行書・草書研究Ⅱ
担当者山本 晃一
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングJLN-304

授業の概要(ねらい)

「行書」「草書」というと「崩し字」、つまり「楷書が崩れたもの」といったイメージ
をもっているのではないでしょうか。「行書」も「草書」も、活字が普及する前は誰もが
当たり前のように読めて、書けたものでしたが、今では書道以外で触れる機会は少ないの
ではと思います。しかし、古代の日本にそれらが伝わりやがて独自の発展を遂げたことに
より、文学・美術にとどまらず今日まで続く多くの日本文化の基底にその精神が宿りまし
た。つまり、「行書」「草書」を学ぶことは日本文化のルーツを学ぶことであると言って
も大げさではないのです。
この授業では、中国や日本における代表的な「行書」「草書」、とくに日本固有の文字
である「かな」のルーツである「草書」の名品を中心に、観て、書いて、考えることで、
日本文化の歴史を学びます。

授業の到達目標

①行書・草書の学修を通して日本文化の歴史を学ぶ。
②行書・草書を書くスキルを身に付け、日常の様々なシーンで活かせるようにする。
③教職課程履修者は「書写」や「書道」の授業担当者としての基礎的・基本的な資質を身に付ける。

成績評価の方法および基準

授業各回への取り組み方(50%)、授業を通しての文字の変容度・提出物の内容(50%)、を
みて総合的に評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書必要に応じてプリントを配布します。
参考文献

準備学修の内容

書道には「目習い」という言葉があるように、日ごろから「行書」や「草書」を目にす
るだけでもいろいろな事が学べます。文学、美術だけでなく、寺社仏閣などの古い建造物
、街中の看板など、日常のあらゆるところに「行書」「草書」は隠れていますので、アン
テナを張り巡らせて多彩な書の魅力に気が付けるようにしましょう。

その他履修上の注意事項

実技の道具(書写のセット、鉛筆など)が必要です。詳しくは第 1 回の授業で説明します
。実技だけで評価が決まるわけではありませんので履修に際して書道経験の有無は関係あ
りません。興味がある人、行書や草書を書いてみたいという人、崩し字が読めるようにな
りたい人など、文験者も未経験者も、毛筆による表現の楽しさに触れながら学びましょう。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス、用具用材について
第2回名品に学ぶ① 王羲之「十七帖」Ⅰ
第3回名品に学ぶ② 王羲之「十七帖」Ⅱ
第4回名品に学ぶ③ 王羲之「十七帖」Ⅲ
第5回名品に学ぶ④ 智永「真草千字文」Ⅰ
第6回名品に学ぶ⑤ 智永「真草千字文」Ⅱ
第7回名品に学ぶ⑥ 孫過庭『書譜』Ⅰ
第8回名品に学ぶ⑦ 孫過庭『書譜』Ⅱ
第9回名品に学ぶ⑧ 懐素「自叙帖」Ⅰ
第10回名品に学ぶ⑨ 懐素「自叙帖」Ⅱ
第11回名品に学ぶ⑩ 日本の草書Ⅰ 小野道風「玉泉帖」
第12回名品に学ぶ⑪ 王鐸の書Ⅰ
第13回名品に学ぶ⑫ 王鐸の書Ⅱ
第14回名品に学ぶ⑬日本の草書Ⅱ 良寛の書
第15回まとめ、作品提出