ジャーナリズム論Ⅰ
担当者阪本 博志教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-107

授業の概要(ねらい)

 この授業は、本学科のディプロマポリシーのうち、「社会の問題を発見し、社会を構想することができる」をねらいとするものである。

 私たちにとって身近な存在であるポピュラー雑誌をおもにとりあげ、戦後の雑誌ジャーナリズムを理解する。とくに、戦後社会において大きな影響力をあたえた雑誌をつぎつぎと刊行したマガジンハウス(旧社名・平凡出版)のものをとりあげる。
 「ジャーナリズム論Ⅱ」受講希望者は、「ジャーナリズム論Ⅰ」の履修が望ましい。

授業の到達目標

①戦後の雑誌ジャーナリズムについて、ラジオ・映画・テレビ等他のマスメディアとの関係や社会的背景との関係とともに理解する。
②上記①をとおしてさまざまなメディアの特性を学ぶことで、メディアリテラシーを持って情報を分析できる力を身につける。

成績評価の方法および基準

提出物 20%
期末試験 80%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『『平凡』の時代――1950年代の大衆娯楽雑誌と若者たち』阪本博志昭和堂
参考文献『群像断裁』大宅壮一文藝春秋新社
参考文献『週刊誌――その新しい知識形態』週刊誌研究会三一新書
参考文献『戦後政治の歴史と思想』松下圭一ちくま学芸文庫

準備学修の内容

 授業中に指定するテキストの範囲を読んでおくこと。また授業中に実施する「確認プリント」(詳細は、1回目の授業で説明する)に向けての準備をすること。

その他履修上の注意事項

①受講者には、毎回リアクションペーパーへの記入を求める。そこにあらわれた受講者の興味関心等によって、内容の調整をすることがある。
②成績評価の方法および基準は、対面授業を想定してのものである。遠隔授業になった場合、比率を変えることがある。そのときには決め次第、授業中に告知する。
③「ジャーナリズム論Ⅱ」受講希望者は、「ジャーナリズム論Ⅰ」の履修が望ましい。

授業内容

授業内容
第1回 1949年に公開された松竹映画『悲しき口笛』を視聴する。これを手がかりに、1950年代の雑誌ジャーナリズムにアプローチしていく。
第2回 1950年代を代表する大衆娯楽雑誌『平凡』をとりあげる。
第3回 1950年代の雑誌ジャーナリズムをとりあげる。原作(中野実)が『平凡』に連載されて1955年11月に公開され翌年の邦画興行収入第3位を記録した東宝映画『ジャンケン娘』の一部、原作(源氏鶏太)が『明星』に連載され1957年に公開された大映映画『青空娘』の一部を視聴し、雑誌ジャーナリズムと他のマスメディアとの関係についての理解を深める。
第4回 1950年代の雑誌ジャーナリズムをとりあげる。原作(宮崎博史)が『平凡』に連載され1958年に公開された大映映画『有楽町で逢いましょう』を視聴し、雑誌ジャーナリズムと他のマスメディアとの関係についての理解を深める。
第5回 1950年代の雑誌ジャーナリズムをとりあげる。1959年の皇太子ご成婚の記録映像を視聴する。当時の「ミッチー・ブーム」とマス・コミュニケーションの再編について理解する。
第6回 1950年代の雑誌ジャーナリズムをとりあげる。政治学者の松下圭一が『中央公論』1959年4月号において発表した「大衆天皇制論」を理解する。
第7回 1950年代の雑誌ジャーナリズムをとりあげる。1950年代半ばからの「週刊誌ブーム」について理解する。
第8回 1950年代の雑誌ジャーナリズムをとりあげる。評論家の大宅壮一が『週刊朝日』1958年12月14日号から1959年9月20日号まで連載した『群像断裁』を手がかりに当時のマス・コミュニケーションの再編について理解する。
第9回 1950年代から1960年代の活字・電波ジャーナリズムにおける「タレント文化人」の登場について、上記『群像断裁』を手がかりに理解する。
第10回 1960年代から1970年代にかけての雑誌『平凡』『明星』を手がかりに、当時の雑誌ジャーナリズムについて理解する。ここでは原作(富島健夫)が『明星』に連載され1964年に公開された東映映画『君たちがいて僕がいた』を視聴する。
第11回 1960年代から1970年代にかけての雑誌『平凡』『明星』を手がかりに、当時の雑誌ジャーナリズムについて理解する。
第12回 1964年の東京オリンピックと同年創刊された、日本で最初に若い男性を対象とした週刊誌『平凡パンチ』をとりあげる。
第13回 『平凡パンチ』から生まれ1970年に創刊された日本で最初のオールグラビア誌『anan』をとりあげる。同誌は、現在書店の店頭に並ぶファッション誌の原型となったものである。
第14回 『平凡パンチ』におけるアメリカ文化の紹介、『anan』におけるカタログ的編集の延長線上に1976年創刊された雑誌『POPEYE』をとりあげるとともに、現在の雑誌ジャーナリズムにいたる流れを理解する。
第15回 これまでのまとめをおこなう(オンライン)。