世界の情勢(アジア)Ⅱ
担当者大金 正知教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングARS-102

授業の概要(ねらい)

 世界は今激動の時期にあります。人々の関心はウクライナ戦に集まっていますが、世界ではウクライナだけに限らず、アジアでも歴史上例をみないような人道上の危機が起こっています。本講義では、三十余年間自らの身をもってアジアの国々の現場で実務に携わってきた経験を皆さんにお伝えしながら、アジアの国々の政治・経済・文化の歴史を学ぶことで、国の統治や社会の在り方を履修生の皆さんと教員で一緒に考えて頂きたいと思います。そのために教員と履修生の双方向の授業にしていきます。
 後期はフィリピンおよび東アジアの国々の歴史・政治・経済上の国のあり方に関連する主要なアジェンダについて、専門である公共政策学の論点を交えながら問題提起をしつつ解説をした上で、履修生とアジェンダの答えを探っていく講義にしたいと考えています。アジェンダとは、例えば、アフガニスタンは、今なぜ人道危機的状況に陥っているか、フィリピンのマルコス新政権はどこに向かうのか、ミャンマーの人々が平和と安寧の社会を取り戻すにはどうしたらよいのか、といった命題です。こうしたアジェンダには人類はいまだ正解を持ち合わせていません。正解のない国や社会のあり方に関連するアジェンダ・テーマにつき、履修生自らが新鮮な頭脳と感性で自ら考えることにより国際感覚、すなわち世界から取り残されないものの見方や感性を養うための授業にしたいと考えています。
 そのために、前期にグループワークによる発表形態の授業を実施したところ、一方的に受け身で講義を聴くだけよりも深い理解が得られた・プレゼンを準備し人前で発表することにより、人に伝えるスキルが身に着いたという履修生からのリアクションを戴きました。そこで後期はグループワーク方式を更に進化させ、その国について原則1回(中国・台湾は2回)の教員からの講義を聴いていただいたあと、グループごとにその課題についてMELICに準備した担当教員の参考図書などをもとに調べてきてもらい、次回の授業でその課題について発表してもらいます。この授業をきっかけに、さまざまな学部・学年・国籍の人たちとのチームワークを形成することの重要性に気づき、自分の考えをまとめて人に聞いてもらう、人の話を聴くことの重要性を身をもって体験し、理解して欲しいと考えています。グループワーク担当国は講義の初日に、1国の上限人数を設けつつも、基本的に発表担当国1カ国をご自分の意思で決めていただき、グループで集まって自己紹介をしていただき、初回からチームを形成して、自分のグループがどう発表を形成するかを話し合うところから初めて戴きます。
 今年度後期講義ではアフガニスタン、フィリピンと、東アジアで今注目されてい6つの国と地域を取り上げます。そのうち特にアフガニスタンについては、現在現地事務所で実際に経済協力活動をしておられるJICAアフガニスタン天田聖事務所長に、「アフガニスタンにおいて何故いま深刻な人道危機が起こっているのか」と題して最新アフガニスタン情勢について講義をいただくことで、真のアフガニスタンの現地情勢について皆さんに現地の本当の理解を得て頂こうと考えています。それにより皆さん・国民と国・政府との関係のあり方や、政府による社会の統治の仕組みの本質について考えていただくきっかけにして戴こうと考えています。

授業の到達目標

東南アジア・東アジアの国々の歴史・政治・経済について興味をもち、必要な知識をもって理解できるようにする。
アジアの主要アジェンダについて認識・理解し、自分なりの考えを持ち、大学生活や社会に出てからも、自分の認識・理解を自ら表現できるようにする。
自分の担当する国についてグループで、自ら関心をもってその歴史・政治・経済について専門書・参考書を読み、調べて、力を合わせて独自の発表資料を作成し、多くの人の前で自分独自の考えを発表して伝えることができるようになる。

