社会学Ⅱ
担当者山下 雅之教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングSOC-102

授業の概要(ねらい)

この授業では、世界に共通する文化現象であるマンガを通して、それぞれの社会の違いと互いの共通点を探る。特に20世紀以降のグローバルな社会変化の中で、マンガがそれぞれの国や地域において果たしてきた役割を考えながら、その社会的な意味を理解する。

授業の到達目標

20世紀におけるマンガの変遷と、その背後にある社会の変化を通して、文化的な表象の果たす役割について理解し、同時に各地域におけるマンガの特徴から、その文化的特殊性を理解する。
科目の修得目標としては
人文科学、社会科学、自然科学の幅広い観点から現代社会を分析する視点を持つことができる、
を掲げているので、これに沿った内容を目標とする。

成績評価の方法および基準

中間レポート20%と期末試験70%及び授業への積極的な参加10%を基準として評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書フランスのマンガ山下雅之論創社
参考文献類猿人ターザンエドガー・バロウズ早川文庫
参考文献サザエさん長谷川町子朝日新聞社、アニメ
参考文献キャプテンアメリカYoutube、DVD
参考文献アステリクスとミッション・クレオパトラゴシニーYoutube、DVD
参考文献カボトロレンツォ・マトッティ

準備学修の内容

授業内容に関連する資料の自主的な学習

その他履修上の注意事項

授業内容

授業内容
第1回マンガのルーツとしてのアメリカ
日本では戦後、ヨーロッパでは1930年前後から、それぞれの地域で少年マンガが作られるようになり、さらにアニメなども広がって、現代に続くさまざまなコンテンツを生み出してきました。これらの動きは各地域で独自に生じたようにも見えますが、それらの背後にある原動力となったのは、アメリカからの影響だったと考えられます。そこで以下ではアメリカにおけるマンガの発展を中心に見ていきたいと思います。
第2回アウトコールトによるイエローキッドとバスター・ブラウン
アメリカで最初に作られたマンガ、ということは世界最初のマンガとされているのが1890年代に作られたイエロー・キッドという作品で、作者はリチャード・アウトコールトでした。イエローキッドという題名は当時の言葉でいう「黄色人種」つまりアジア系の子供を指しています。なぜアメリカ最初のマンガがアジア人なのか・・どんな作品かを画像で確認しつつ、その理由を考えて下さい。授業での発表を期待します。
第3回ドイツやハンガリーからの移民たちとマンガ
アメリカでマンガが発展した最大の理由、それはマンガが掲載されていたメディと大きな関係があります。つまり当時はまだマンガの雑誌や単行本が出ておらず、人々はどうやってマンガを読んでいたのか、ということです。調べて想像してみて下さい。ヒントは当時の有名なジャーナリスト、ジョゼフ・ピューリッツァーですが、どんな人物か、経歴を調べて下さい。マンガとどんな関係があるのか、調べて下さい。
第4回リトルニモのスランバーランド
20世紀に入るとアメリカで作られるマンガの中には前衛的なもの、芸術的なものも生まれてきます。単にストーリーが面白いとか、読んで楽しいというだけでなく、描かれている絵そのものが芸術的で、現代から見てもアートとしての完成度が高いというものです。その代表といっていいのが、ウィンザー・マッケイによる「リトルニモ」である。名前のとおり、少年が冒険する物語だがその行先はスランバーランドつまり夢の国である。作者について、作品について調べたら、どの点が芸術的といわれるのか、画像をよく見て下さい。のちにこの作品は日米合作でアニメ化されているので、Youtubeで必ず見て内容をまとめて下さい。プレゼンをお願いします。
第5回おやじ教育とブロンディーのアメリカ
芸術的なマンガもあれば、シュールなマンガも、ギャグ的なものもあったというアメリカのマンガですが、主流を占めていたのは家族の日常を描くものでした。日本でも最も根強い人気のマンガ・アニメといえばサザエさん、一家の日常を描いた物語です。アメリカではずいぶん早くからこうしたジャンルが作られ、また何十年にもわたって続くという息の長い作品が生まれました。その中でも世界的にヒットしたのがジョージ・マクマナスによるおやじ教育でした。どんな作品なのか、作者はどういう人か、なぜ世界でヒットしたのか、調べて下さい。
第6回バロウズの描くジャングルの世界
ある意味で最もアメリカらしい、ユニークなマンガ作品が生まれました。ほかの国にはないこの物語の舞台はアフリカ、タンタンのコンゴ探検の舞台にも近いと思われる地域です。もともとはエドガー・バロウズの書いた小説から始まっており、何十巻もの作品が書かれて、それらをもとにマンガが作られました。また当時かなり早くから実写映画も作られるという、とても人気の高い作品でした。何という作品か、どんな内容か、まず小説を調べて下さい。それからマンガ、そして映画についてもお願いします。すべてについてまとめて発表して下さい。小説を読んでください。映画を見ておいて下さい。
第7回SFマンガの成功:フラッシュ・ゴードンと魅力あふれるデール
