担当者 | 大塚 秀実教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [心理学科 2018年度以降] | |
科目ナンバリング | CLI-301 |
人間の感情や行動は普遍的なものである一方、個人を取り巻く環境から影響を受ける。人間はひとりで生きていくことは不可能であり、他者の助けを受け互いに影響を与えながら生きていく。臨床心理学は人間の内的なこころの動きについて研究を重ねてきた。一方、環境や社会的な出来事が個人の内的な動きに与える影響についても関心を抱き続けてきた。
2011年に 起きた東日本大震災は、災害時の健康支援にはどんな支援ができるだろうか、という疑問を投げかけた。また、日本で餓死者がでたという出来事は、貧困問題が日本に存在するということを否応なく意識させ、私たちに驚きを与えるのに十分であった。そして、それらの出来事がその後どのように推移したのか、どのような結果となったのか、その出来事は個人の心理にどのような影響を与えたのか、集団にどのような影響を与えたのか、を知ることは、この世界で生きていく上でとても重要なことである。人口が減少に向かっている今でも自殺者数が2万人程度を推移している現状もまた、私たちになぜ死を選ばなければならない状況があるのかを考えることを要求する事態である。
また、2019年から始まったCovit19禍において、人は何におびえ生活しているのだろうか。ウィルスだろうか。人の視線だろうか。そして、何を考えているのだろうか。
こうした問題は、専門家だけが取り組めば解決に向かうものではない。誰もが身近な問題であると捉えることによってはじめて、現実味を帯びてくるものである。
この授業では、社会的な問題と臨床心理学が関連する分野を知り、新たな視点を得ることを目指すことを目的とする。
1)臨床実践領域の知識を習得し、その法則や理論を説明できる
2)実社会におけるこころの問題を解決するための問いを立てることができる
3)実社会におけるこころの問題に解決法や支援法を提起できる
4)こころに関わる様々な問題に実践的な解決を与える、柔軟な思考能力と実践力を有することができる
成績は、毎回の感想を40%、最終レポートを60%とする。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 人口で語る世界史 | ポール・モーランド | 文芸春秋社 |
参考文献 | 危機と人類(上下) | ジャレド・ダイアモンド | 日本経済新聞出版社 |
参考文献 | 夜と霧 | ヴィクトール・フランクル | みすず書房 |
授業で紹介・配布した論文を読むこと
・「精神疾患とその治療」を受講済みであることが望ましい
・社会で起こる出来事について興味関心を抱き、積極的に調べること
・授業内で調査を依頼することがある
・ゲストスピーカーを招くことがある
・真剣に学ぼうとしている学生の邪魔(私語・飲食)をしないこと
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス:社会の問題とメンタルヘルスの問題について学ぶ |
第2回 | 震災と心理について学ぶ |
第3回 | 震災支援について学ぶ |
第4回 | 戦争とPTSDの歴史について学ぶ |
第5回 | 日本における貧困問題について学ぶ |
第6回 | ひきこもりの心理と支援について学ぶ(オンライン) |
第7回 | 自殺問題について学ぶ① |
第8回 | 自殺問題について学ぶ② |
第9回 | 精神障害者支援について学ぶ |
第10回 | 合理的配慮とその現状について学ぶ |
第11回 | インターネット依存とその現状について学ぶ① |
第12回 | インターネット依存とその現状について学ぶ② |
第13回 | 大学生の心理と学生相談について学ぶ |
第14回 | コロナ禍の私たちの日常生活とメンタルヘルスについて学ぶ |
第15回 | レポート講評 |