財政政策論Ⅱ
担当者髙井  正教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-308

授業の概要(ねらい)

 市民革命後に誕生した市場社会には、市場経済と財政という2つの経済が存在する。このうちの財政は、中央政府や地方政府(都道府県・市町村)が民主主義に基づいて営む「公の経済」であり、租税を主たる収入源として、警察・消防・教育などの公共サービスの提供や、道路・公園・上下水道などの公共インフラの整備が行われている。現在の日本の財政規模(歳出総額)は対GDP比で約37%(アメリカは約35%、ドイツは約45%、フランスは約55%)を占めている状況にある。
 財政学は、このように現代の市場社会の中で重要な役割を担っている「財政」を対象とする学問であり、予算論・租税論・公債論・公共支出論・地方財政論・社会保障論・公企業論などで構成されている。
 この講座は、経済学の基礎を一通り学んだ3年次に配当されている選択科目であることから、財政学の「本編」として講義を行う(財政学の「入門編」の講義は2年次の選択必修科目として配当されている「財政学Ⅰ・Ⅱ」で行う)。
 講義形式は、毎回、テキストの内容を基に「スクリーンの筆記→解説及びその筆記」を繰り返す方式で行う。したがって、「ノート筆記」が不可欠な講義である。

授業の到達目標

・学生が、ノート筆記により、仕事で必要不可欠な「メモ取り能力」(筆記力)を修得する。
・学生が、財政支出と支出対象の関係を説明できる。
・学生が、国と地方の政府間財政関係を説明できる。
・学生が、現代財政が抱える「財政課題」を説明できる。

成績評価の方法および基準

・小テストの成績(20%)と期末試験の成績(80%)で評価する。
・小テストおよび期末試験は、「テキスト・ノートの持込み可」とする。
・小テストおよび期末試験は、「テキスト・ノートの内容」から出題する。
※出席率が2/3未満の学生は、仮に小テストおよび期末試験を受験したとしても「元々受験資格がない」ため、「不合格」となるので注意すること。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『財政学〔第3版〕』、2021年神野直彦有斐閣
参考文献

準備学修の内容

 毎回の授業で指定する「次回のテキスト範囲」を事前に読み、不明点・専門用語の意味等を必ず理解しておくこと。

その他履修上の注意事項

・ノート筆記が不可欠な授業であることから、欠席した授業の内容は自己責任で入手(友人のノートを借用)すること。
・財政学の全体像を理解する観点から、前期の講座である「財政政策論Ⅰ」との連続履修が望ましい。
・他人に迷惑をかける行為である「私語」は厳禁(ノート筆記に集中すること)。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:前期の総括(フィードバック)と後期の概要
第2回貨幣支出としてのアウトプット
第3回3つのサブシステムと公共支出
第4回オプションとしての公債と公債原則
第5回地方財政と中央財政①:複数の「政府」
第6回地方財政と中央財政②:複数政府の変遷
第7回地方財政の理論と実際①:地方税の課税形態
第8回地方財政の理論と実際②:財政調整制度&小テスト
第9回政府としての社会保障基金①:社会保障とは&小テストの講評(フィードバック)
第10回政府としての社会保障基金②:社会保障の現実
第11回公企業と財政投融資
第12回財政の過去から未来へ①:産業の変遷
第13回財政の過去から未来へ②:市場社会のグローバル化
第14回後期の総括(フィードバック)と期末試験の説明<オンライン授業>
第15回まとめと期末試験