担当者 | 藤本 龍児教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [社会学科] | |
科目ナンバリング | SOC-321 |
現代の世界は、何によって動いているのでしょうか?
人や社会は、何かに突き動かされ、あるいは何かを目的にして動き、それによって対立や衝突が生じることにもなります。ある論者は、人や社会を動かすものは「政治的な理念」だ、と言います。またある論者は、「経済的な利害」だ、と言います。事実、第二次世界大戦が終わって、1991年にソ連が崩壊するまでの「冷戦」時代には、世界は二つの陣営に分かれ、イデオロギーや富をめぐって対立していました。
しかし「冷戦」が終結すると、それらとは別に「文化的な価値」が注目されるようになってきました。言語や歴史、宗教などが現代社会を動かしている、ということが改めてわかってきたのです。例えば、カナダにおけるケベックの分離運動や、ロシアにおけるチェチェンの独立運動、中国におけるチベットの抵抗運動などが挙げられます。そこでは、たとえ経済的に不利益をこうむったり、極端な場合には命を犠牲にしたりしてでも、運動に身を投じる人びとがいます。なぜ「文化」は、そこまで大きな力をもっているのでしょうか?
「文化」をおおよそ共有している広い範囲のことを「文明」と呼ぶことがあります。ふつう「文明」といえば、政治制度や経済システム、法秩序、産業構造など、いずれの社会にも共通する普遍的な仕組みのことを言います。しかし、それらの仕組みは、それを支える世界観や思想がなければ機能しません。ここでいう「文明」とは、個別の文化を含んだ具体的なものであり、それゆえ多様なものです。そして、現代の世界では、多様な文明のあいだで、対立や軋轢が生じているのです。
本講義では、こうした意味で現代世界を動かしている「文明」を論じます。とりわけ、現代文明のモデルとされている「アメリカ」を中心にして、多様な文明が共生していくためには何が必要か、ということを考えていきます。
・「文化」と「文明」を思想史的観点から理解し、その成立の背景を理解する。
・「文明」と近代社会の関わりを理解し、「近代文明」の特徴を説明できる。
・「現代文明」とアメリカの関わり理解し、その問題を説明できる。
・原則として8割以上の出席を前提とする。
・適宜おこなう感想文の提出を必須とする。
・試験で講義内容とテキストにかんする理解度を問う。
・以上に授業態度をくわえ、総合的に判断して成績評価をおこなう。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『「ポスト・アメリカニズム」の世紀-転換期のキリスト教文明』 | 藤本龍児 | 筑摩選書 |
参考文献 | 『アメリカの公共宗教:多元社会における精神性』 | 藤本龍児 | NTT出版 |
参考文献 | *他の参考文献は、講義中に紹介する。 |
リアクション・ペーパーによって明らかになった各自の課題を、次回までの準備学修の内容とします。
共有の課題については、授業のなかで適宜説明していきます。
この講義だけで一つのまとまりをもっていますが、続けて共生文明論Ⅱを履修することが望ましい。
講義は以下のような内容を計画しています。ただし、受講者の理解や関心に応じて柔軟に改変していきます。
回 | 授業内容 |
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第1回 | はじめに *オンラインで実施する回については、状況をみながら判断し、お知らせします。 |
第2回 | 文化とは何か? |
第3回 | 文明とは何か? |
第4回 | 文化と文明の関係 |
第5回 | 9・11テロの意味 |
第6回 | イデオロギーの対立 |
第7回 | 経済体制の対立 |
第8回 | 「歴史の終わり」 |
第9回 | 「文明の衝突」 |
第10回 | 「異文化理解」という難題 |
第11回 | 文化多元主義 |
第12回 | 多文化主義 |
第13回 | 宗教の復興 |
第14回 | 現代社会における宗教の意味 |
第15回 | おわりに |