宗教学(教職)
担当者筒井 史緒教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリングESS-103

授業の概要(ねらい)

 本講義では、生きることについて、とりわけ幸福と愛について考えます。題材として、テレビ番組「水曜どうでしょう」をとりあげ、人間はどうあれば幸福であるか、どのように生きれれば魂が充足するか、自分の本質を生きるとはどういうことか、について、さまざまな切り口から考察を深めます。
 バラエティ番組を宗教学でとりあげることに、戸惑いをおぼえる方もいるでしょう。また「宗教」と聞いて、「あ、オレ無宗教なんで」「宗教ってなんか危ない」といった反応をもつ方も、多いかと思います。
 ですが「宗教」を、もっと広く、「自分が人知を超えた領域に生かされていると考えることによって、人間の精神的ニーズを満たす」ものと考えると、人はとても宗教的な生き物であるといえます。自分が生きていることの価値、目に見えないものへの直観、生を喜びで満たしたいという願い、愛がどんな食物より生き物を養うこと…人間は、ただ肉体的に生存していればいいというものではなく、ここにこうして生まれ、生き、経験し、死んでいくことの「意味」を、食べずには生きていけない存在なのです。さらに言えば、わたしたちが求める生の「意味」とは、人によりどのような道を辿ろうとも、けっきょくは「幸福」へと帰着してゆきます。幸福という意味を求め、それに養われる存在であるわたしたちは、なんらかのかたちで、深く、生の根源へ、愛へ、幸福へとつながりたいと願っているのではないかと思います。そして、それが実現したとき、わたしたちは本当に生きていることを実感し、魂の奥底から充足するのではないでしょうか。
 そして、「水曜どうでしょう」は、既存の宗教とはまったく違ったかたちで、しかし非常に高度に、究極的な「幸福」を提示しており、それによって観るひとを楽にして(場合によっては救って)いるのではないか、わたしはそう考えています。
 授業は毎回、そのときのわたしが辿りついた最新の思索アップデート報告のような形をとる予定です。そのライブ感を共有し、個々が自分自身の生と照らし合わせながら、生きるということについて思いを深めてもらえたら、と願っています。
 春期には、主に、人間が幸福であるための内的条件について考察します。
 また、授業時には、ゲストスピーカーをお招きすることもあります。

授業の到達目標

 「宗教」の意味を問いなおし、「生きること」「幸福」「喜び」「愛」といった、一見よく知っていることばのもつ意味、広がり、多層性、多様性、深み、共同性などについて、各自思索を深める。
 自分が生きていることを、新しく深いまなざしで見られるようになる。

成績評価の方法および基準

 学期末試験にて評価。受講態度もあわせて考慮する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『人生に悩む人よ藤やん・うれしーの悩むだけ損!』藤村忠寿・嬉野雅道著アスキー・メディアワークス刊
教科書『人生に悩む人よ藤やん・うれしーの続・悩むだけ損!』藤村忠寿・嬉野雅道著アスキー・メディアワークス刊
教科書『人生に悩む人よ藤やん・うれしーの続々・悩むだけ損!』藤村忠寿・嬉野雅道著アスキー・メディアワークス刊
教科書『腹を割って話した』藤村忠寿・嬉野雅道著イースト・プレス刊
教科書『腹を割って話した(未知との遭遇)』藤村忠寿・嬉野雅道著イースト・プレス刊
教科書『水曜どうでしょう写真集No.2』藤村忠寿・嬉野雅道著北海道テレビ放送刊
教科書『ひらあやまり』嬉野雅道著KADOKAWA中経出版刊
教科書以上は参考書なので、購入の必要はありません。図書館の指定図書コーナーに所蔵されています。
教科書
参考文献

準備学修の内容

 日常に潜む宗教的次元に、敏感に着目してみる。
 古今東西のさまざまな宗教あるいは宗教的現象に、興味をもち調べ考察してみる。どうしてその時代その土地でそのような宗教が生まれたのか、現代に通じるものがないか、考えてみる。
 自分が生きているということを、客観的に観察する。

その他履修上の注意事項

 本講義内容は、抽象的な話題であり、単位を取るのも簡単ではありません(毎回聴講し、理解していることを前提で、学期末に持ち込みなしのテストもしくは長いレポートが課されます)。また、事前に抽選を行います。聴講可能人数も限られますので、本当に聴きたい!という方のみ、登録申請をするようにしてください。
 授業を聴く、という受動的態度ではなく、授業をたんに自分にとってのインスピレーションの種と捉え、深く自由に思索してください。みなさんそれぞれにとって、本来の自分にたどりつくための旅の糧になりますように。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション
第2回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 解釈は精神にとっての食物である
第3回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 宗教性の定義
第4回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 宇宙は本質的に幸福である
第5回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 人間の構造
第6回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 俯瞰と本当の自分
第7回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する エゴとセルフ
第8回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 遊び
第9回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 自己肯定
第10回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 俯瞰・役割・遊び
第11回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 俯瞰・余裕・笑い
第12回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 能動と受動
第13回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する 芸術との親近性
第14回 「水曜どうでしょう」を宗教学する/「水曜どうでしょう」から宗教学する ユングの私文書に見る「集合的無意識」
第15回 まとめと試験