薬の現在・過去・未来
担当者坂本 謙司
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングMDP-101

授業の概要(ねらい)

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の第一条の六には,「国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない。」と定められている.本講義では,学生の皆さんが医薬品を適切に使用できるようになるために必要な知識である,薬の使用の歴史,薬の作用,薬がなぜ効くのか,薬の正しい使い方,そしてこれから期待されている薬などについて概説する.

授業の到達目標

医薬品を適切に使用するために必要な基本的な事項を習得する.

成績評価の方法および基準

各回の小テスト(50%)と定期試験(50%)により評価する.小テストと定期試験,およびそれらに対するフィードバックはLMSで行う予定である.

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献講義資料のPDFファイルをLMSにアップロードする.

準備学修の内容

講義資料のPDFファイルをLMSにアップロードするので,あらかじめ目を通しておくこと.
講義後の小テストに回答し,各回の講義内容についてノートにまとめておくこと.
この講義は2単位なので,予習や復習など,講義以外の場での自己学修を最低60時間,すなわち1回の講義あたり4時間行う必要がある.

その他履修上の注意事項

文系の学生の皆さんにも理解できるよう,あまり専門用語を用いずに一般の人目線で解説するので,薬に関する興味や関心を持って受講してほしい.教員に対する質問はLMSのメッセージ機能あるいは電子メールで受け付ける.

授業内容

授業内容
第1回「薬の使用とその歴史」 西洋,中国,インド,日本などにおける薬の使用を歴史の観点から概説する.
 担当:坂本 謙司(薬学部・教授)
第2回「薬の作用いろいろ」 薬の主作用と副作用,有害反応,副作用から生まれた新薬効,薬害などについて概説する.
 担当:坂本 謙司(薬学部・教授)
第3回「日本で生まれた世界的な新薬」 ジルチアゼムからニボルマブに至るまで,日本発の世界で用いられている薬と現在開発中の薬について概説する.
 担当:坂本 謙司(薬学部・教授)
第4回「薬の効く仕組み(薬の体内での動き)について」
 担当:鈴木 亮(薬学部・教授)
第5回「患者さんにとってよりよい薬とは何か」 ドラッグデリバリーシステムについて概説する.
 担当:鈴木 亮(薬学部・教授)
第6回「薬の飲み合わせ」 薬物相互作用について概説する.
 担当:黄倉 崇(薬学部・教授)
第7回「薬の効き目の個人差」 体内動態の個人間変動と投与設計について概説する.
 担当:黄倉 崇(薬学部・教授)
第8回「薬のリスクを減らす工夫」 副作用を減らす薬理学・薬剤学的工夫や血中薬物濃度モニタリング(TDM)について概説する.
 担当:黄倉 崇(薬学部・教授)
第9回「学習能力を高める薬は実現するか?  ~ヒヨコをモデルにその可能性を探る~  」
 担当:山口 真二(薬学部・教授)
第10回「偽薬(プラセボ)効果がおこる仕組み」 脳科学や心理学の観点からプラセボ(偽薬)効果の仕組みや医療への応用について概説する.
 担当:岸本 泰司(薬学部・教授)
第11回「認知症や神経難病を治す薬はできるのか」 いまだに根治療法のない神経疾患に対する薬の開発の過去と未来を概説する.
 担当:伊藤 弦太(薬学部・講師)
第12回「乱用薬物はどこに作用しているのか〜もともとの機能は何?」 乱用薬物の作用メカニズム〜受容体発見の歴史やヒトの体内に存在する活性物質(脳内麻薬など)の作用を概説する.
 担当:岡 沙織(薬学部・准教授)
第13回「医薬品と有機化学」 有機化学の観点から医薬品を見る.
 担当:田畑 英嗣(薬学部・准教授)
第14回「新しい薬の誕生まで~臨床における薬が出来るまでを中心に~」 新しい薬が誕生するまでに医療機関で行われていることを概説する.
 担当:渡部 多真紀(薬学部・准教授,医学部附属病院・副薬剤部長)
第15回「薬の正しい飲み方・使い方」 医薬品の間違った使い方によるリスクから適正使用を概説する.
 担当:安野 伸浩(薬学部・教授,医学部附属病院・薬剤部長)