担当者 | 鈴木 智弘教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [経済学研究科 経済学専攻] | |
科目ナンバリング |
経済・社会活動がグローバル化し、Globalな企業間競争が激化し、日本企業は大きな事業革新を求められています。更に、人口高齢化と人口減少の進行は、日本企業の人的資源の担い手を大きく変えつつあります。人的資源管理論特講は、Ⅰ・Ⅱを通じて、日本企業が進めている人的資源管理の取り組みとその背景、および取り組みがもたらす影響について理解し、今後のあり方について検討を行うための視点を身につけることを目的としています。
人的資源管理論特講Ⅱは、人的資源管理論特講Ⅰ(22年前期)の履修を前提とします。この授業のみの受講は、原則としてできません。特講Ⅱでは、人事マネジメントシステム(K・Sモデル:角宮正義・鈴木智弘モデル)を元に、現実の企業経営に活用できるHRMについて講義、受講者との討論を通じて理解を深めてゆきたいと思います。K・Sモデルは、日本を代表する人事コンサルタントである角宮正義氏と担当教員の鈴木智弘が、共同作成した、育成を目的とした人事マネジメント・システムです。
米国型企業システムを世界標準(Global・Standard)として、日本企業に押しつける動きが21世紀に入ってから顕著になっています。人事マネジメント・システムは、経営目標、経営戦略のサブシステムです。何を目的とするのかによって、どのような人事マネジメント・システムが最適かどうか異なります。米国型企業システムでは、短期的な企業収益を目的とする場合が多く、その場合、人材育成に時間が必要となり、コストも増加するため、育成型の人事マネジメント・システムよりも、労働市場での取引価値を重視する人事マネジメント・システムを採用する企業が目立ちます。しかし、どのような人事マネジメント・システムが、適正なのかは、各々の企業の経営目標や経営環境によって異なり、労働市場での取引価値を重視する人事マネジメント・システムは、資金力のある企業には採用可能でしょうが、わが国の企業に適切なものかどうかは不明です。
日本の大学院ですので、日本企業と日本社会を分析対象とします。中国企業の事例は、日本、欧米などとの比較対象として取り上げる可能性はありますが、中国企業を主対象にしないことを予め明記します。
初歩的なツール取得と異なり、大学、特に大学院では、「この授業を履修したから、直ぐに、何々ができるようになる」などということは、希有です。しかし、この講義では、受講者に、以下のことに到達することを求めます。
1.人事マネジメントシステム(K・Sモデル)についての理解すること
2.人的資源管理論を、経営戦略の中に位置付けて考えられるようになること。
毎回の授業への参加状況(50%)、期末レポート(50%)
レポートの評価基準は、
1.設題に的確に答えているのか?
2.全社戦略の中に、人事戦略を的確に位置付けているのか?
3.社会環境の変化と人事戦略を的確に位置付けているのか?
4.専門用語を正しく使用しているのか?
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 特に指定しません。 | ||
参考文献 | 人的資源管理論【理論と制度】 | 八代充史 | 中央経済社 |
大学院では、主体的に学ぶことが求められ、漠然と「経営の知識を身につけたい」と受動的に受講するのではなく、自ら問題意識と仮説を持って、主体的に「研究」することが求められます。この講義では、毎回、教員が指定する学術論文(英文も含む)などを読み、レポートを作成することが必要です。レポートは、単に文献を要約するのではなく、テキストクリティック(文献を批判的に読むこと)することが求められます。文献批判するためには、そのテーマに関して、当該論文以外の論文を探し、対比させ、自分の見解を記述することが必要になります。そのため、1回の授業に参加するためには、多くの予習と復習が必要になります。
アメリカ管理論の観点で言えば、HRMも、工場管理手法であったテーラーの科学的管理法を企業経営全体に拡張し、定量分析を基本とする「大テーラー主義」(アンゾフ、ポーター、BCGやマッキンゼー)と、メイヨー、レスリスバーガーの人間関係論から派生する「ケイパビリティ派」のどちらに重点を置くのかによって、分析フレーム、施策が異なります。
しかし、基礎的な学習を怠った経済評論家とか人材コンサルタントと称する者の著作には、木に竹を接ぐ、その場しのぎが目立ち、その施策の多くは早期で陳腐化しています。大学院は、基礎学習の上に、自分の知見を身につける場ですので、自分の頭で、しっかり考えられるよう、主体的に予習、復習をしっかり行って、参加してください。
大学での学びには、性別、国籍、社会人であるのか等、個人属性は関係なく、平等です。人的資源管理論特講Ⅱは、人的資源管理論特講Ⅰ(22年前期)の履修を前提とします。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション、授業の目的、取り上げるテーマ、進め方についての説明 |
第2回 | 日本企業の人的資源管理をめぐるトピックについて、受講生から自らの問題意識提起 |
第3回 | これからのHRMに影響を与える変化の要因の整理:少子化、高齢化、人口減少、就業構造の変化(1) 受講者が日本政府の労働関連統計から必要なデータをpick upし、図表にして、説明し、このことが、日本企業の経営に、どのような影響を与えるのか自説を発表し、討議する。受講者が1名若しくは2名程度でディスカッションが成立しない場合は、発表内容に対する教員の諮問に答える(以下、全ての授業に共通)。 |
第4回 | これからのHRMに影響を与える変化の要因の整理:少子化、高齢化、人口減少、就業構造の変化(2) 受講者が日本政府の労働関連統計から必要なデータをpick upし、図表にして、説明し、このことが、日本企業の経営に、どのような影響を与えるのか自説を発表し、討議する。受講者が1名若しくは2名程度でディスカッションが成立しない場合は、発表内容に対する教員の諮問に答える(以下、全ての授業に共通)。 |
第5回 | 人事マネジメント・システム(K・Sモデル)の概要1 |
第6回 | 人事マネジメント・システム(K・Sモデル)の概要2 |
第7回 | 目標管理 経営・企業環境と連動した人事のビジョン、戦略、方針の策定・再構築 |
第8回 | 要員管理の基本 |
第9回 | 賃金制度 |
第10回 | 格付制度比較 |
第11回 | 職能等級資格制度 |
第12回 | 人材育成 |
第13回 | 組織風土と組織文化1 |
第14回 | 組織風土と組織文化2 |
第15回 | 「期末レポートの講評」(オンデマンド授業) |