日本法制史Ⅰ
担当者田中 俊光教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングFUL-201

授業の概要(ねらい)

日本は、明治時代以降、西洋型近代法を模範として法制度を整え、近代国家を形成した。しかし、近代以前にも日本の「固有法」の世界が存在していた。
西洋法の継受によって固有法の世界が明治期以降の法制度と完全に断絶したわけではなく、意識的に残置されたものもあり、意識せずとも法制度を運用する中で固有法の影響が反映されているものもある。よって、現代の日本の法制度を深く理解するためには、その前提として存在している固有法の世界がどのように形成されてきたのかを知り、また明治期以降、どのように固有法の世界に西洋型近代法が導入され、法制度が整備されていったのか理解する必要があろう。
前期では、まず、日本における近世までの法源、刑法、取引法、家族法、裁判制度などについて、その特色を概観することにより、日本法制史に関する基本的な理解を得る。

授業の到達目標

①日本法制史の基本的な知識を獲得し、概要を把握することができる。
②日本の近世までの法や裁判の歴史的な展開について、その背景を含めて理解できる。

成績評価の方法および基準

授業への取組み(30%)および期末試験(70%)で評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特定のテキストは使用しない。毎回授業のレジュメを配布する。
参考文献日本法制史浅古弘ほか編青林書院
参考文献日本法制史牧英正・藤原明久編青林書院
参考文献法社会史水林彪ほか編山川出版社
参考文献概説日本法制史出口雄一ほか編弘文堂
参考文献日本法史から何がみえるか:法と秩序の歴史を学ぶ高谷知佳・小石川裕介編著有斐閣
参考文献新版 史料で読む日本法史村上一博・西村安博編法律文化社
参考文献その他、講義の中で適宜紹介する。

準備学修の内容

授業は、配布するプリントに従って進めていくので、それまでに配布したプリントを読んで復習しておくこと。
次回の授業で使用するプリントを事前に配布するので、プリントの括弧内に入るキーワードを授業前に自分で調べて書き入れること。
参考書として指示した文献の関連部分をあらかじめ読むこと。

その他履修上の注意事項

興味関心を持って授業に臨むこと。
高校日本史レベルの基礎知識(特に制度面)があったほうが講義内容を理解しやすいと思うので、不安な学生は高校教科書などで予習してから講義に臨むこと。

授業内容

授業内容
第1回《オンライン授業》
ガイダンス
 法制史学の役割/法制史学(法史学)の対象
 日本法制史の体系
第2回古代(1)―律令以前の国家体制
 原始国家の誕生
 初期国家
第3回古代(2)―律令以前の法と裁判
 法と政治
 犯罪と裁判
 土地と財産
 婚姻と家族
第4回古代(3)―律令法の継受
 大化改新
 律令国家建設への道
 律令について
第5回古代(4)―律令体制
 統治組織
 社会身分
 人身支配
 税制
 親族法
 刑罰
第6回古代(5)―律令法の変容
 新たな官職・組織形態
 三代格式の編纂
 律令税制の変質
 中央での裁判制度の変化
 刑政の展開
第7回古代から中世へ―荘園の形成と武士の台頭
 荘園制の生成と類型
 初期荘園…古代の荘園
 免田型荘園…摂関期の荘園
 荘園公領制の形成と中世荘園の構造
第8回中世(1)―鎌倉・室町時代の国家体制
 鎌倉幕府の成立
 鎌倉幕府の統治組織
 室町幕府の統治組織
第9回中世(2)―鎌倉・室町時代の法
 中世法の基本的性格
 親族と相続
 刑事法
 土地取引法
第10回中世(3)―鎌倉・室町時代の裁判
 裁判機関とその管轄
 中世の裁判の特徴
 裁判(所務沙汰)の手続
第11回中世から近世へ―戦国期・織豊期の法
 惣村の形成と荘園制の衰退
 戦国大名の法
 織豊政権の法~全国統一事業法~
第12回近世(1)―江戸時代の国家体制
 幕藩体制の成立
 江戸幕府の統治組織
 藩
 村と町
第13回近世(2)―江戸時代の法
 近世法の特徴
 幕府法
 幕府法の編纂
 藩法
第14回近世(3)―江戸時代の裁判
 江戸時代の裁判について
 吟味筋の手続
 出入筋の手続
第15回まとめ