を望む。
※ 2018年度以降の入学生には、公認心理師受験資格に必要な科目です。
 2017年度以前の入学生は、心理学科のホームページを参照してください。

授業内容

授業内容
第1回講義ガイダンス・スケジュールと評価方法
第2回心理的アセスメントの目的と倫理
第3回心理的アセスメントの観点及び展開1:問題の成り立ちと理解
第4回心理的アセスメントの観点及び展開2:知能
第5回心理的アセスメントの観点及び展開3:発達の偏り
第6回心理的アセスメントの観点及び展開4:パーソナリティと発達課題
第7回心理的アセスメントの観点及び展開5:対象関係からみた不安・抑うつ
第8回心理的アセスメントの観点及び展開6:家族・集団・関係システム
第9回アセスメントと介入の実際-事例を通して目的・倫理・観点・姿勢を考える(オンライン授業)
第10回心理的アセスメントの方法1:臨床面接と観察1
第11回心理的アセスメントの方法2:臨床面接と観察2
第12回心理的アセスメントの方法3:心理テスト概論1(質問紙・作業法)
第13回心理的アセスメントの方法4:心理テスト概論2(投映法・描画法)
第14回演習:アセスメントレポート(適切な記録及び報告)
第15回まとめ