美術史・文化遺産実習3-Ⅳ
担当者藤澤  明教員紹介, 植月  学教員紹介, 金井 拓人教員紹介, 赤司 千恵教員紹介, 三浦 麻衣子
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングFAH-406

授業の概要(ねらい)

 本実習では文化財を科学的な視点から読解し、多様な情報を収集・分析して適切に理解し効果的に活用できることを目的とします。美術史・文化遺産実習3B-Iに引き続き、それぞれの文化財に適した調査研究方法や保存修復方法を検討する技術を修得するために、帝京大学文化財研究所に保管されている文化財資料や設置されている大型分析装置などを使用した、より実践的な文化財科学研究の基礎を学習します。よって、本実習は、8月下旬から9月初旬の間の4日間、山梨県笛吹市にある帝京大学文化財研究所内の宿泊施設を利用して、合宿形式で実施する予定です(ただし、新型コロナウイルス感染症の流行拡大状況によっては八王子キャンパスで実施する可能性もあります)。

授業の到達目標

 文化財を対象とした研究に必要な基礎的な技能を修得します。また、科学的調査を通して文化財の歴史的価値を理解できるだけでなく、文化財資料の保存における状態調査および保存管理の重要性を理解し、これらを実践する手法を修得し、博物館学芸員や文化財専門職員として働く場合に備えることを目標とします。

成績評価の方法および基準

 毎日の授業に関する4回のレポートの内容(各25%)で評価します。レポート課題では実習内容の理解度と問題点の抽出能力を問います。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献文化財のための保存科学入門京都造形芸術大学編角川書店

準備学修の内容

 文化財資料の取り扱いには、材質に関する科学的知識や光、温湿度、ガスなどの評価が重要になります。中学・高校の化学の教科書等で基礎化学を予習してください。特に、原子の構造や元素記号、物質の三態、粒子の結合と結晶構造はよく理解しておく必要があります。

その他履修上の注意事項

 実習内容は美術史・文化遺産実習3B-Iの発展的内容となっていますので、これと併せて履修することをお勧めします。また、基礎化学を含めた美術工芸材料学を美術史・文化遺産特殊講義4で取り扱っています。これと併せて履修するとより理解が深まります。

授業内容

授業内容
第1回1日目:絵画の材料と技法「鉱物顔料について」
第2回1日目:絵画の材料と技法「絵具の調合」
第3回1日目:絵画の材料と技法「色を固定する科学」
第4回1日目:文化財レスキューにおける保存修復「水浸紙質文化財の保存処置」
第5回2日目:遺跡出土動物遺体の調査「動物考古学とは」
第6回2日目:遺跡出土動物遺体の調査「動物の骨格」
第7回2日目:遺跡出土動物遺体の調査「遺跡出土遺体の同定」
第8回2日目:遺跡出土動物遺体の調査「遺跡出土遺体の解釈」
第9回3日目:遺跡出土有機物の保存と調査「植物考古学とは」
第10回3日目:遺跡出土有機物の保存と調査「フローテーション法」
第11回3日目:遺跡出土有機物の保存と調査「土器圧痕の調査」
第12回3日目:遺跡出土有機物の保存と調査「植物種実の同定」
第13回4日目:岩石・鉱物・土器の科学調査「岩石・鉱物の地球科学的成因」
第14回4日目:岩石・鉱物・土器の科学調査「岩石・鉱物・土器の科学調査」
第15回4日目:文化財の非破壊調査「X線透過撮影と走査型電子顕微鏡観察」