スペイン文化論Ⅱ
担当者大國 雅子
単位・開講先選択  2単位 [外国語学科 2016年度以前入学]
科目ナンバリングARS-112

授業の概要(ねらい)

 スペインはユネスコの世界遺産登録件数が世界第4位の49件(2021年)であり、世界の観光競争力ランキングは日本や米国と並んで第1位(2021年)の観光立国です。それはイベリア半島がヨーロッパとアフリカ、地中海と大西洋を結ぶ十字路に位置し、紀元前から多くの民族が多様性に富んだ歴史や文化を育んできたことと深く関わっています。近世以降のスペインは世界的に有名な画家や建築家を輩出し、エル・グレコやルーベンスなど多くの外国人画家が活躍した文化大国でもあります。本講義ではこれら数多くの世界遺産や特徴ある建築、豊かな美術作品に触れながら、スペインの社会と文化について考えます。
 後期は17世紀から始まり、ベラスケス、ゴヤ、ソローリャ、ガウディ、ピカソ、ダリ、ミロといった巨匠の作品を中心に取り上げ、スペイン美術と欧米諸国の美術との関係にも注目していきます。前半は世界三大名画のひとつ、《ラス・メニーナス(女官たち)》を描いたベラスケスと《裸のマハ》《着衣のマハ》で知られるゴヤというふたりの宮廷画家に焦点を当て、後半は《カタルーニャ音楽堂》で知られるドメナクや《サグラダ・ファミリア》で有名なガウディの建築などを取り上げます。近現代の多くの芸術家は過去の作品や歴史遺産から強い影響を受けていることから、近現代の作品と前期に取り上げた過去の作品との比較も行いながら学習を進めます。そのため原則としてスペインの社会と文化Iを履修した学生を対象としていますが、後期からの受講も歓迎します。
 授業ではパワーポイントによる解説と、豊富な映像資料で学習を進めます。次にそれを踏まえて、自分で作品の分析や解説をする演習を行います。

授業の到達目標

この授業は以下の2つを到達目標としています。
① スペインの美術史を学びながら、この国の地理、歴史、宗教と祭り、世界遺産などについて基本的な知識を得ること
② 代表的な美術作品や歴史遺産などについて、それらの特徴やどのような歴史的・社会的背景の中で生み出されたのかを調べ、自分の言葉で考えを表現できるようになること

成績評価の方法および基準

レポート(2回,到達目標②)  40%
LMSの課題(数回,到達目標①)30%
平常点(授業内の演習 到達目標の①, ②について総合評価)30%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『スペイン美術史入門 : 積層する美と歴史の物語』大高保二郎監修NHKブックス(電子版もあります)
教科書資料はLMS上や授業中に配布します。指定図書はMELIC2階の「指定図書コーナー」に用意されています。秋期の授業では特に以下の図書を使用しますので、予習・復習やレポートの作成に役立てて下さい。
参考文献『もっと知りたいベラスケス』大髙保二郎/川瀬佑介著東京美術
参考文献『もっと知りたいゴヤ』大髙保二郎/松原典子著東京美術
参考文献『もっと知りたいガウディ』入江正之著東京美術
参考文献『ガウディ』鳥居徳敏ちくまプリマ―新書
参考文献『もっと知りたいピカソ』大髙保二郎/松田健児東京美術
参考文献『もっと知りたいサルバドール・ダリ』村松和明東京美術
参考文献『もっと知りたいミロ』松田健児/福田一穂東京美術
参考文献『スペインの歴史を知るための50章』立石博高/内村俊太編著明石書店
参考文献『マドリードとカスティーリャを知るための60章』川成洋/下山静香編著明石書店
参考文献『カタルーニャを知るための50章』立石博高/奥野良知編著明石書店

準備学修の内容

教科書、指定図書、配布資料、図書館や美術館、TV、ネットなどを積極的に利用して情報を収集しましょう。個人や営利目的のサイトの内容をコピペして課題やレポートを書いても、採点の対象にはなりません。信頼のおける情報をどのように集めるのか、そしてそれらをどのように整理・活用し、自分の意見を加えてまとめるかを問われる授業です。

特に後期から受講する学生は、テキスト232ページ(181~200ページを除く)までを読んでおきましょう。
前期の復習と後期の予習のために【オンライン授業】がLMSにアップされています。9月16日から30日までの間に受講して下さい。

その他履修上の注意事項

① 新型コロナウイルスの感染状況等によっては、Zoomによるライブ配信のオンライン授業になる場合があります。
② 授業前には必ずLMSにアクセスし、課題や資料、連絡事項などを確認して下さい。
③ 出席重視のクラスです。病気や就活などで休んだ場合には、診断書や来社証明書などを添付して届け出て下さい。
  理由が無く6回以上欠席すると単位の取得はできません。
④ 教員による授業の録画は行いません。また休講以外の補講も行いません。
⑤ 学生が授業を録画したり、それをインターネットにアップすることを禁じます。特に画像・音声・映像資料を撮影・複製・転載する行為は固く禁じます。
⑥ 各回の授業内容は、進行状況や時事問題などによって一部変更になる場合があります。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス/聖母マリアはどのように描かれてきたのか。 母親?恋人?天の女王?
第2回ベラスケス I ~ 宮廷画家の仕事は大変!
第3回ベラスケス II ~  世界三大名画のひとつ《ラス・メニーナス(女官たち)》とベラスケスから影響を受けた画家たち
第4回ベラスケス III ~ 《織り女たち》はどこがすごいの?
第5回ゴヤ I ~ 苦労して宮廷画家へ
第6回ゴヤ II ~ 《カルロス4世の家族》, 《裸のマハ》と《着衣のマハ》, 版画作品
第7回ゴヤ III ~ 「黒い絵」とゴヤから影響を受けた画家たち
第8回ソローリャ ~ 陽光と風と海を描いた,日本でまだ知られていない巨匠
第9回ドメナクとモデルニスモ建築 ~ カタルーニャの経済と芸術運動
第10回ガウディ I ~ グエイ邸, コロニア・グエイ地下聖堂
第11回ガウディ II ~ サグラダ・ファミリアを「読む」
第12回ピカソ ~ 作風の多様性と《ゲルニカ》
第13回ダリ ~ まるでテーマパーク! ダリ劇場美術館
第14回ミロ ~ 日本を愛したシュルレアリスト
第15回【9月16日から30日の期間中にLMS上で受講して下さい】
 ガイダンス、前期の復習と補足説明、演習問題