地方財政論特講Ⅰ
担当者髙井  正教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学研究科 経営学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 市民革命後に誕生した市場社会には、市場経済と財政という2つの経済が存在する。このうちの財政は、中央政府や地方政府(都道府県・市町村)が民主主義に基づいて営む「公の経済」であり、租税を主たる収入源として、警察・消防・教育などの公共サービスの提供や、道路・公園・上下水道などの公共インフラの整備が行われている。現在の日本の財政規模(歳出総額)は対GDP比で約37%(アメリカは約35%、ドイツは約45%、フランスは約55%)を占めている状況にある。さらに日本では、財政の約6割を地方財政が担っている。
 この講座では、このように現代の市場社会の中で「公の経済」の中心的役割を担っている地方財政について考察する。したがって、受講生が大学の学部時代に、「地方財政論」のベースである「財政学」の単位を取得していることを前提に講義を行う予定である。ただし、「財政学」を未履修の受講生がいる場合は、ベースとなる「財政学」に立ち返って「地方財政論」の講義を行うこととする。
 講義形式は、毎回、テキストの内容を基に「スクリーンの筆記→解説及びその筆記」を繰り返す方式で行う。したがって、「ノート筆記」が不可欠な講義である。

授業の到達目標

・院生が、ノート筆記により、仕事で必要不可欠な「メモ取り能力」(筆記力)を修得する。
・院生が、国と地方の財政関係を説明できる。
・院生が、地方税の仕組みを説明できる。
・院生が、国からの一般補助金である地方交付税の仕組みを説明できる。

成績評価の方法および基準

・各回の授業での質疑応答などに基づく平常点(20%)と期末課題レポートの成績(80%)で評価する。
・期末課題レポートは、「テキスト・ノートの内容」から出題する。
※出席率が2/3未満の院生は、元々「成績評価の対象外」であるので仮にレポートを提出したとしても「不合格」とする。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『日本の地方財政〔第2版〕』、2020年神野直彦・小西砂千夫有斐閣
参考文献『ようこそ地方財政―日々の仕事に役立つ地方財政入門』、2020年長谷川淳二第一法規

準備学修の内容

 毎回の授業で指定する「次回のテキスト範囲」を事前に読み、不明点・専門用語の意味等を必ず理解しておくこと。

その他履修上の注意事項

・大学の学部で「財政学」の単位を取得していることが望ましい。
・ノート筆記が不可欠な授業であることから、欠席した授業の内容は自己責任で入手(友人のノートを借用)すること。
・地方財政論の全体像を理解する観点から、後期の講座である「地方財政論特講Ⅱ」との連続履修が望ましい。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:地方財政とは
第2回地方自治の統治構造
第3回地方自治体への事務配分
第4回地方財政の機能
第5回地方財政機能の歴史的傾向
第6回財政収入の政府間財政関係
第7回集権と分権
第8回地方税の性格
第9回地方税の要件と制度
第10回主要な地方税①:所得課税
第11回主要な地方税②:消費課税・資産課税
第12回地方交付税の考え方
第13回地方交付税の算定
第14回前期の総括(フィードバック)と期末課題レポートの出題&提出<オンライン授業>
第15回期末課題レポートの評価・講評