担当者 | 中沢 紀子教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [日本文化学科] | |
科目ナンバリング | JLN-205 |
どのような言語であれ、私たちの使うことばは、さまざまな社会的な要素(属性・地域など)と密着に関わりを持っている。
社会的属性(男性・女性)はもちろんのこと、居住する地域や(引っ越し・就職などによる)本人の社会環境の劇的変化により使用することばも変わっていく。例えば、日本語といっても「とうもろこし」を「とーきみ」「とーきび」、「もろこし」といったりする地域がある。「さあ行こう」を「さあ行くべ」、夜の挨拶として「おばんでございます」という地域もある。日本語でも、居住する地域によって使うことばが違うのだ。
また、女性話者の中には「わたし」のことを「うち」という人がいる。「わたし」の意味で「うち」を使用する男子学生は、(女性と異なり)それほど多くないであろう。これは、属性によることばの違いを反映している。
このように私たちを取り巻く社会とことばは切っても切れない関係にある。本講義では、社会という観点に着目し、言語にみられる特徴をさまざまな研究分析方法を用いて探っていく。
なお、この講義は受講することでたくさんの地域のことば(方言)を知ることができるとか、正しい日本語が身につくわけではない。なぜなら、この講義は社会と言語の関係を研究・分析するものであって、そのようなことを目的としたものではないからである。よって、上の例に挙げたような地域のことばは、日本語を研究するための手段の一部として、ほんの数回取り上げるだけで、方言のことばを探す・学ぶことが、講義の本質ではないことをあらかじめ述べておく。
・日本語を客観的に考察し、説明することができる。
・社会と言語のかかわりについて説明することができる。
テスト(60%)・(授業時や授業時間外の)レポート(40%)
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 講義ではプリントを配布する。 | ||
参考文献 |
講義では、レポートを課すことがある。準備学修では、その際に必要な言語事例をそろえておくことが求められる。この事例採取については、講義時に指示する。
講義では、私語厳禁とする。
講義内で感想・現在気になっている言葉などコメントを書いてもらうことがある。
受講者多数の場合、履修制限をかけることがある。履修を希望する学生は、初回の講義に必ず出席すること。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス(「日本語について説明できる」とはどのような状態を指すのか?) |
第2回 | 「社会言語学とは何か?」について学ぶ(方言と事件)。 |
第3回 | 「言語と格差」(社会言語学の採用する言葉の見方について学ぶ。) |
第4回 | 「言語変種とは何か?」について学ぶ。 |
第5回 | 言語変種の事例:討論「私たちの社会では、文法的に正しくとも、状況によってふさわしくないとされる言葉が存在する。それはどのようなものなのだろうか?」 |
第6回 | 言語変種の事例:日本語の文字について学ぶ。 |
第7回 | 言語変種の事例:日本語の地域差について学ぶ。 |
第8回 | 言語変種の事例:育児語について学ぶ。 |
第9回 | 言語変種の事例:公家言葉について学ぶ。 |
第10回 | 言葉と性差について学ぶ。 |
第11回 | やさしい日本語①について学ぶ。 |
第12回 | やさしい日本語②について学ぶ。また、やさしい日本語を各自で作成する。 |
第13回 | テスト①とその解説。 |
第14回 | テスト②とその解説。 |
第15回 | LMS授業:到達目標の確認を行う。また、社会の中の日本語について学ぶ。 |