担当者 | 田中 俊光教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [法律学科 2018年度以降] | |
科目ナンバリング | FUL-206 |
日本は、明治時代以降、西洋型近代法を模範として法制度を整え、近代国家を形成した。しかし、近代以前にも日本の「固有法」の世界が存在していた。
西洋法の継受によって固有法の世界が明治期以降の法制度と完全に断絶したわけではなく、意識的に残置されたものもあり、意識せずとも法制度を運用する中で固有法の影響が反映されているものもある。よって、現代の日本の法制度を深く理解するためには、その前提として存在している固有法の世界がどのように形成されてきたのかを知り、また明治期以降、どのように固有法の世界に西洋型近代法が導入され、法制度が整備されていったのか理解する必要があろう。
後期では、明治期における法の西洋近代化の過程について、国家機構、司法権、刑法、家族法といったテーマごとに解説する。
①日本法制史の基本的な知識を獲得し、概要を把握することができる。
②明治期における近代的法制度の整備について、その背景を含めて理解できる。
授業への取組み(30%)および期末試験(70%)で評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 特定のテキストは使用しない。毎回授業のレジュメを配布する。 | ||
参考文献 | 日本法制史 | 浅古弘ほか編 | 青林書院 |
参考文献 | 新・日本近代法論 | 山中永之佑編 | 法律文化社 |
参考文献 | 法社会史 | 水林彪ほか編 | 山川出版社 |
参考文献 | 概説日本法制史 | 出口雄一ほか編 | 弘文堂 |
参考文献 | 日本法史から何がみえるか:法と秩序の歴史を学ぶ | 高谷知佳・小石川裕介編著 | 有斐閣 |
参考文献 | 新版 史料で読む日本法史 | 村上一博・西村安博編 | 法律文化社 |
参考文献 | その他、講義の中で適宜紹介する。 |
授業は、配布するプリントに従って進めていくので、それまでに配布したプリントを読んで復習しておくこと。
次回の授業で使用するプリントを事前に配布するので、プリントの括弧内に入るキーワードを授業前に自分で調べて書き入れること。
参考書として指示した文献の関連部分をあらかじめ読むこと。
興味関心を持って授業に臨むこと。
高校日本史レベルの基礎知識(特に制度面)があったほうが講義内容を理解しやすいと思うので、不安な学生は高校教科書などで予習してから講義に臨むこと。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 《オンライン授業》 ガイダンス 授業の進め方/前近代の法制概説 |
第2回 | 国家機構(1)―前近代の国家体制 江戸時代の国家体制 開国と幕末の動乱 |
第3回 | 国家機構(2)―近代的中央集権国家の形成 新政府の発足と中央集権体制の強化 新政府の対外政策 |
第4回 | 国家機構(3)―立憲体制の模索 立憲政治への動き 自由民権運動の始まり 国会開設運動 政党の成立と私擬憲法の起草 民権運動の退潮と過激化 |
第5回 | 国家機構(4)―明治憲法の制定 立憲政治の実現に向けた国家体制の整備 大日本帝国憲法 |
第6回 | 司法権(1)―前近代の裁判 江戸時代の裁判の特徴 吟味筋の手続 出入筋の手続 |
第7回 | 司法権(2)―近代的司法制度の成立 太政官制下の司法制度 |
第8回 | 司法権(3)―明治憲法下での司法権の展開とその後 明治憲法下の司法制度 資本主義の発展と司法制度 |
第9回 | 刑法(1)―前近代の罪と罰 江戸時代の刑法 咎(とが/犯罪) 仕置(しおき/刑罰) 赦(しゃ/刑罰の消滅) 無宿水替人足・人足寄場 |
第10回 | 刑法(2)―明治時代の罪と罰 明治初期の刑法 |
第11回 | 刑法(3)―現行刑法の成立 ヨーロッパでの刑法理論論争 旧刑法の改正と現行刑法の成立 現行刑法改正の試み |
第12回 | 家族法(1)―前近代の家 親族法 相続法 |
第13回 | 家族法(2)―明治国家と「家」 戸籍法の制定と「家」 |
第14回 | 家族法(3)―日本型近代家族の形成 明治民法の成立 民法改正の動き 戦後の民法改正 |
第15回 | まとめ |