演習Ⅰ
担当者小林 成弘教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングSEM-301

授業の概要(ねらい)

 世界経済は過去半世紀の間に幾度も、様々な国・地域で「バブルの発生と崩壊」を経験してきました。1980年代の中南米金融危機、1990年代日本の不動産バブルやアジア通貨危機、2000年代のギリシャ危機、米サブプライム危機、そして2010年代の中国の不動産バブルなど枚挙に暇がありません。バブルの発生と崩壊の影響は、景気循環過程における単なる好・不況とは大きく異なり、それまで社会が長い時間をかけて培ってきた様々な経済・産業基盤を大きく揺るがし、時に国際的な大戦争にも繫がりかねない深刻な問題を引き起こします。例えば、1920年代にアメリカで巻き起こった株式投資バブルの発生と崩壊は世界大恐慌に繫がり、やがて世界を第二次大戦に引きづり込んでいきました。1980年代末に日本で起こったバブルもその後のバブル崩壊で「失われた20年」ともいわれる長期経済停滞を引き起こし、それにより「モノづくり立国」と言われた1980年代日本の栄華はとうの昔話になってしまいました。
 そこで当ゼミでは、バブルの問題に側面に焦点を当てて、バブル発生の社会的背景とバブル崩壊の社会的影響などについて、幅広く学んでいきます。
 前期は、テキスト『バブルの歴史』の輪読を通じて、過去、どのような国・地域でどのようなバブルが発生したのか、全体像を学んでいきます。
 後期は、まず1980年代以降世界各地でバブルが頻発するようになった背景に「小さな政府」を目指す世界的潮流が広がったことを講義を通じて学び、次いで1980年代以降、日本ではどのような分野でどのような「規制緩和」「民営化」「自由化」が進んでいったのかを、受講者が分担して調べ、発表してディスカッションを進めていきます。

授業の到達目標

 世界が経験した様々なバブル発生原因やメカニズムを探ることを通じて、経済が常に不安定で金融危機を内に抱えていることを学び、将来再び起こり得る経済危機・金融危機に対する”リテラシー”を育てます。

成績評価の方法および基準

 成績は、①授業への取り組み姿勢(評価配分=約40%)、②プレゼンテーション・発表の内容(同=約30%)、③期末レポート(同=約30%)、による総合評価とします。
 「授業への取り組み姿勢」とは、具体的には授業における積極的な発言、質問、リアクション・ペーパーの提出などです。
 なお、この成績評価は15回の授業すべてに出席することを前提としたものですので、授業を休んだ場合は(やむを得ない事情による場合を除き)欠席回数に応じて総合点から減点します(最大40%減点)。 特に発表担当予定日に無断欠席した場合は「試験の放棄」と同等とみなし一律「D」評価としますので十分ご注意ください。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『バブルの歴史』チャンセラー(日経BP)
参考文献 『バブルの物語』ガルブレイス(ダイヤモンド社)
参考文献『大暴落1929』ガルブレイス(日経BPクラッシックス)
参考文献『昭和金融恐慌史』高橋亀吉・森垣淑(講談社学術文庫)

準備学修の内容

 前期は輪読を中心に授業を進めていきます。
 ゼミ生は自身の担当ページだけを読めば済むというものではありません。 必ず他のゼミ生のt担当部分も含め、テキスト全体を通読してください。
 発表担当者は、担当するテキストの担当ページだけ読んで纏めるのではなく、理解が難しい部分は他の文献にあたって調べて解説を加えたり、様々なデータを集めてグラフ化してプレゼン資料を作るなど、他のゼミ生に分かりやすく説明する工夫を惜しまないでください。

その他履修上の注意事項

 演習の授業は大教室での講義とは異なり、ゼミ生が主体になって授業を作っていくものです。 発表担当でないときでも、人の話を聴き流すだけの受け身の姿勢ではなく、常に自分の関心や疑問を掘り起こし、「必ず1つは質問する!」という気概で積極的に授業に臨んでください。
 なお、今学期は全15回の授業のうち対面授業が14回、LMS授業が1回となっていまが、LMS授業の実施日については後日、授業の中でお知らせします。 また、今期の講義予定を不足なく実施するため、15回の授業とは別に、補講の形でLMS授業を行うことがありますのでご承知おきください。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス & 講義(足下の経済・金融動向)
第2回 輪読担当分け & 講義(バブルとは)
第3回 DVD(暗黒の木曜日と世界恐慌)& 解説
第4回 DVD(中国の不動産バブル)& 解説
第5回 輪読発表①(古代~中世のバブル)
第6回 輪読発表①(大航海時代のバブル)
第7回 輪読発表①(世界3大バブル①)
第8回 輪読発表①(世界3大バブル②)
第9回 輪読発表②(運河熱・鉄道バブル)
第10回 輪読発表③(アメリカ金メッキ時代)
第11回 輪読発表④(黄金の1920年代)
第12回 輪読発表⑤(世界大恐慌)
第13回 講義(戦後の世界経済)
第14回 講義(小さな政府と規制緩和)
第15回 講義(金融自由化)