担当者 | 中西 俊裕教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [総合基礎科目] | |
科目ナンバリング | ARS-105 |
中東は紛争や武力衝突でニュースに報道される地域でもあると同時に、石油・ガスなど資源の供給国としてもよく知られている。この地域を理解するために必要な民族、宗教の問題、生活の様子、政治、経済事情について習得し、日本など他国・他地域との関係についても知識を深めることを授業の狙いとする。
各民族や宗教の関係についてポイントを押さえて理解し、中東情勢の現状と日本との関係について他者に分かりやすく説明できるようになること。
中間レポート20%、小テスト・積極性など20%、期末試験60%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 独自のプリントを作成して授業時に配布します。 | 中西俊裕 | |
参考文献 | 中東和平 歴史との葛藤 | 中西俊裕 | 日本経済新聞社 |
参考文献 | 9.11後の現代史 講談社現代新書 | 酒井啓子 | 講談社 |
参考文献 | 中東政治入門 ちくま新書 | 末近浩太 | 筑摩書房 |
次回の講義内容について参考文献で関連する部分を読み、自分なりの理解を深め疑問があれば授業内、授業後に教員に提示します。
私語は禁止。期末試験を受ける資格は出席率が60%以上に達している学生に限る。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション 授業の進め方、中東問題を理解する上でのキーワードなどを説明。 |
第2回 | 中東の食文化 イスラーム、ユダヤなど中東起源の宗教の食文化・習慣、その歴史的背景などについて具体的事例を用いて解説。 |
第3回 | 中東の衣服・住居・建築 中東で用いられる衣類や住まいに関し写真や図を交えて戒律、地域による違いと特徴などについて学ぶ。 |
第4回 | 中東の若者と社会 中東諸国の若者たちを通じて各国社会の暮らしや社会情勢について考える。「アラブの春」という民主化運動をリードした若者たちのその後、若年層の失業率が問題になる中東社会の実態などを扱い、若者という鏡に映る中東社会の実像を探る。 |
第5回 | 中東諸国の成り立ち 現在の中東諸国は、第1次世界大戦後に成立した。オスマン帝国が崩壊し英仏が国境を画定、第2次大戦後にアラブ諸国とイスラエルが中東戦争を繰り返して石油危機が勃発するまでの主な出来事を確認する。 |
第6回 | アラブ民族主義とイスラーム主義 アラブ民族主義の盛隆期は1970年代まで続いたが、その後中東和平の進展とともに民族主義に代わりイスラーム主義が台頭してくる。その背景と過激な組織がテロを引き起こす誘因について考える。 |
第7回 | ユダヤ国家イスラエルの未来 自らの国をなくしたユダヤ民族が建国したイスラエルを巡る政治問題と、同国がハイテク産業の発展で技術立国を目指す側面を検証。 |
第8回 | 岐路に立つ中東和平とパレスチナ問題 武力による解放闘争から和平路線に転換したパレスチナ解放機構(PLO)を中核とする自治政府は、アラファト議長という象徴的存在を失い、時代の変化の中で発展の糸口を見出しかねている。パレスチナ自治への支援問題も交え詳しく説明する。 |
第9回 | イスラームを標榜する集団の行方 イスラム国(IS)などイスラムの教えを語りながら武力闘争を行う政治集団は、域内政府や米軍に敵視されながら、消滅したり形を変えて存続したりしている。なぜそうした過激集団は存続しつづけるか。社会的な背景を解説。 |
第10回 | サウジアラビアと湾岸諸国① 石油王国のサウジアラビアが脱石油を目指す経済改革を続けるが、それは容易な道のりではない。サウジの改革策の進み具合やほかの資源国の事例も交えて説明する。 |
第11回 | サウジアラビアと湾岸諸国② 石油は「黒い黄金」と言われ、それを求めて欧米の石油会社が中東に群がり利権を牛耳っていた時期があった。それを中東諸国が奪回するプロセスや日米欧など消費国との駆け引き、協力の歴史を紹介する。 |
第12回 | イランのイスラム体制と経済開発の壁 イラン革命で親米派の国王に代ってイスラム法学者らが統治する時代が来た。だが米国との対立が40年以上も続き、経済制裁を受けて産業発展が思うに任せない状況が続く。イランの過去と現在を政治、経済から検証。 |
第13回 | トルコの孤高の指導者が生む経済・社会の混迷 民主化されたトルコでエルドアン大統領は民衆に選ばれて当選したが、次第に強権政治に手を染め、統制色を強めた。また経済学の常識に合わない金融政策は通貨価値や物価を大きく変動させ国民の不安をあおる。トルコ指導部の矛盾を政治的背景を考えながら分析。 |
第14回 | 安定目指す「元中心国家」エジプト エジプトはかつてアラブ世界の盟主と言われ、歴代大統領もそれを目指して努力した。しかし戦争への疲弊、中東和平への貢献、民主化の挫折の末、今エジプトはそうした域内のリーダーではなくより安定した普通の一国家を目指しているようにも見える。古代遺跡でおなじみの国の過去、現在、未来を政治、経済面から読み解く。 |
第15回 | まとめと期末試験 |