上に述べたSFが広がるとともに、マンガの世界でも宇宙やロケットなどが新しい世界として描かれるようになり、そこで活躍するヒーローやヒロインたちが登場しました。そんな中で最も人気となった作品の一つがフラッシュ・ゴードンです。相手役のヒロインが黒髪の美女デール、そしてもう一人の仲間がザーコフ博士で、宇宙に向かうロケットの発明者です。この作品はマンガとして成功しただけでなく、その後実写伴野英が作られたり、アニメ化もされたりと、とても人気の作品になりました。有名なものとして1980年代に作られた実写映画がありますが、それは映画よりも中で使われている音楽がとても素晴らしいからなんです。最近になって注目されたクイーンというバンドのフレディー・マーキュリーですが、音楽を担当したのは彼らでした。マンガの画像と映画そして音楽を探して、どのようなものか見て下さい。発表を期待します。
第8回シカゴのギャングたちと刑事の活躍
1920年代から30年代にかけてのアメリカというと、すでに紹介したタンタンの冒険シリーズの中にもありましたが、第3巻「アメリカ」でみたように、ギャングたちが大きな力をもった時代でした。そして彼らが勢力を伸ばして町として有名なのがシカゴです。なぜこの時期、どうしてこの町で、ギャングの勢力が拡大したのか、調べて下さい。このギャングと警察との攻防を描いたマンガがディック・トレーシーでした。主人公である刑事の名前です。いまならスマートウォッチですが、トレーシーは腕時計が無線になっていて、警察から連絡が入ります。次々とギャングたちを逮捕する彼の活躍、一方では登場するギャングたちが一人ひとり個性的なところも面白いです。この作品も人気が高く、何度も実写化されていて、とくに歌手のマドンナが登場した1990年の映画はぜひ視聴して下さい。
第9回超人の登場:スーパーマンからキャプテンアメリカへ
現代のマンガではドラゴンボールをはじめワンピースにしてもそうですが、超人的なパワーがヒーローのしるしになっています。しかしもともとヒーローたちは、ターザンにしてもフラッシュ・ゴードンにしてもパンチやキックで戦い、武器も用いますが、基本的には人間の力で敵を倒します。ところが超人が初めて登場したのが、アメリカのマンガでした。超人つまりス―パーマンです。彼はmanといっていますが、人間ではなく宇宙からやってきたキャラでした。ここからさまざまな超人キャラが次々と登場し、現在ではとくに映画の世界で大活躍するいろいろなヒーローやヒロインが生まれました。その中には超人的な力をもたないバットマンのような人物もいますが、キャプテンアメリカやXメンなど数え切れないほどのキャラがいます。いつからどこでどんなキャラが作られたか調べて画像や映像を確認して下さい。プレゼンの準備お願いします。
第10回戦争とマンガ
現在ではアイアンマンやファンタスティック・フォーなどアメリカのマンガのキャラが映画化されてスクリーン上で見ることができますが、これら現代的なキャラの原点となっているのがキャプテンアメリカでした。マンガや映画のキャラクターとして作られたものではなく、ある政治的なキャンペーンのために作られたといわれています。1940年ごろの当時のアメリカを取り巻く歴史的状況を調べ、どのような目的だったのかを考えて下さい。プレゼンを期待します。
第11回ディズニーアニメの世界とディズニーランド
世界的なキャラというとキティやドラえもんなどが日本産ですが、最も古いキャラで、世界中で人気といえばミッキーです。ネズミ、アヒル、リス、犬、クマ・・多くの動物を擬人化する、これこそアメリカで発明され世界各地に広がったキャラクターたちの原点、そしてアイデアを考え人がウォルト・ディズニーでした。どんな人物か、どうやってキャラクターを生み出したのか、どんな作品があるか、アニメとマンガの関係はどうなっているか、テーマパークはいつどこでどのように作られ、現在どうなっているか、調べて発表して下さい。
第12回マンガは子供によくないという説
マンガ、テレビ、ゲーム、携帯・・・これらのアイテムや機器は人気が出るたびに、子供に良くないと大人たちが主張を繰り返してきました。それは本当でしょうか。いまではスマホだけでなく、タブレットやパソコンが小学校の授業で使われるようになり、デジタルの遅れが教育レベルに左右するほどになっています。アメリカのマンガは1950年代に社会問題となり、子供に対する害悪だと主張されて親たちの運動が盛り上がりました。日本でもその後の時期に同様の主張がひろがりました。アメリカや日本で広がったマンガ害悪論について調べて発表して下さい。内容、人物、運動、結末などについてお願いします。
第13回フランスでの新たなマンガ世代
少年マンガから始まったフランスのマンガも1960年代が近付くとともに、読者が青年期から成人に達するようになり、さらに本格的で大人向けのマンガを望むようになります。そして大人向けのマンガといえばいち早くから発展したのがアメリカで、そのマンガの影響を受けたルネ・ゴシニーというマンガ家が新しいマンガ世代のリーダーになります。彼が作ったマンガ雑誌が『ピロット』でした。彼はどのような人物か、アメリカのどういうマンガから影響を受けたか、新たに作られた雑誌とはどういうものか、どんな作品があるか・・・など調べて下さい。
第14回アステリクスとオベリクス
ゴシニーの発想で生まれたマンガの中で、とくにフランスで人気の高い作品が「アステリクス」です。どういうキャラがいるのか、どんな物語なのか、現在はどうなっているか、映画やアニメ作品はどうかなど、しらべてください。映画を必ず見て下さい。
第15回現代のバンデシネ
フランスのマンガは日本やアメリカのものと違い、どちらかというと絵画表現を重視する、よりアートに近いものとなっています。マンガやコミックとは異なるので、BDつまりバンデシネといいます。どういう点が違うのか、どんな作品があるのか、調べて下さい。マトッティやリベラトーレなど外国出身のマンガ家も数多く含んでいます。画像を調べて下さい。