担当者 | 高木 暢亮教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [史学科] | |
科目ナンバリング | ARC-203 |
この授業では、「子どもの埋葬」をテーマとして扱う。考古学の研究テーマにおいて墓制研究は膨大な蓄積がある分野であるが、これまでの研究ではもっぱら成人が埋葬された墓が研究対象とされており、子どもの埋葬についてはあまり関心が払われてはいなかった。しかし、墓制研究から先史時代社会の親族構造、たとえば考察の対象となる社会が父系制社会であったか母系制社会であったかなどを議論する場合、成人墓のみを対象とした研究では不十分である。生まれた子どもが父方親族に含まれるのか、それとも母方親族に含まれるのか、まさにその点が議論の対象となるのであるが、そのためには子どもが親族集団のなかでどのように取り扱われていたのかを知ることが必要となる。文献資料の存在しない先史時代社会においては、子どもの墓を分析・検討することが親族構造を考えるうえで重要な手段になるといえるだろう。この授業では、弥生時代の北部九州の墓地を対象として子どもの埋葬を検討し、そこから北部九州弥生時代社会において、子どもが親族集団内でどのような扱いを受けていたのかを検討する。
1.弥生時代の墓制について基礎的な知識を修得する。
2.先史時代社会の親族構造研究の概要について理解する。
3.先史時代社会で子どもがどのような存在として扱われていたかについて考える。
成績は最終授業内で実施する試験によって評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 |
とくに父系制社会や母系制社会といった親族構造に関する基礎的な知識をおおまかに理解しておくことを望む。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス |
第2回 | 人骨による年齢推定の方法 |
第3回 | 縄文時代の墓 |
第4回 | 弥生時代早期・前期の墓 |
第5回 | 弥生時代中期・後期の墓 |
第6回 | 子どもの死亡率 |
第7回 | 子どもに関する儀礼 |
第8回 | 縄文時代・弥生時代の抜歯施行年齢(オンライン) |
第9回 | 弥生時代の墓地の空間構造1 |
第10回 | 弥生時代の墓地の空間構造2 |
第11回 | 先史時代の親族構造研究について |
第12回 | 弥生時代社会は父系制か母系制か |
第13回 | 子どもと副葬品 |
第14回 | 前近代社会における子どもの扱い |
第15回 | まとめとテスト |