法律学演習Ⅲ
担当者渡邊  貴教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングSEM-401

授業の概要(ねらい)

本演習では、民法の重要判例とされるものを取り上げて、その事案の事情、紛争の当事者は何を主張したのか、第一審・原審はどのような判断を下していたのか、といった詳しい背景事情も踏まえながら、最高裁判例を理解することを目指します。
すでに講義形式の形で民法の各分野における基本的事項を学習した人も多いと思いますし、その中で判例の示したルールを勉強したという人も少なくないでしょう。しかし、その判例のルールがどのような事実関係をもとに下されたものであるのか、判例の示したルールに限界や問題がないのか、ということを詳しく考えたことがある人はあまりいないのではないかと思います。本演習では、判例を詳しく掘り下げて勉強することによって、判例の意味を様々な角度から批判的に検証し、判例の示したルールの意味を正確に把握できるようになることを目指します。
具体的な授業の進め方は、履修人数によって柔軟に対応するつもりですが、比較的人数が揃えば、いくつかのグループに分かれた上で、実際の判例の事案を素材に模擬裁判形式で、参加者全員が闊達に意見をぶつけ合えるような形にしたいと考えています。
なお、具体的に検討する判例は、『START UP 民法判例30 !』(有斐閣)の①総則、②物権、③債権総論、④債権各論、⑤親族・相続の中からバランスよく選択し、民法の全領域にわたる重要判例を議論できるようにするつもりです。
具体的な演習の進め方については、履修者の希望も聞きながら、第1回の授業時に決定する予定です。

授業の到達目標

①民法の予定する諸制度が実際の紛争においてどのように機能しているのかを体感できるようになる。
②民法の予定する諸制度を用いて、実際の紛争で自分なりに積極的に一定の主張をすることができるようになる。
③判例の意味内容について多角的に考察できるようになる。

成績評価の方法および基準

授業態度(70%)と学期末レポート(扱った判例の中から一つを選んで考察する)の点数(30%)を加味して評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『START UP ⺠法① 判例30! 総則』原⽥昌和・秋⼭靖浩・⼭⼝敬介有斐閣
教科書『START UP⺠法② 判例30! 物権』水津太郎・鳥山泰志・藤澤治奈有斐閣
教科書『START UP⺠法③ 判例30! 債権総論』田髙寛貴・白石大・山城一真有斐閣
教科書『START UP⺠法④ 判例30! 債権各論』中原太郎・幡野弘樹・丸山絵美子・𠮷永一行有斐閣
教科書『START UP⺠法⑤ 判例30! 親族・相続』青竹美佳・金子敬明・幡野弘樹有斐閣
参考文献『民法判例百選Ⅰ 総則・物権〔第8版〕』潮見佳男・道垣内弘人編有斐閣
参考文献『民法判例百選Ⅱ 債権〔第8版〕』窪田充見・森田宏樹編有斐閣
参考文献『民法判例百選Ⅲ 親族・相続〔第2版〕』水野紀子・大村敦志編有斐閣
参考文献判例に関わる各種の教科書・体系書・論文、関連判例

準備学修の内容

各判例で問題になっている民法の諸制度についての理解をしていることが演習で行う議論の当然の前提になります。したがって、毎週扱う判例についての事前の学習が必要になります。判例集だけではなく、教科書・体系書、場合によっては学術論文を参照しながら、判例の内容を議論する前提を自分(たち)であらかじめ勉強しておくことが求められます。

その他履修上の注意事項

講義形式の授業とは違って、演習では学生が主体的に参加をすることが求められます。判例の学習を通して、民法の理解をより深めたいと考える意欲のある皆さんの参加を期待しています。
なお、民法の各領域についての講義を事前に受講していることが望ましいですが、履修時点でいまだ受講していない、あるいは並行して履修しているという場合でも、意欲があれば演習参加には問題がないと考えられますので、その点は気にする必要はありません。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
第2回総則の判例①についてのディベート
第3回総則の判例①についての検討
第4回物権の判例①についてのディベート
第5回物権の判例①についての検討
第6回債権総論の判例①についてのディベート
第7回債権総論の判例①についての検討
第8回債権各論の判例①についてのディベート
第9回債権各論の判例①についての検討
第10回親族・相続の判例①についてのディベート
第11回親族・相続の判例①についての検討
第12回総則の判例②についてのディベート
第13回総則の判例②についての検討
第14回物権の判例②についてのディベート
第15回物権の判例②についての検討