心理学Ⅰ
担当者新原 将義教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [スポーツ医療学科]
科目ナンバリングPSY-101

授業の概要(ねらい)

 我々の社会には,心理学のコトバが溢れている。学校では「学び」や「理解」を求められ,足し算から四則演算,九九,鶴亀算と,徐々に難しくなっていく「発達段階」に合わせられたカリキュラムを受ける。喧嘩をすると,先生たちはお友達の「気持ち」を「考える」ことの重要性を説く。「思春期」を迎えると,私たちは「恋」に落ち,その「思い」を伝えるか伝えないかに頭を「悩ま」せる。就職活動では,会社は私たちがどのような「スキル」を持っているのか,仕事にどのような「モチベーション」を持っているのかを問う。そして大学でも社会でも,あるいは家庭でも,私たちは「空気を読む」ことを求められる。このように我々の生活は,心理学のコトバなしではもはや成り立たない。社会が「心理学化」されていると言ってもよいだろう。
 この授業では,心理学の基礎知識だけでなく,我々の日常生活のなかにあふれる様々な事象から,「心理学化」された世界と我々の関係について考える。前期の授業では,実験や身の回りの実生活を題材に「記憶」について考えること,学習研究の歴史をたどりながら学習と文化,社会との関係について考えることに取り組む。
 またこの授業では,対面での開講が可能な場合,SNSを用いて教員と学生がリアルタイムでやり取りをしながら講義を進めていく。各自,スマートフォンを持参して授業に臨むこと。

授業の到達目標

①学生は,精神と人工物,社会,文化とのかかわりについて,授業の内容を踏まえながら説明することができる。
②学生は,記憶の社会文化的構成について説明することができる。
③学生は,学習と人工物,コミュニティとの関係について説明することができる。

成績評価の方法および基準

期末テスト 80%
LMSにおける毎回の小レポート 20%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書「脱・心理学」入門―10代からの文化心理学新原将義北樹出版
参考文献

準備学修の内容

毎回授業後に,LMSの掲示板機能を用いて小レポートの書き込みを求める。授業内容を振り返り,自らの実生活のなかから具体例をみつけながら課題に取り組むこと。

その他履修上の注意事項

本授業では,TwitterなどのSNSを用いた対話形式の講義を行う。各自スマートフォンを持参するほか,必要であればモバイルバッテリーなどを用意すること。
また,第14回終了後,第2章及び前期振り返り・フィードバックをオンラインで実施する。詳細は授業内で案内を行う。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション 「心」はどこにあるのか
第2回記憶力の心理学① 記憶とはなにか,生活のなかの記憶実践
第3回記憶力の心理学② 当たり前の記憶実践,道具とヒトのネットワーク
第4回記憶力の心理学③ 長期記憶の基礎知識,エピソード記憶と道具
第5回記憶力の心理学④ 人々のネットワークと記憶,社会的に構成される記憶
第6回記憶力の心理学⑤ ネットワークと記憶の誤り,ネットワークを活用した記憶術
第7回記憶力の心理学⑥ なぜ記憶力を高めたいのか?第1章振り返り・フィードバック
第8回新しいことを学ぶ方法① パブロフの条件反射研究,第1の世代,バイクを学習すること1
第9回新しいことを学ぶ方法② 行動主義の限界,第2の世代,バイクを学習すること②
第10回新しいことを学ぶ方法③ 実践現場における認知
第11回新しいことを学ぶ方法④ 環境との関係性の変化という学習
第12回新しいことを学ぶ方法⑤ レイヴとウェンガーの「正統的周辺参加」研究
第13回新しいことを学ぶ方法⑥ 状況的学習論とは
第14回コミュニティへの参加としての学習,バイクを学習すること③
第15回(オンライン)リフレクション