総合経済Ⅱ
担当者田中 賢治教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-402

授業の概要(ねらい)

 大学の4年間に学んだことは,その後の人生に大きな影響を及ぼします.大学を卒業し社会へ飛び出すと,否応なく現実の経済社会に直面します.刻々と変化する経済社会を理解し,それにうまく対応しようとしたとき,力を発揮するのが経済学です.これまで学んできた経済学を,「学問のための学問」で,「現実経済では役に立たない」と考えていませんか.経済学は現実経済を分析するための強力なツールです.経済学を自分のものにすると,これまで何となく見ていた経済ニュースに立体感が生まれ,見落としていた存在に気がつき,さまざまな経済事象が頭の中でつながってくるはずです.
 4年生の皆さんに求められるのは,社会人になる前に,現実経済の中で,自ら考え,判断し,行動する力を身につけることです.そこで,本講義では現実経済を見る目を養うことに主眼を置き,現実経済の中で起こっている出来事を経済学を用いて分析することで,生きた経済学と,生きた現実経済を同時に学びます.さらに,現実経済が抱える課題への問題意識を高め,それらを理解し自ら判断できる能力を修得することを目指します.また,グローバル化が進展した現代では,世界各国の経済事情を知らずに日本経済を語ることは困難です.そこで,日本経済だけでなく,世界で現実に起こっている経済事象を理解することで,グローバルな視点から日本経済を見る目を養います.

授業の到達目標

(1)経済学の基礎的理論を確実に身につけ,現実経済における各経済主体の役割を理解し,その働きについて経済学を用いて説明することができる.
(2)社会人になる前に現実経済への感度を高め,日本経済の抱える課題とそれに対する財政・金融政策の効果について自ら分析することができる.
(3)グローバルな視点から日本経済を見る目を養い,修得した経済理論とデータに基づき日本経済と世界経済の現状,さらに日本と外国の経済関係について説明することができる.

成績評価の方法および基準

期末試験(小論文)60%と授業内小論文(不定期)40%で評価します.

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テーマが多岐にわたるため,教科書は用いません.
参考文献

準備学修の内容

教科書を用いませんが,講義資料を授業前日にLMSに掲載しますので,事前に目を通して,問題意識を持って授業に臨むこと.

その他履修上の注意事項

(1)「総合経済Ⅰ」と「総合経済Ⅱ」の連続履修をすること.
(2)経済学は現実経済を分析するためのツールです.毎日,新聞の経済記事に目を通し,現実経済への感度を磨くこと.
(3)出席はカードリーダーのシステムで確認します.出席日数が少ないと期末試験の受験資格がなくなるので毎回出席すること.なお,講義中の私語などの迷惑行為は厳禁です.

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス,世界経済の鳥瞰
授業案内.世界における日本経済の位置づけを考察します
第2回不思議の国アメリカ
米国経済の強さと課題について考察します
第3回米国の大統領選と経済政策
米国で見られる民意の分断と経済政策について考察します
第4回急成長する中国経済
市場経済の重要性について学びます
第5回中国経済の抱える課題
中国経済の長期的な課題について考察します
第6回米中摩擦と覇権争い
米中摩擦の本質は何かについて考察します
第7回EU(欧州連合)が目指すもの
単一市場と通貨統合について学びます
第8回欧州債務危機とBREXIT(英国のEU離脱)
統合によって起きた2つの事件について考察します
第9回「中所得国の罠」への不安
経済成長理論を用いてアジア経済を考察します
第10回アジア通貨危機の教訓
通貨危機へ陥らないためには何が必要かについて考察します
第11回経済改革に挑むインド
インド経済について中国経済と比較しながら学びます
第12回資源大国の現実
何が資源国の成長を制約しているのかについて考察します
第13回反グローバリズムと自国中心主義
反グローバリズムの背景にある格差問題について考察します
第14回地球温暖化問題(オンライン授業)
社会的ジレンマとしての地球温暖化問題について考察します
第15回授業の総括と期末試験(小論文)