総合経済Ⅰ
担当者田中 賢治教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-401

授業の概要(ねらい)

 大学の4年間に学んだことは,その後の人生に大きな影響を及ぼします.大学を卒業し社会へ飛び出すと,否応なく現実の経済社会に直面します.刻々と変化する経済社会を理解し,それにうまく対応しようとしたとき,力を発揮するのが経済学です.これまで学んできた経済学を,「学問のための学問」で,「現実経済では役に立たない」と考えていませんか.経済学は現実経済を分析するための強力なツールです.経済学を自分のものにすると,これまで何となく見ていた経済ニュースに立体感が生まれ,見落としていた存在に気がつき,さまざまな経済事象が頭の中でつながってくるはずです.
 4年生の皆さんに求められるのは,社会人になる前に,現実経済の中で,自ら考え,判断し,行動する力を身につけることです.そこで,本講義では現実経済を見る目を養うことに主眼を置き,現実経済の中で起こっている出来事を経済学を用いて分析することで,生きた経済学と,生きた現実経済を同時に学びます.さらに,現実経済が抱える課題への問題意識を高め,それらを理解し自ら判断できる能力を修得することを目指します.また,グローバル化が進展した現代では,世界各国の経済事情を知らずに日本経済を語ることは困難です.そこで,日本経済だけでなく,世界で現実に起こっている経済事象を理解することで,グローバルな視点から日本経済を見る目を養います.

授業の到達目標

(1)経済学の基礎的理論を確実に身につけ,現実経済における各経済主体の役割を理解し,その働きについて経済学を用いて説明することができる.
(2)社会人になる前に現実経済への感度を高め,日本経済の抱える課題とそれに対する財政・金融政策の効果について自ら分析することができる.
(3)グローバルな視点から日本経済を見る目を養い,修得した経済理論とデータに基づき日本経済と世界経済の現状,さらに日本と外国の経済関係について説明することができる.

成績評価の方法および基準

期末試験(小論文)60%と授業内小論文(不定期)40%で評価します.

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テーマが多岐にわたるため,教科書は用いません.
参考文献

準備学修の内容

教科書を用いませんが,講義資料を授業前日にLMSに掲載しますので,事前に目を通して,問題意識を持って授業に臨むこと.

その他履修上の注意事項

(1)「総合経済Ⅰ」と「総合経済Ⅱ」の連続履修をすること.
(2)経済学は現実経済を分析するためのツールです.毎日,新聞の経済記事に目を通し,現実経済への感度を磨くこと.
(3)出席はカードリーダーのシステムで確認します.出席日数が少ないと期末試験の受験資格がなくなるので毎回出席すること.なお,講義中の私語などの迷惑行為は厳禁です.

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス,日本経済の現状と課題
授業案内.日本経済の現状を確認し課題について考察します
第2回人口減少と少子高齢化
人口の変化による労働力への影響を考察します
第3回カギとなる生産性(オンライン授業)
経済成長における生産性の重要性を学びます
第4回変化する労働市場
日本の労働市場の特徴とその変化について学びます
第5回資本蓄積の鈍化
設備投資の理論を用いて設備投資が盛り上がらない理由を考察します
第6回金融業とフィンテック
金融機関の情報生産機能と,フィンテックの金融業への影響について考察します
第7回グローバル化と日本経済
貿易のメリットと国際分業について学びます
第8回ISバランスと貯蓄率の低下
経常収支とISバランスの関係について学びます
第9回グローバル・インバランスとその影響
経常収支不均衡がなぜ問題になるのかを考察します
第10回国際通貨制度と為替レート
貨幣の役割と為替レートの決まり方について学びます
第11回深刻な財政問題
日本の財政の現状,国債の役割,累積債務問題について考察します
第12回低インフレと非伝統的金融政策
デフレ脱却のために採用された非伝統的金融政策について学びます
第13回財政金融政策に余地はあるのか
経済政策の有効性と求められる経済政策について考察します
第14回日本経済の歩み
これまで多くの課題を乗り越えてきた日本経済の歴史を振り返ります
第15回授業の総括と期末試験(小論文)