担当者 | 藤澤 明教員紹介 | |
---|---|---|
単位・開講先 | 選択必修 2単位 [史学科] | |
科目ナンバリング | CAS-203 |
本講義では文化財を科学的な視点から読解し、材料・技法・環境に関する多様な情報を収集・分析して文化財研究の方法論を理解することを目的とします。
美術工芸品が制作された背景には、構成する材料が入手可能であること、加工する道具があること、加工する技術があること、流通や販路が確保できていることが不可欠です。つまり美術工芸品は、作られた当時の歴史的、文化的、民俗学的、技術的背景が反映されています。よって、文化財の持つ意味や価値を考えるには、文化財を構成する素材と技法の知識は欠かすことのできないものです。
本授業では、美術工芸品に使用される主な素材について、制作技法を含めて材料科学的視点から紹介します。科学的内容を含みますが、理系的な物質の捉え方を理解することで、史学研究との接点を深める機会になることを期待します。
美術工芸材料についての基礎的知識を修得し、美術工芸品を観察した際に単に鑑賞するだけでなく、技術的背景まで考えることができるようになることを目標とします。
レポート課題(30%)と期末テスト(70%)で評価します。レポート課題は、授業を通して学んだ知識を活用し、各自が1つ選んだ美術工芸品について材料科学的に考察してもらいます。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
---|---|---|---|
教科書 | |||
参考文献 | 文化財のための保存科学入門 | 京都造形芸術大学編 | 角川学芸社 |
参考文献 | 文化財保存科学ノート | 沢田正昭著 | 近未来社 |
本授業では科学的内容を含みます。要点は講義内でも取り扱いますが、中学・高校の化学の教科書等で基礎化学を予習してください。
美術史・文化遺産特殊講義4B-Ⅱを履修する前に本授業の履修をおすすめします。ⅡはⅠを基礎とした発展的内容となります。また、実際の科学的調査は、美術史・文化遺産実習3内で行います。卒業研究で文化財の科学的調査を考えている場合は、本講義と実習を併せて履修するようにしてください。
回 | 授業内容 |
---|---|
第1回 | 美術工芸品の多様性 |
第2回 | 保存科学の歴史 |
第3回 | 科学知識の基礎―物質の構造― |
第4回 | 科学知識の基礎―計測と単位― |
第5回 | 研究倫理と不正(オンライン) |
第6回 | 金属の科学とその劣化ー鉄鋼材料ー |
第7回 | 金属の科学とその劣化ー非鉄材料ー |
第8回 | 金属器の成形法ー鋳造・鍛造ー |
第9回 | 金属器の加飾法ー彫金・表面処理ー |
第10回 | ガラスの科学と制作技法 |
第11回 | 木材の科学とその劣化 |
第12回 | 紙の科学とその劣化 |
第13回 | 漆の科学と制作技法 |
第14回 | 顔料の科学とその利用変遷 |
第15回 | 資料の保存環境制御 |