担保物権法
担当者渡邊  貴教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCIL-209

授業の概要(ねらい)

民法は、私⼈間の法律関係について、紛争解決のための基準や、我々市民の行うべき⾏為規範を設定しています。
本講義では民法の中でも講学上、担保物権法と呼ばれている領域に属する具体的な制度についての設例や判例の検討を通じて、法的な知識、体系的・論理的思考能⼒、具体的な紛争解決能力を⾝につけることを目指します。
本講義で学習する「担保」とは、お金の貸し借りの取引において欠かせない制度であり、経済社会を裏から支える非常に重要な機能を営んでいます。そのため、これらの制度が実際の社会の中でどのように現れてくるのかについて正確に理解することができるようになることも本講義の重要な目的となります。

授業の到達目標

<知識・理解>
担保物権に関する基本的な制度やルールの内容に関する正確な知識を身につけるとともに、法的な思考方法とはどのようなものであるかを理解する。
<思考・判断・表現>
講義で説明した法的な制度や概念を用いることによって、実際に生じうる民事上の紛争をどのように解決することができるかを考え、それを論理的に説明できるようになる。
<態度>
講義で解説する制度あるいは民法そのものが、社会において生じている様々な問題とどのように関係するのか、という点について主体的に考察できるようになる。

成績評価の方法および基準

学期末に実施する試験の結果(80%)を中心に、平常点(20%。授業内で実施するリアクションペーパーや小テストの結果)も加味して最終的な成績評価を行います。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『⺠法Ⅲ 担保物権』⼭本敬三監修 鳥山泰志・藤澤治奈著有斐閣
参考文献『START UP⺠法② 判例30! 物権』水津太郎・鳥山泰志・藤澤治奈有斐閣
参考文献『講義 物権・担保物権法〔第4版〕』安永正昭有斐閣 ※ 前期の「物権法」の授業で教科書してした本書は、担保物権法の領域もカバーしているので、本書を教科書の代わりに利用することも可能。

準備学修の内容

授業⽇の前日までに担当者作成のレジュメを配布します(授業は基本的にこのレジュメに即して行います)。教科書の該当箇所と併せて予め読んできた上で、わからなかった箇所や疑問に思った箇所を事前にまとめた上で授業に臨んでください。

その他履修上の注意事項

民法は範囲も広く、また内容も一見複雑に見えるものも多いことから、初めて勉強をする人には難しく思える部分も少なくないかもしれません。とりわけ担保物権法の領域は、技術的な条文が多く、また執行や民事手続といった複雑な制度にも関係する領域であるため、初めて学ぶ人にとって理解が難しい部分も多いと思います。
しかし、民法は社会で生きていく上で必要不可欠な基本的なルールや考え方を示していますし、担保物権に関する理解は、これからの経済社会を生きていく上で欠かせないものといえます。本授業では、初めて民法・担保物権法を学ぶ人でもきちんと理解できるように身近な具体例も挙げながら丁寧に説明をしていきたいと思いますので、学ぶ意欲のある方の履修を歓迎します。
なお、授業には必ず六法(小型のもので可)を持参してください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス(授業の全体像、進め方、教科書、参考書等について)
第2回担保物権とは何か-各種の担保物権制度の概観-(教科書1-39)
第3回抵当権①(抵当権の設定と効力の範囲)(教科書40-57)
第4回抵当権②(抵当権の物上代位制度)(教科書58-76)
第5回抵当権③ (抵当権と第三取得者の関係、抵当権と賃借人の保護)(教科書77-92)
第6回抵当権④(抵当権侵害)(教科書93-111)
第7回抵当権⑤(抵当権の処分)(教科書112-128)
第8回抵当権⑥(優先弁済権の実現と共同抵当)(教科書129-151)
第9回抵当権⑦(法定地上権)(教科書152-172)
第10回抵当権⑧(抵当権の消滅と根抵当権)(教科書173-188)
第11回質権と先取特権(教科書189-203, 224-243)
第12回留置権(教科書204-223)
第13回譲渡担保(教科書244-269)
第14回所有権留保と仮登記担保(教科書270-294)
第15回授業のまとめ