報道研究Ⅱ
担当者阪本 博志教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-228

授業の概要(ねらい)

 この授業は、本学科のディプロマポリシーのうち、「社会の問題を発見し、社会を構想することができる」をねらいとするものである。

 報道においてメディアから伝達されるのは、情報である。日本においてこの「情報」ということばを、それまでの軍事や機密に限る意味ではなく、「もっとも広い意味でのインフォーメーション」としてとらえ、「「情報産業」という概念を、今までの産業の代名詞であった「エネルギー産業」の対立概念として考えてみよう」(編集後記)という趣旨のもと、『放送朝日』1963年1月号に梅棹忠夫「情報産業論――きたるべき外胚葉産業時代の夜明け」発表された。これは、『中央公論』1963年3月号に再録された。
 梅棹忠夫(1920~2010)の活動は、スケールが大きく、著作物も多岐にわたる。
 「報道研究Ⅰ」では、「情報産業論」が収録された文庫本『情報の文明学』の他の論考を読み進めた。以上から、「情報産業の時代」という観点から当時の社会を構想した梅棹の思想の把握を、こころみた。
 「報道研究Ⅱ」では、まず、「情報産業論」のアイデアのもと梅棹が日常の知的生産について述べた『知的生産の技術』(岩波新書)を読み進める。このことをとおして、われわれの日常における知的生産の再検討をはかる。
 次に、「情報産業論」をはじめとする『情報の文明学』の内容を、見田宗介『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』(岩波新書)を読むことをとおして、社会学的見地から相対化し検討する。
 受講者には、毎回の講読シートへの記入とその内容を授業中に発言することが求められる。読了後、書評を執筆する。執筆にあたっては、添削指導をおこなう。こうして作成したレポートを提出する。
 なお、かりに「報道研究Ⅰ」を受講していなくても「報道研究Ⅱ」の内容を理解することは可能である。

授業の到達目標

①「情報産業論」のアイデアのもと著された『知的生産の技術』の内容を、把握することができる。
②「情報産業論」をはじめとする『情報の文明学』の内容を、社会学的見地から相対化・検討することができる。

成績評価の方法および基準

平常点(講読シートの提出) 60%
期末レポート 40%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『知的生産の技術』梅棹忠夫岩波新書
教科書『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』見田宗介岩波新書
参考文献『情報の文明学』梅棹忠夫中公文庫

準備学修の内容

 事前にテキストの指定範囲を読み、ポイント等を講読シートに記入する。

その他履修上の注意事項

①受講人数等によって、内容や進度の調整をすることがある。
②『知的生産の技術』は、1969年に刊行されたあと、2015年に改版が発行されている。テキストの入手においては、2015年の改版以降に出版されたものを購入されたい。
③『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』は、1996年に刊行されたあと、2018年に改訂版が発行されている。テキストの入手においては、2018年の改訂版以降に出版されたものを購入されたい。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション
第2回『知的生産の技術』「はじめに」・第1章
第3回『知的生産の技術』第2章・第3章
第4回『知的生産の技術』第4章・第5章
第5回『知的生産の技術』第6章・第7章
第6回『知的生産の技術』第8章・第9章
第7回『知的生産の技術』第10章・第11章
第8回『知的生産の技術』のまとめ
第9回『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』「はじめに」第1章
第10回『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』第2章
第11回『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』第3章
第12回『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』第4章(前半)
第13回『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来―』第4章(後半)「おわりに」「あとがき」
第14回期末レポートの作成と添削
第15回これまでのまとめ等(オンライン)