中央アジア史Ⅱ
担当者齊藤 茂雄
単位・開講先選択  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHAA-224

授業の概要(ねらい)

 草原と沙漠という極度の乾燥地帯からなる中央アジアでは、草原に適応した遊牧、沙漠に適応したオアシス農耕を行うトルコ系の人々が生活している。トルコ、というと当然、トルコ共和国を思い浮かべるだろうが、実際には中央アジアこそがトルコ系諸民族の中心地であり、それは中央アジアを「トルキスタン(トルコ人の土地)」と呼ぶことからも分かるのである。
 では、中央アジアはなぜトルキスタンになっていったのだろうか。トルコ系諸族とはどこから来て、どのように広がっていったのだろうか。これがこの授業のテーマである。このことを知るためには、古代トルコ系諸民族の歴史そのものを見ていかなければならない。中央アジアは日本ではあまり馴染みのない地域ではあるが、現代のアジア中心部の成り立ちを知るためにも重要なテーマなのである。
 本講では、レジュメを配布する講義を中心に授業を進めていくが、地図や出土品などの図版を頻繁に活用する。また、授業の終わりにはミニッツレポートにより質問を受け付ける。学問は疑問を持つことから始まるので、常に質問できることがないか考えながら、主体的に授業を受けて欲しい。質問については、迅速に答えるべきものは次の授業の冒頭で取り上げるが、それ以外の質問はオンライン授業日にまとめて回答する。

授業の到達目標

中央アジアにおけるトルコ系諸民族の歴史を理解したうえで、なぜ中央アジアがトルキスタンとなったのかを、他者に自分の言葉で説明できる。

成績評価の方法および基準

平常点40%、期末テスト60%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献基本的には授業内でテーマごとに参考文献を提示しますが、全体に関わるものだけをここで挙げておきます。
参考文献内陸アジア史の展開(世界史リブレット11)梅村坦山川出版社
参考文献シルクロード世界史(講談社選書メチエ)森安孝夫講談社
参考文献中央ユーラシア史(世界各国史4)小松久男(編)山川出版社

準備学修の内容

授業後に、講義レジュメを自分なりにノートにまとめ直す。また、講義レジュメにある毎回の授業内容に関する参考文献を、一部でも良いので授業後に読んで理解を深める。

その他履修上の注意事項

私語など、出席している学生・教員の妨げになる行為をした場合、退席してもらうので慎むこと。

授業内容

授業内容
第1回中央アジアの気候と文化
第2回突厥の建国とその文化
第3回ソグド人と突厥
第4回中国王朝と突厥
第5回唐・吐蕃による中央アジア覇権争いと西突厥
第6回突厥の復興と中央アジアの勢力再編
第7回最初のトルコ語史料、突厥碑文
第8回突厥の滅亡とウイグルの登場
第9回国際紛争としての安史の乱
第10回ウイグル・唐・吐蕃の国際関係と中央アジア争奪戦
第11回トルキスタンの形成①:ウイグルの崩壊と西遷
第12回トルキスタンの形成②:西ウイグルとカラハン朝・セルジューク朝
第13回西ウイグルの遠距離交易:ウイグル語手紙文書の紹介から
第14回まとめ:トルコ系遊牧民と中央アジア史の概観
第15回オンライン授業:質問への回答と補足