国語科概論
担当者小山 惠美子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 こども教育コース]
科目ナンバリングESS-203

授業の概要(ねらい)

 「国語」は、小学校教員を目指す人たちであればだれでも、教育実習で、また現職教員になった際に必ず行う教科である。さらに最近では、小学校でも一部教科担任制を導入することが検討されている。指導者が国語科の学習内容に興味をもってとらえようとしない限り、教材研究は成立しないし、子どもたちが国語の学習を好きになってくれることはないといっても過言ではない。
 授業は、小学校国語科における基礎的な知識や理解を深める内容を学習指導要領の各領域に当たりながら解説し、教科書教材のいくつかに当たりながら討議する場面も設ける。また、小学校の言語活動の各領域における国語教材を提示し、実際に音読したり、問いを考えたり、「書く」活動を行ったり、ペアワークやグループワークで問題解決をしたりするなどの言語活動を通して、授業設計の基礎を学ぶ。受講生にとっては、場面によっては小学生の当時を思い出すことも学びの一つとなる。そのような意識が教材研究をする際には必要である。国語学習の実際を通して授業とは何かについてもあらためて考えていけるようにしたい。
 平成29年度版の「小学校学習指導要領(国語)」では、国語の学習で目指す内容について「言葉による見方・考え方を働かせ」ること、「言語活動を通して」言葉の力を伸ばすことが明確に示された。国語の学習で働かせる「見方・考え方」とは何か、「言語活動」とはどのようなものかを、実際の小学校の教材をもとに具体的に理解していくようにしたい。まずは、大学での授業を通して小学校の国語教科書や教材のいくつかに触れ、国語科の内容や面白さを再確認していただきたい。

授業の到達目標

 平成29年度版「小学校学習指導要領(国語)」の全体像をや今日に至るまでの成立過程の概要を理解するとともに、国語科の教材を通じて言葉に関する児童の発達特性について理解することができる。
①国語科の各領域の教材と学習指導要領とを結び付けながら読み、小学校国語科における基礎的・基本的な指導事項のいくつかを修得する。
②言葉の学習における基本的な「知識及び技能」に関する理解を深め、興味・関心を持つことができる。
③授業の復習をポートフォリオ(学習記録)を通して行うことができる。
④「学習評価」の意義を学力テストなどを通して理解することができる。
 

成績評価の方法および基準

 ①小テスト(2回)(50%)(実施時期は、「7.各回の授業内容」に記載)
 ②授業ノート(ポートフォリオ)(20%)(ルーブリックを授業内で提示)
 ③提出物の内容(20%)
 ④最終授業の小レポート(10%)
 などで総合的に評価する。上記のすべての提出を必要とする。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『小学校学習指導要領解説 国語編』(授業で使用するので購入する。)文部科学省東洋館出版社
教科書『言語活動中心 国語概説-小学校教師を目指す人のために-』(授業で使用するので購入する。)岩﨑淳他3名編著学文社
教科書『小学校教師の専門性育成』2020(教育学部の学生は購入する。)帝京大学初等教育研究会現代書館
教科書※その他、小学校の教科書教材 等※光村図書の教科書教材が中心となる。
参考文献『漢字指導の手引き 第八版』久米公編著教育出版
参考文献『国語科授業用語の手引き』中原國明・大熊徹 他編著教育出版
参考文献※その他、授業内で適宜文献を基に解説する。

準備学修の内容

(予習)
・次時の学修内容に関する「学習指導要領」を読み、ノートに書き写したり、小学校における学習を振り返って感じたことを書き留めておいたりする。
・『言語活動中心 国語概説-小学校教師を目指す人のために-』の翌週の範囲を読み、アンダーラインを引くなどの言語活動を行う。
(復習)
・授業ノート(ポートフォリオ)を作成する。市販のA4サイズのノートを購入し、毎回の授業で使用した資料を丁寧に貼り付ける。その際、毎時間の後の感想、新たに調べた内容などを書き添える。
・授業で配布した教材文や文献資料を読み、メモを付け加えたり、サイドラインを引いたりして学習の足跡を残す。
など

その他履修上の注意事項

・小学校教員免許取得希望者の受講とする。授業には必ず出席し、積極的に取り組むこと。
・授業のノートを作成する。ノートには、授業の感想や、新たに調べた内容を加筆する。ノートはいずれ小学校教員になったときには児童に対して指導するので、そのためのモデルととらえ、丁寧なノート作成を行うとさらによい。
・毎回の授業を通して、教師という仕事に対する自己の適性を見極めていくようにし、課題があれば改善していけるようにする。
・2年次の「教科指導法(国語)」、2年次の「教育実習」「教育学演習」につながる内容である。将来授業を行うものとしての基礎的な知識・技能を養う内容となるため、学びの過程を大切にしていけるようにしたい。また、自分なりの疑問や追究したい課題を一つでも二つでも残すようにしてほしい。(「教育学演習」「卒業研究」等につながる。)
・LMSによる課題の提出や復習の意味のテストを行うため、LMSの使用に慣れるようにする。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション(小学校における国語科教育とその問題)<言語文化>※< >内は、テキストに合わせて、国語科における[知識及び技能]の内容を取り上げる。
第2回国語科の目標と「言語活動」<ことばのきまり>
第3回「話すこと・聞くこと」の学習内容と教材<話す力・聞く力>
第4回「書くこと」の学習内容と教材<書く力2>
第5回「読むこと」の学習内容と教材①(説明文) <論理の力>
第6回「読むこと」の教材研究<読む力>
第7回「読むこと」の学習内容と教材②(物語文)<音読の力>
第8回読書指導の実際(図書館教育と読書)<情報活用の力>
第9回[知識及び技能](1)〜(3)の学修内容と教材<語と意味>※復習と振り返り①(LMSのテスト) ※8回までのノート提出(全員)(提出期間は授業内で指示する。)
第10回「書写」の学習内容と教材<書く力1>
第11回「詩」の教材(読むことと書くこと)<言葉遊び>
第12回平成29年度版 小学校学習指導要領 国語科 <表記>
第13回(オンライン授業日:LMS)国語の教科書と教育課程の変遷<日本語の特色>※復習と振り返り②(LMSのテスト)※本年度は1月に入ってから行う。  
第14回(第13回 12/26(月))国語科における総合的な学習 <メディア・リテラシー>※第14回までのノートの提出(希望者:提出は授業内で指示する。)
第15回(第14回 1/16(月))これからの国語科教育(学力テストをもとに)<コミュニケーションの力>  ※まとめの小レポート提出(LMS)