産業・企業研究Ⅰ
担当者市丸 誠男教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングMAN-313

授業の概要(ねらい)

 この授業では、「トイレタリー・日用品業界」について理解を深めることを目的とします。トイレタリー・日用品には、シャンプー・リンス、歯磨、衣料用洗剤、台所用・住居用洗剤、消臭・芳香剤、生理用品や紙おむつといった、清潔で快適な生活の維持に欠かせない身近にあるさまざまな製品が含まれます。
 そして現在、業界は成熟期を迎えています。生活必需品であるが故の厳しい価格競争のなかで、業界ナンバー1の花王や資生堂、ライオン、ユニ・チャームなどの日本企業とP&Gやユニリーバといった巨大外資企業が、ブランド戦略、コミュニケーション戦略、流通戦略を駆使してさまざまなジャンルで激しくシェアを争っています。
 そうした業界が直面している大きな課題が、地球環境や少子高齢化社会への対応です。温暖化やプラゴミ、増加する高齢者対策とともに、新しいターゲットの獲得や新市場創造といった動きが加速しています。
 Ⅰ(前期)では、経営理念・ビジョンに基づく花王の経営戦略、マーケティング戦略などの事例をふまえ、トイレタリー・日用品業界の現状や特徴を解説します。と同時に、これからの業界の市場と企業展開、ブランド戦略について一緒に研究し議論していきます。
 Ⅱ(後期)では、環境変化に伴う競争戦略のあり方として、「ブルー・オーシャン戦略」、産業全体の取組みとしての「6次産業化」、さらに現場視察から消費者との接点である「店頭コミュニケーション」についてフィールドワークを通して修得していただきます。

授業の到達目標

 産業界におけるさまざまな課題に対するこれからの業界のあるべき姿、経営戦略、ブランド戦略についてグローバルな視点から理解すること。また、就職活動にも役立てることを目標とします。

成績評価の方法および基準

 授業への貢献度を20%、レポート課題の内容を80%にて評価します。
*期末テストはありません。期中に授業内容に沿った数回の課題提出があります(LMSにアップ)。
*学生便覧に記載の通り、「3分の1を超えて欠席」した場合は課題を全て提出していても提出課題は評価されません。 

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特にテキストは使用せず、プリントを配布します。
参考文献

準備学修の内容

 具体的には配布資料(レジメ)に従って授業を行います。毎回のテーマに関わる内容について、事例を自ら調べまとめておくとよい。

その他履修上の注意事項

 講義内容を配布資料に追記し、書いて理解・納得することを勧めます。
 企業研究を単に現状分析だけでなく、自分たちが実社会に出て将来を予測する訓練のためにも、産業・企業研究Ⅰ、Ⅱを合わせて履修することを薦めたい。
 新聞、雑誌における業界トップの経営戦略や新製品・消費者情報の記事を熟読し、なぜこのようなことが記されているのかを自ら問うこと。

授業内容

授業内容
第1回<オリエンテーション>
 1)コース概要と進め方
 2)企業とは
第2回<SDGs、ESG>
 1)なぜ今、SDGs・ESGなのか
 2)CSRからCSV
第3回<花王の企業理念と経営戦略・事業戦略・組織戦略>
 1)企業風土・社風/花王WAY
 2)組織運営/事業体制/組織における全社マーケティング
第4回<花王の戦略—製品戦略・価格戦略>
 1)開発5原則
 2)P&A
第5回<花王の戦略—流通戦略・プロモーション戦略>
 1)販社体制
 2)ブランドコミュニケーション
第6回<花王のSDGs、ESGの考え方・取り組み> [オンデマンド予定]
 1)キレイスタイル/詰替え対応
第7回<業界No1 花王の戦略とケーススタディ>
 1)明確なターゲット戦略
 2)アンゾフの成長マトリクス
第8回<業界No1 花王の戦略とケーススタディ>
 1)「買い場」と「使い場」
 2)消費者インサイトに基づいた“コト売り”
第9回<業界No1 花王の戦略とケーススタディ>
 1)「使い場」でのニーズ探索
第10回<業界No1 花王の戦略とケーススタディ>
 1)生活シーンでのタッチポイントを探せ
第11回<業界No1 花王の戦略とケーススタディ>
 1)消費者の声は宝物
第12回<花王のブランド戦略>
 1)ブランドとは/ブランド育成の仕組み
第13回<市場動向研究—環境変化>
 1)生活環境の変化に伴う課題の捉え方
第14回<市場動向研究—企業の対応>
 1)環境課題への企業対応・取組み
第15回<今後の企業の進むべき方向>
 1)これからの企業対応の考え方