薬理概論
担当者厚味 厳一
単位・開講先選択  2単位 [スポーツ医療学科]
科目ナンバリングGEP-301

授業の概要(ねらい)

 「薬理学」は、薬が効果を現す仕組みを明らかにする学問領域です。本講義では、自らの健康を保つセルフメディケーションを行う上で必要になる、医薬品や医薬品使用の基本的な知識を薬理学的な視点を交えて学びます。この学びは、スポーツ・医療や健康・体育の指導教育に関わる専門家として、これらの基礎的な知識に基づいた的確な状況判断の下に指導、教育、実践、マネジメントできる人材の育成を目指すために有用です。具体的には、教員免許の取得により児童や生徒に対して医薬品の使用を指導する場合、あるいはアスリートやアスリートをサポートする立場で医薬品を使用する場合などで医薬品の適正使用が求められるため、これらの知識を持つことは重要です。ドーピングを防ぐだけではなく、健康を維持するためのセルフメディケーションを実践できるようになるためにも、必要になる学びです。

授業の到達目標

 健康な生活を送るために薬の適正な使用が大切であることを理解し、安全に薬を使用するために、①薬が効く仕組み、②薬の有効かつ安全な使用方法、③薬の危険性といった基本的な知識を修得する。
 体育や養護教諭、アスリート、アスリートをサポートする人材として、医薬品の適正使用の実践を目指して指導するために必要な知識を修得する。
 

成績評価の方法および基準

 授業内に実施する3回の小テスト(75%)とレポート(25%)に基づいて評価します。小テストの実施日は初回の授業で通知します。小テストは返却し、理解が至らない部分に関して、フィードバックを行います。
 受講態度が悪い場合には、減点することがあります。公欠以外の欠席が5回以上となった場合には、成績評価の対象外とします。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 なし(プリントを配布)
参考文献「今日のOTC薬」改訂第5版 伊東明彦、中村智徳 編南江堂
参考文献「新版 超図解 薬はなぜ効くか 医師・看護師・薬剤師へ」 田中正敏 著講談社

準備学修の内容

授業で配布する演習問題を復習に活用して下さい。
自宅や合宿所の常備薬など、身近にどのような薬があるのかを調べてみること。
販売されている医薬品を店頭で手に取り、どのような内容が表示されているのかに興味を持つこと。
テレビや新聞の医薬品広告も、本講義の内容を深く理解するためのヒントになるので、気になる物を書きとめておくこと。

その他履修上の注意事項

 関連科目(解剖学、生理学、生命科学、微生物学、免疫学、予防医学)で修得した知識が、この授業の理解に役立ちますので、これらの科目の教科書や配布資料も活用しましょう。

授業内容

授業内容
第1回薬理学とは、医薬品の種類、薬局とは、薬剤師とは(学校薬剤師、スポーツファーマシスト)
第2回医薬品の剤形、体内での薬の動きと変化
第3回医薬品情報(添付文書など)、薬の使用目的、薬の主作用と副作用、副作用の分類、重篤副作用疾患別対応マニュアル(SJ症候群)
第4回薬の作用に影響を及ぼす因子(投与条件、相互作用)、薬の正しい飲み方
第5回薬の作用に影響を及ぼす因子(年齢、妊娠、プラセボ効果、薬物アレルギー、特異体質)
第6回痛みを感じるメカニズム、鎮痛薬(オピオイド)の機序、薬物依存と薬物乱用
第7回頭痛と生理痛、解熱鎮痛薬(ピリン系と非ピリン系)、解熱鎮痛抗炎症薬の使用上の注意
第8回体温調節、発熱や解熱のメカニズム、アセトアミノフェン、いろいろなバファリン、炎症のメカニズムと抗炎症薬、外用消炎剤
第9回女性の性周期と低用量ピル、アレルギーのメカニズム、アレルギー性鼻炎と抗アレルギー薬
第10回学校におけるアレルギー、食物アレルギー、アドレナリンの薬理作用、アナフィラキシーショックとエピペン
第11回気管支ぜん息のメカニズム、ぜん息の治療薬
第12回咳と痰の出る仕組み、鎮咳薬(咳止めの薬)、気管支拡張薬とアンチドーピング、去痰薬
第13回総合感冒薬(風邪薬)、ドーピング
第14回遠隔講義で実施
傷と傷の治療、殺菌消毒薬
第15回胃腸薬、整腸薬・止瀉薬、便秘治療薬