世界の情勢(ヨーロッパ)Ⅱ
担当者清水 雅大教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングARS-104

授業の概要(ねらい)

 現在、グローバル化のさらなる進展のなかで、ヨーロッパ諸国において偏狭なナショナリズム、自文化中心主義や排外主義が広がりを見せている。このような状況において現代ヨーロッパを多角的に理解するために、「現在」とのつながりのなかで差別と迫害の歴史を見直すことが重要である。そこで授業では、ナチ・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人虐殺)の歴史、そして戦後ドイツにおける「過去の克服」の過程について学び、現代ヨーロッパ社会の歴史的背景を考える(目的①)。さらに、ヨーロッパ現代史をたんに知識として知るだけでなく、移民問題や右傾化現象など、EU諸国がまさに現在直面している諸問題を、歴史的な視座をもって考える姿勢を身につける(目的②)。

授業の到達目標

1.戦後ドイツ・ヨーロッパにおいてホロコーストの過去がどのように扱われてきたかについて、確かな科学的知見に基づいて具体的に説明することができる。
2.現在、EU諸国が抱えている分断と排外主義の問題を、歴史的なパースペクティヴのなかで考えることができる。

成績評価の方法および基準

期末試験or レポート(受講者数による):60% 小課題等:40%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書歴史修正主義武井彩佳中公新書、2021年
参考文献メルケルと右傾化するドイツ三好範英光文社新書、2018年
参考文献ドイツの新右翼フォルカー・ヴァイス神泉社、2019年

準備学修の内容

・高校世界史のヨーロッパ戦後史を復習しておくこと。

その他履修上の注意事項

・「世界の情勢(ヨーロッパ)Ⅰ」を履修していること。
・授業中の迷惑行為(私語、飲食、携帯電話、遅刻・途中退室など)は厳禁です(守られない場合には受講を認めない)。
・積極的・主体的な授業参加を求めます。

授業内容

授業内容
第1回〈オリエンテーション〉
 世界の情勢(ヨーロッパ)Ⅱで学ぶこと(概要、目的、方法)、テキスト、成績評価、受講上の注意について
第2回戦後ドイツの歩み①:占領から分断へ
第3回戦後ドイツの歩み②:二つのドイツ
第4回戦後ドイツの歩み③:分断から統一へ
第5回ホロコーストの過去への取り組み①:記念碑と博物館
第6回ホロコーストの過去への取り組み②:「想起の文化」
第7回歴史修正主義①:ニュルンベルク裁判への不満
第8回歴史修正主義②:戦争責任をめぐって
第9回歴史修正主義③:ホロコースト否定論の登場
第10回歴史修正主義④:アウシュヴィッツ否定論の虚妄性
第11回歴史修正主義⑤:歴史家論争
第12回歴史修正主義⑥:否定論をめぐる裁判と法規制
第13回現代ドイツにおける極右勢力の拡大と排外主義
第14回【オンライン講義】戦後史のなかのヒトラー・イメージ
第15回まとめと期末試験