西洋史特殊講義4B-Ⅱ
担当者藤本 啓助教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHAA-210

授業の概要(ねらい)

 古代「オリエント」の歴史を概観します。楔形文字の粘土板をはじめとする原典史料を読み解きながら、主に古代メソポタミア人のもたらした官僚機構、社会制度、信仰体系などについて講義します。今年度、Ⅱではメソポタミアの歴史を踏まえつつ、前2千年紀(特に後半)の、シリア・パレスチナ地方の宗教(多神教世界)、及びパレスチナにおける唯一神信仰の成立と発展(地方神のヤハウェがいかにして唯一神にのし上がったか)について講義します。(Ⅱの内容にのみ関心のある人でも、Ⅰの内容を踏まえていないと理解できないことが多いので、ⅠとⅡを合わせて受講することをすすめます。)

授業の到達目標

①学生は、シリア・パレスチナの歴史に対する自身の関心を明確にした上で、その特色を説明できます。(知識・理解)
 ②学生は、『旧約聖書』の歴史に関する記述の史実性について、同時代資料、考古学的検証も含めた冷静な視点からその問題点を指摘し、説明することが出来ます。

成績評価の方法および基準

(1)中間テストと期末テスト(またはレポート)の成績(到達目標①、②、③)90%
(2)オンライン授業課題、その他授業態度など(到達目標①、②、③)   10%
  ※テストについては、中間より期末の方の配点が高くなります。受講者数が少ない場合、期末テストをレポーに振り替え、第15回の授業は講義を実施します。(内容は後日告知。)レポートの要領やテーマについては第13回授業までにお伝えします。出席は取りませんが、日本語の参考文献が非常に少ない分野ですので、授業をろくに聞かずに単位を取ることはほぼ不可能であろうと思われます。評価は厳しいので、特に就職を控えた4年生は十分検討の上、受講してください。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書※教科書は使用せず、毎回の授業で配布するプリントの中で、随時参考文献を紹介します。
参考文献世界の歴史④オリエント世界の発展(中公文庫) 小川・山本編中央公論社
参考文献聖書時代史 旧約篇(岩波現代文庫)山我哲雄岩波書店

準備学修の内容

 日本語の参考文献が非常に少ない分野です。毎回の授業で紹介する参考文献の指定箇所を熟読し、授業内容の復習に当ててください。参考文献を丁寧に読むことで、各回の授業のテーマの理解がより進みます。

その他履修上の注意事項

 『旧約聖書』の歴史やその史実性に関心のある学生には興味深い授業内容となるでしょうが、受講生の大半はこの分野にあまりなじみがないと思われるので、できる限りわかりやすく説明するつもりです。皆さんの方でも強い関心を喚起してください。やる気も努力する気もなく、安易に単位だけ取ろうと思っている学生には、参考文献も少なく、退屈で厳しい授業となりますので、受講をすすめません。

授業内容

授業内容
第1回「ガイダンス」
 ・授業の概要(授業目的、各回テーマ、授業方式、評価法)、研究室・連絡先等の説明
 ・シリア・パレスチナの多神教的宗教世界と唯一神信仰登場の特異性について学ぶ
第2回「メソポタミアの宗教」
 メソポタミアの宗教史の概略を学ぶ
第3回「メソポタミアの単一神信仰」
 多神教のメソポタミアにおける単一神信仰形成の流れについて学ぶ
第4回「シリア・パレスチナの宗教(1)多神教の世界」
 前3千年紀~前2千年紀シリア・パレスチナの宗教世界について学ぶ
第5回「シリア・パレスチナの宗教(2)エル神とバアル神」
 多神教の神々の中でのエル神とバアル神の台頭について学ぶ
第6回「エジプトの宗教観」
 エジプトの宗教史の概略(アマルナ革命以前まで)を学ぶ 
第7回「エジプトの単一神信仰」
  多神教のエジプトにおける単一神信仰形成の流れについて学ぶ
第8回「アマルナ革命」
 アメンホテプ4世によるアテン一神教の推進とその挫折について学ぶ
第9回「まとめと中間テスト」
 ・前半期の講義の総括・質疑応答
 ・中間テストの実施
第10回「アマルナ革命の後世への影響」
第11回「中間テスト返却/ヤハウェ一神教の起源(0)導入」
 ・中間テストの返却・解説
 ・ウガリットの神話からの『旧約聖書』への影響について学ぶ
第12回「ヤハウェ一神教の起源(1)エル神とヤハウェ神」
 パレスチナにおける多神教信仰とヤハウェ神の台頭について学ぶ
第13回「ヤハウェ一神教の起源(2)ヤハウェの「唯一神」化」
 ヤハウェ一神教成立のプロセスに関する諸説と考古学的所見について学ぶ
第14回「オンライン:超越的・普遍的宗教の誕生」
 ユダヤ教成立とヤハウェの超越性強化について学ぶ 
第15回「まとめと期末テスト※」
 ・後半期の授業の総括・質疑応答
 ・期末テストの実施
  ※受講者数が少ない場合、この回は通常授業となり、テストは期末レポートに変更
   受講者確定後、授業内で伝える