契約法Ⅰ(総論)
担当者渡邊  貴教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [法律学科 2018年度以降]
科目ナンバリングCIL-203

授業の概要(ねらい)

民法は、私⼈間の法律関係について、紛争解決のための基準や、我々市民の行うべき⾏為規範を設定しています。
本講義では民法の中でも講学上、契約法と呼ばれている領域に属する具体的な制度についての設例や判例の検討を通じて、法的な知識、体系的・論理的思考能⼒、具体的な紛争解決能力を身につけることを目指します。
本講義で学習する契約という制度は、私たちが生活する実社会においても非常に重要な機能を営んでいます。そのため、契約法を学ぶことを通して、契約が実際の社会の中でどのような機能を営んでいるのかを正確に理解できるようになることも本講義の重要な目的となります。特にこの授業では、契約法の前半(総論)を扱うこととします。

授業の到達目標

<知識・理解>
契約法に関する基本的な制度やルールの内容に関する正確な知識を身につけるとともに、法的な思考方法とはどのようなものであるかを理解する。
<思考・判断・表現>
講義で説明した法的な制度や概念を用いることによって、実際に生じうる民事上の紛争をどのように解決することができるかを考え、それを論理的に説明できるようになる。
<態度・志向性>
講義で解説する制度あるいは民法そのものが、社会において生じている様々な問題とどのように関係するのか、という点について主体的に考察できるようになる。

成績評価の方法および基準

学期末に実施する試験の結果(80%)を中心に、平常点(20%。授業内で実施するリアクションペーパーや小テストの結果)も加味して最終的な成績評価を行います。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『民法Ⅳ 契約』曽野裕夫・松井和彦・丸山絵美子有斐閣
参考文献『START UP⺠法④ 判例30! 債権各論』中原太郎・幡野弘樹・丸山絵美子・𠮷永一行有斐閣

準備学修の内容

授業⽇の前日までに担当者作成のレジュメを配布します(授業は基本的にこのレジュメに即して行います)。教科書の該当箇所と併せて予め読んできた上で、わからなかった箇所や疑問に思った箇所を事前にまとめた上で授業に臨んでください。

その他履修上の注意事項

民法は範囲も広く、また内容も一見複雑に見えるものも多いことから、初めて勉強をする人には難しく思える部分も少なくないかもしれません。とりわけ契約法の領域は、明治時代から維持されてきた条文の内容が最近大改正を遂げたばかりであることもあって、初めて学ぶ人にとって理解が難しい部分も多いと思います。
しかし、民法は社会で生きていく上で必要不可欠な基本的なルールや考え方を示しています。本授業では、初めて民法を学ぶ人でもきちんと理解できるように身近な具体例も挙げながら丁寧に説明をしていきたいと思いますので、学ぶ意欲のある方の履修を歓迎します。
なお、授業には必ず六法(小型のもので可)を持参してください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス(授業の全体像、進め方、教科書、参考書等について)
第2回契約法の規律の全体像・契約概念の意義と分類(教科書1-6, 18-24)
第3回契約法の基本原則(教科書6-18)
第4回契約の成立①-契約の成立とは何か-(教科書24-36)
第5回契約の成立②-契約の成立前の法律関係-(教科書36-47)
第6回契約の内容確定①-契約の解釈-(教科書48-58)
第7回契約の内容確定②-約款概念の意義と定型約款に関する規律-(教科書58-65)
第8回契約の効力①-同時履行の抗弁権と不安の抗弁権-(教科書66-79)
第9回契約の効力②-危険負担-(教科書79-86)
第10回契約の効力③-事情変更法理、第三者のためにする契約と契約上の地位の移転-(教科書86-100)
第11回契約の効力と債務不履行①-債務不履行の意義・類型と履行の強制-
第12回契約の効力と債務不履行②-損害賠償責任-
第13回契約の効力と債務不履行③-法定解除権の意義と要件-(教科書101-122)
第14回契約の効力と債務不履行④-解除権の効果と消滅事由-(教科書122-144)
第15回授業のまとめ