ECCP(論理的思考)Ⅲ
担当者山脇 岳志
単位・開講先選択  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングSEM-303

授業の概要(ねらい)

 実社会で求められる「論理的思考力」をつけるために、小論作成を通じ、それを人に読ませられる力を養成します。学生の皆さんが、読み書きできて当たり前と考えてきた「日本語」を、英語など外国語と同じように客観的にとらえ直し、社会におけるレベルの高いコミュニケーションの道具として学び直してもらいます。それを通じ、自分の思考を整理して、論理的に考え表明できるようにします。
 小論にまとめる際、論旨の筋が通っているためには、対象となるテキストの要点をつかみ、そのテーマについて、きちんと理解できていることが前提となります。素材として、現代日本が直面する政治・経済・社会・外交など諸問題にかかわるテーマをとりあげるので、この講義や準備を通じて、そうした分野の知識を広げていくことが重要です。
 目標を達成するために、全国紙の社説やインタビュー記事、評論誌の小論文、映像などを活用します。
 また、実社会に出たときには、ビジネスパーソンとして、人の話を聞いたり、交渉したりすることが多くなります。商談をまとめる際には、相手の話をしっかりと聞く「よい聞き手」となること、そして、自分の考えを論理立てて相手に説明し、説得することが重要です。
 授業でも論争的なテーマでインタビュー記事を使用しますが、そもそも、ジャーナリストたちは、どのような「インタビュー技術」を使っているのか。それを解説し、メディアへの理解を深めます。
 ジャーナリストのインタビューの技術は、ビジネス上のインタビューと共通する部分があります。また、相違点もあるので、その点も解説します。また、実際にインタビュー記事を書いてもらい、それをほかの学生と比較することで、メディアリテラシーを深めます。

授業の到達目標

 論理的思考を身につけるには、まず、その分野についての基礎的な知識を獲得した上で、その事実について妥当な判断を下せる判断力が求められます。授業で知識を得るだけでなく、そのテーマに沿って、実際に自ら文章を書いてみることで、自らの考えが整理され、判断力や論理的思考力を、次第に身につけることができます。
 また、新聞の社説なども、社によって見解が異なっていること、紙かオンラインかにかかわらず、ニュースも切り取られ方によって違う印象を与えることなどを通じて、メディアによるメッセージが「再構成されていること」を理解します。こうしたメディアを使った授業を通じて、メディアリテラシーを身につけ、自然な形で論理的思考力・批判的思考力(クリティカルシンキング)を育むことができます。

成績評価の方法および基準

授業の中で随時、小論の課題を出します。そうした課題の出来を含めた講義への出席や受講態度を50%、最終日の小論文のテスト結果を50%とし、総合的に評価します。小論の提出には、400字詰めの原稿用紙を使用することがあります。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書原則として毎回、こちらで用意した教材のコピーやプリントを受講生に配布します。書き写すことによって論理的な筆の運びを身につけてもらう教材として、新聞の社説も適宜使用します。映像記録などを使うこともあります。
参考文献『メディアリテラシー 吟味思考(クリティカルシンキング)を育む』坂本旬・山脇岳志(編著)時事通信社

準備学修の内容

レポート課題は、指定される次回ないしは次々回の授業までに必ず、そのテーマについて十分に調べて作成し提出するように心掛けてください。次回の授業で学ぶ事柄を予告することもありますので、その場合は予備知識を仕入れて授業に臨むことが大切です。

その他履修上の注意事項

 毎回、一つの事象を取り上げ、それについて講義したのち、受講生との間で質疑応答を行うという授業形式を取ることが多くなります。したがって、受講生には授業に積極的に参加する姿勢が求められます。
 国語の辞書や電子辞書も必携です。分からない言葉が出てきたら、その都度、辞書を引くことが不可欠です。

授業内容

授業内容
第1回全体のガイダンス。論理的思考とは何か、クリティカルシンキングの定義などについて学びます。
第2回新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸問題について、各紙の社説などを比較しつつ、考えます。
第3回新型コロナウイルス感染症についての虚偽情報・デマの広がりについて考察します。
第4回上記テーマで、各自、課題(作文)を作成し、それを講評します。
第5回日本の国語研究者による日本・アメリカ・フランスの小学生の思考方法、論理の組み立て方などを比較した研究発表をもとに、その違いについて理解を深めます。
第6回上記テーマで、各自がレジュメを作成し、それを講評します。
第7回オンライン授業(LMSによるオンデマンド形式) 「虚実のあいまいさ」について解説・考察します。

第8回インタビュー記事の種類と、ジャーナリストがインタビューを行う際の(定石的な)技術について学びます。
第9回実際に、受講生がインタビューをしてみます(ゲストを呼ぶ可能性あり)。そして、その人についてのインタビュー記事を書いてみます。
第10回インタビュー記事を比較し、講評します。メディアリテラシーとの関連について、考察します。
第11回原爆投下問題について、考えます。原爆投下の是非をめぐり、日米3人の専門家の見解を読み、レジュメ作成にあたります。
第12回原爆投下に至る1945年の日本政府と軍部の動きを映像資料とテキストで追い、原爆を回避する方法があったのかどうかについて考察します。
第13回上記テーマについて、受講生の小論を講評し、討議します。
第14回新聞、テレビ、オンライン(インターネット)メディアの特徴について解説し、理解を深めます。

第15回まとめと最終小論テスト。長文の論説を読み、設問に回答する形もしくは設定したテーマで、受講生各自が小論を書きます。