西洋史特殊講義3B-Ⅱ
担当者能勢 和宏教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-206

授業の概要(ねらい)

2016年の国民投票で下されたイギリスのEU離脱という決定は、ヨーロッパのみならず日本含む世界を驚かせました。その前にもウクライナをめぐるEUとロシアの対立、ギリシャを発端とするユーロ危機、シリアを中心とする中東諸国から大量に押し寄せる難民の問題など、ここ10年間のEUをめぐるニュースはEUの不安定さをあらわにするものが目立っているといえるでしょう。その一方で、2018年に日本はEUと経済連携協定を結び、日本とEUの関係は強化されている最中にあります。
このように今日EUはヨーロッパの状況に大きな影響を与える存在であるだけではなく、日本にとっても重要な存在となっています。では、EUとはどのような機関であり、他の国際機関と比べたとき、なぜここまでの重要性を秘めているのでしょうか。EUについて耳にする機会は多くても、その実態は謎めいたままなのではないでしょうか。この授業ではヨーロッパ統合の成り立ちを踏まえてEUの特徴を知ることで、EUの持つ歴史的・世界的な意義について学びます。
後期の授業ではヨーロッパ統合が様々な領域に拡大していく1970年代から現在までを扱います。また、今日EUをめぐる状況は日々変化しているので、そうした動きについても授業中に紹介していきます。

授業の到達目標

・ヨーロッパ統合の歴史を知る
・人類の誕生・拡散から現代までの歴史を理解した上で、自分の関心のある分野・課題を明確化し、それらにしたがって科目を選択できる

成績評価の方法および基準

小テスト:30%、学期末試験:70%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献ヨーロッパ統合史遠藤乾編名古屋大学出版会
参考文献欧州統合史益田実・山本健編ミネルヴァ書房

準備学修の内容

事前に告知することなく小テストを実施するので、復習を欠かさずに行っておくこと

その他履修上の注意事項

授業内容

授業内容
第1回・授業運営方法に関するガイダンス
・1960年代までのヨーロッパ統合の展開をふりかえる
第2回・1970年代のヨーロッパ統合①
・通貨協力のはじまりについて学ぶ
第3回・1970年代のヨーロッパ統合②
・非経済領域に広がる統合の影響を知る
第4回・1980年代前半のヨーロッパ統合
・サッチャーとミッテランの統合への抵抗を知る
第5回・1980年代後半のヨーロッパ統合
・ドロールの活躍と単一欧州議定書の成立について学ぶ
第6回・冷戦終結のインパクト
・ヨーロッパの再統一について学ぶ
第7回・1990年代のヨーロッパ統合①
・マーストリヒト条約の成立によって誕生するEUの特徴を知る
第8回・1990年代のヨーロッパ統合②
・アムステルダム条約・ニース条約の成立と欧州懐疑主義の台頭について学ぶ
第9回・2000年代のヨーロッパ統合
・欧州憲法の模索と挫折について学ぶ
第10回・2010年代のヨーロッパ統合①
・ユーロ危機について学ぶ
第11回・2010年代のヨーロッパ統合②
・難民危機について学ぶ
第12回・Brexit①
・英国がEU離脱の決定を下すまでの経過について学ぶ
第13回・Brexit②
・英国が正式にEUからの離脱を果たすまでの過程について学ぶ
第14回・コロナ禍のEU
・コロナ危機へのEUの対応を知る
第15回・オンライン授業
・数百年におよぶヨーロッパ統合の歴史を踏まえて、EUの現在の立ち位置について学ぶ