担当者 | 田中 俊光教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [法律学科 2017年度以前] | |
科目ナンバリング | FUL-203 |
日本において東洋(Orient)とは、西洋(Occident)の対義語で、西洋はほぼヨーロッパをいうが、東洋については、アジア全体であったり、東南アジアと北東アジアであったり、極東だけであったりと一定ではない。
この講義では、東アジアの国のなかでも、前近代においては中国の影響、近代以降は日本や欧米の影響を色濃く受けた朝鮮半島における法制史を学修する。朝鮮半島の法制度は本来どのようなものであって、どのように発展し、西洋法の継受から現在に至るまで、旧来の法意識が近代的法制とどのように相互に作用していて、今後どのように変容する可能性があるのかについて、考えていきたい。
前期では、朝鮮史を上古から近代まで通史的に概観しながら、時代ごとの法の特徴や、法典編纂の沿革を知ることで、比較法的視野から現代日本の法制度を深く理解する。そのなかでも、史料の比較的豊富な朝鮮時代、なかでも14世紀末から19世紀末にかけての法について、実際の法典・法令集や法律書の具体的内容を知ることで理解を深める。
①朝鮮半島の法制度に関する体系的な変遷の理解を通じて、法制度が制定される背景や法典編纂の影響など、東洋法制史に関する基本的な知識を修得する。
②前近代の朝鮮半島の法は中国の歴代王朝の法の単なる模倣ではなく、多くの独自の法が制定され、運用されていたことを説明できる。
授業への取組み(30%)および期末試験(70%)で評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 特定のテキストは使用しない。毎回授業のレジュメを配布する。 | ||
参考文献 | 李朝法典考 | 朝鮮総督府編 | 朝鮮総督府中枢院 |
参考文献 | 朝鮮社会法制史研究 | 京城帝国大学法学会編 | 岩波書店 |
参考文献 | 《世界歴史大系》朝鮮史1先史~朝鮮王朝 | 李成市ほか編 | 山川出版社 |
参考文献 | 《世界歴史大系》朝鮮史2近現代 | 李成市ほか編 | 山川出版社 |
参考文献 | コリアの法と社会 | 尹龍澤ほか編著 | 日本評論社 |
参考文献 | その他、講義の中で適宜紹介する。 |
授業は、配布するプリントに従って進めていくので、それまでに配布したプリントを読んで復習しておくこと。
次回の授業で使用するプリントを事前に配布するので、プリントの括弧内に入るキーワードを授業前に自分で調べて書き入れること。
参考書として指示した文献の関連部分をあらかじめ読むこと。
興味関心を持って授業に臨むこと。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 《オンライン授業》 ガイダンス/導入講義 |
第2回 | 三国時代以前の法 氏族社会・部族社会の法 古朝鮮の法 朝鮮半島周辺の諸部族の法 氏族社会・部族社会の法の特色 |
第3回 | 三国時代の法―高句麗/百済/新羅 4~7 世紀半ばの中国大陸…五胡十六国時代から魏晋南北朝を経て隋・唐帝国へ 4~7 世紀半ばの朝鮮半島…「部」体制から中央主権的貴族国家へ 三国時代の法の性格 |
第4回 | 統一新羅時代の法 7 世紀後半~9 世紀の中国大陸…唐による支配力の退潮から滅亡 7 世紀後半~9 世紀の朝鮮半島 統一新羅時代の法の実態 統一新羅の法の性格 |
第5回 | 高麗時代の法(1)―高麗前期の法の形成過程と特徴 10 世紀~12 世紀前半の中国大陸 10 世紀~12 世紀前半の朝鮮半島…新羅から高麗へ |
第6回 | 高麗時代の法(2)―事元期および高麗末期の法の特徴 12 世紀後半~14 世紀の中国大陸 12 世紀後半~14 世紀の朝鮮半島 |
第7回 | 朝鮮時代の法(1)―『経済六典』と続典の編纂 朝鮮の建国と王朝支配体制の確立 朝鮮王朝建国当初の法の特徴 |
第8回 | 朝鮮時代の法(2)―『経国大典』の編纂、構成と内容 『経国大典』の編纂経緯 『経国大典』の構成と内容 『経国大典』の編纂の意味 |
第9回 | 朝鮮時代の法(3)―『経国大典』以降16世紀末までの法典編纂 『経国大典』施行後の受教整理と「録」の編纂 『経国大典』の注釈書『経国大典註解』の編纂 『大典続録』•『大典後続録』編纂の意味 |
第10回 | 朝鮮時代の法(4)―朝鮮後期の法典・法令集の編纂 朝鮮後期の受教整理と官撰法典・法令集の編纂 |
第11回 | 朝鮮時代の法(5)―『大明律』の継受/朝鮮の法の存在形態と立法の特色 「明」帝国の成立と法典編纂…元の法制から新たな律の制定へ 朝鮮における中国法の継受 |
第12回 | 近代の法(1)―開化期の法制 朝鮮の開国への紆余曲折 甲午改革の意義・問題点 |
第13回 | 近代の法(2)―植民地法制 日露戦争から日韓併合 植民地期の法制 |
第14回 | 現代の法―大韓民国の法制度 日本の敗戦と朝鮮の植民地からの解放、南北分断 現行憲法の特色 |
第15回 | まとめ |