成績評価の方法および基準

出席20点。グループワーク参加・発表20点。課題提出約7~8回20点。期末試験(自筆のノートは持ち込み可)40点。成績評価に関しては、出席とグループワーク参加・発表を最重視し、課題提出実績を評価します。また、総合成績評価をするために期末試験の受験を必須とします。
したがって、授業に全部出席し(20点)、グループワークの発表でご自分の担当箇所を発表していただき(20点)、約7~8回の課題を全部提出し(20点)て頂ければ60点に到達する評価システムとします。ただし、履修生は必ず授業で取り上げるどこか1つの担当国に登録してもらい、グループワークの発表の際に御自分の担当箇所をご自分で発表していただくシステムとします。
なお、遅刻は減点対象とします(45分以上の遅刻は出席としてカウントしません。)。また6回以上欠席した履修生は成績評価の対象とはしませんので、是非皆さん出席に努めて下さい。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教科書は特に指定しません。講義にはPPを講義当日前までに当方で用意しLMSにアップします。
参考文献参考図書は、その都度紹介します。ただしグループワークの際は発表を作成するために、その国・地域の専門書・参考文献を読んでいただくことになります。そのための当方(大金正知)のMELIC指定図書コーナーに指定図書を用意しています。

準備学修の内容

初回の授業の後、グループ分けをし、担当する国・地域をLMS上で登録して戴きます。グループごとに1つの国について課題を選び、グループディスカッションを行い、発表・課題提出していただきます。そのために、毎回の講義を良く聴き、内容を十分把握してその上で関心ある分野について専門書にあたり調べてみてください。その際分からない点、疑問に思った点は出来るだけ授業中あるいはメッセージ欄にて質問して下さい。講義を受けている全員の理解の手助けになり、授業への貢献になるからです。

その他履修上の注意事項

世界史、日本史、地理について高校で学習は前提としません。世界の情勢(アジア)Ⅰを受講することが望ましいですが、受講していなくても、アジアの重要アジェンダを知りたい、国際感覚を身に付けたいという意欲のある学生の履修を認めます。
成績評価に関しては、出席とグループワーク参加、報告・発表を最重視し、約7~8回の課題提出実績も評価の対象とします。また、総合成績評価をするために期末試験の受験を必須とします。
授業の初日に、下記7.で掲げた国のうち、グループワークで報告発表する担当国をご自分で登録して頂きます。後期の間に必ず1カ国についてグループワークに参加し、発表するものとします。初回講義に参加する際に、あらかじめどの国を担当するか腹積もりを決めて授業に参加して下さい。したがって、グループワークや発表はしたくない、双方向の授業はしたくない方にはこの授業は向いていません。この点については注意してください。

授業内容

授業内容
第1回授業の進め方・後半講義のガイダンス。アジア全体の動き。アフガニスタンの近現代史の概略。グループワーク担当国の登録。グループ内メンバーの顔見せと挨拶。
第2回現JICAアフガニスタン事務所天田聖所長によるアフガニスタンについての特別講義「アフガニスタンに深刻の人道危機が生じているのはなぜか。アフガニスタンに平和と国民の安寧が訪れるにはどうすればよいのか。」
第3回グループワークの報告・発表(1)
第4回フィリピンの政治・経済史。マルコスとラモス、ドゥテルテとは。そしてマルコス新政権はどこに向かうのか。フィリピンの人たちはなぜそんなに優しいのか。フィリピンの経済政策・貧困対策政策。なぜフィリピンから貧困はなくならないのか。その中の農地改革政策(CARP)とは。フィリピンの食文化。
第5回グループワークの報告・発表(2)
第6回韓国・北朝鮮の政治・経済史、文化史を考える。「韓流」とはなにか。韓国のアイドルグループ政策はグローバルに何故成功しているのか。日本との違いとは何か。韓国・北朝鮮の食文化。
第7回グループワークの報告・発表(3)
第8回中国と台湾、香港の政治・経済史(1)
第9回中国と台湾・香港の政治・経済史(2)、食文化
第10回グループワーク報告・発表(4)
第11回モンゴルの政治経済史。
第12回グループワークの報告・発表(5)
第13回中国の現在の政治体制は将来どこの向かうのか。中進国の罠・債務の罠とは。
第14回日本とASEAN、中国との関係。後期の総括。
第15回まとめ。期末テスト。
講義内容・スケジュールついては、講義の進行度合い、グループワークの状況などにより大幅に変更する可能性があります。